「名称は里芋の変種で浅い水を張った水田で栽培することが由来で、別名では水芋と呼ばれ、主に沖縄で栽培されていてターンムとも呼ばれている。」
「元々は沖縄に自生していたわけではなく、特殊な道具を使用せずに水中で栽培して保存できるため、稲作に先立って栽培されていた可能性がある。」
「専用の水田もしくは稲田の脇で栽培されることが多く、ネズミやモグラなどに食べられずに台風にも強いので非常食として重宝されている。」
「芋 (根茎) の長さは約15cm、形は紡錘形、色は薄紫色、加熱すると強い粘りが出て、味は里芋の八つ頭という品種に似ている。」
「草丈は約1.5~2m、希少な赤茎種と一般的な白茎種があって約1年で収穫されるが、生のままではなく蒸して芋の良否を判別してから出荷される。」
「昭和時代初期より以前は正月用として冬植 (11~2月) のみだったが、その後は春植 (3~4月) や夏植 (7~8月) にも栽培されるようになった。」
「現在は沖縄の特産品として生のままではなく、皮を剥いて熱湯で約5分ほど茹でて灰汁抜きをして蒸した状態で販売されていることが多い。」
「水田の中で親芋が子芋と孫芋を増やすため、子孫繁栄をもたらす縁起物として、お正月やお盆の料理には欠かせない食材としても扱われてきた。」
「沖縄島では唐揚げにしてお正月や清明祭の重詰め料理として東道盆の一品でもあり、主な産地には宜野湾市の大山タイモ畑と金武町がある。」
「与輪島では米と田芋を混ぜたウンニーマイを1月15日に食べる習慣があり、沖永良部島では田芋餅を旧暦の1月16日に先祖祭の供え物として作られる。」
「奄美大島南部では餅米の粉と田芋を混ぜて練ったヒシャゲを1月18日もしくは20日に神棚に供え、トカラ列島や屋久島や種子島でも栽培されている。」
田芋
「親芋の周りに10個以下の子芋と孫芋ができて、芋茎 (ズイキ) や若い葉も食用になり、子芋から出ている茎は次の栽培にも使用される。」
「芋 (根茎) の長さは約15cm、形は紡錘形、色は薄紫色、加熱すると強い粘りが出て、味は里芋の八つ頭という品種に似ている。」
「草丈は約1.5~2m、希少な赤茎種と一般的な白茎種があって約1年で収穫されるが、生のままではなく蒸して芋の良否を判別してから出荷される。」
「病害虫抵抗性は特にないので、種芋を消毒してから植え付け、栽培期間中に農薬を散布して防除する必要がある。」
「田芋は日本本土の人々がイメージする里芋の味とは別物であり、水田で栽培されることから植物としての性質も大きく違っている。」
「また里芋と同様に縁起物としてお正月やお盆に使用されてきたことも興味深く、稲作が伝来する前は芋が神様に奉納されていたことが分かる。」
「ちなみに沖縄島にはディンガク (田楽) という栗金団に似た料理があるが、日本本土からの観光客に味噌田楽と勘違いされることがあるようだ。」
「皆さんも家庭菜園で田芋を栽培しては如何だろうか?」