[将棋]マイナビ女子オープン一斉予選:現地観戦レポ | 福間香奈さんを応援するブログ!

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Ⅰ.里見女流五冠の対局

 

 本日のマイナビ女子オープン一斉予選の1回戦では、現在売り出し中で期待の大型新人、木村女流1級と対局。現地のイベント会場でも、昼休みに鈴木大介九段が午後取り組みの注目の一番と紹介していました。この対局は将棋連盟のモバイル中継が付かなかったので、現地観戦特権となりました。結果は序盤戦で木村1級に受け損ねが出てしまったようで、里見さんの完勝となりました。

 両者、振り飛車党で、先手となった木村さんが3手目に角道を止め、先手向かい飛車対後手三間飛車の教科書に出てくるようなオーソドックスなオープニング。里見さんも対西山戦などでは頑なにまずは中飛車で迎え撃つところから始めるので、そこは普段とは少し変えてという感じだったでしょうか?(主力作戦温存とまでは言わないまでも) ただ、じっくり組み合ってまずはやって来なさいみたいな序盤戦にあらず、後手から飛車先3筋の歩交換、左銀を早々に3五に繰り出し、桂馬も跳ね、しまいには5五に角を飛び出す超急戦の早仕掛け。イメージ的には正統派鬼殺しなのか?みたいな感じで、木村さんも必死に応戦し8筋に振った飛車を振り戻して防御に回るも受け切れずに堤防が決壊。その後はほぼ一方的な展開となり里見さんの完勝でした。私は、対局場でずっと見ていましたが、対局者の盤面から3mくらい離れているので、脳内盤面が作れる人は別でしょうが、盤面をかなり斜め上から見ているため、局面が進むと駒の利きとか持ち駒が何だったかとか正確なところが見えなくなってくる始末。ただ持ち時間が30分と短いのでその消費スピードと、(得意の?)表情観察から、これは序盤で食いちぎって完勝というのはよく分かりました。感想戦も15分くらい?やってたかと思いますが、そもそも年の差、貫禄の差もある上に内容も大差になってしまったので平手の指導対局の感想戦みたいになってました。木村さん、まだ15歳ですしね...。(Ⅱの最後でもまた少し触れます。)

 

 15:35からの2回戦は清水女流七段が相手となり、里見さんは後手番となったのでゴキゲン中飛車の銀対抗というオーソドックスな序盤戦だったんじゃないかと。なお、こちらは棋譜中継がありました。清水さんが3筋に一つ寄って袖飛車から銀交換を仕掛けて行くのに、後手は木村美濃に組み替えて5筋の反撃体制を築こうかという対応に。その後、対局後の感想戦でも清水さんが▲1六飛と横に動いて6列目の利きを残したあたりはなかなか難しいという感触だったそうですが、なんというか自然と里見さんが押しきってしまった感じです。飛車角交換となって、2枚の飛車(龍)で居飛車陣を攻める展開となり、9筋の端攻めの反撃も受け入れつつ、あとは振り飛車の弱点となる角の睨み+桂馬王手の筋に対処して金打ちの守りと、盤石な感じで進んで行ったようです。2回戦は全13局ある中、この対局が終わったのも遅めではありましたが、感想戦を結構長く30分以上やってたでしょうか?対局場には他に3組ほどが残っているくらいになりました。清水さんと里見さんは仲良しと言ったら変ですが、お互い相手に颯爽とした清涼さを感じて、いつまでも話していたく終わりがたいみたいな絵に見えました。清水さんも、2018年の女流王座戦以降は流石に里見さんに勝てなくても仕方ない感が出ているので、ここは1回戦よりも無難に勝つかなぁと思って安心して見てました。(事前予想では、万が一、事件が起こるとしたら1回戦かなと。

 

Ⅱ.イベント・解説会場の様子

 

 写真を中心に。と言いつつ…、午前中は最初に15分くらい対局場を見学した後、イベント会場に戻って各テーブルで行われた棋士による解説があり、私は渡辺和史六段による伊奈川女流二段対佐々木海法女流1級の解説を聞いてましたが、写真撮るの忘れましたガーン。結構テーブルの上の盤を囲んで至近距離で直接話が聞けるので、めちゃくちゃ楽しく、ありがたい企画でした。

 

 お昼休みは、マイナビの西山女王対甲斐女流五段のタイトル戦の振り返りで、最初は鈴木九段が選んだ西山さんのこの一手。鈴木さんの名調子で流れるような語り口でしたが、このシリーズでは西山さんの受けの手に冴があったと。その評価に対して西山さんは素直に喜んでましたが、甲斐さんの指し回しが重厚だったのとこの時期は自分の攻めに迷いがあって受けの手が多くなったというようなことを言われてました。

 

 黒のTシャツが良く似合って、笑顔も可愛くとっても魅力的でした。これで里見さんに勝たなければ言うことないんだけどキョロキョロ、でも実際は里見さんも西山さんに勝てない時期を乗り越えてまた強くなったのでしょうから、そういう意味でも大事な人? そう言えば、私は直接は聞いておりませんでしたが、里見vs西山全局集が発売されるとのこと。これは凄い!

 

 続いて藤井猛九段が選ぶこの一手。実は最初に選んだ局面は鈴木九段と同じものだったとのこと。その後、西山さん本人が選ぶこの一手はなんだったの?という話になり、自分より甲斐さんが指した▲2六角を挙げ、急遽盤面(上の写真)を作り変えてました。

 

 その後はQ&Aコーナーなどもあり、何かと楽しげな3人でした。上の写真は何の時だったか覚えていませんが、午後は里見vs木村戦があるという話の後に、鈴木九段から「里見さん負ければいいのにとか思ってない?」の無茶ぶりに西山さん、無言で苦笑してました。

 それから最近の渡部女流三段戦で、何で相居飛車の角換わりを指したんですか?という質問があり、リーグ順位も決まっていたし勉強したことを試してみたかった云々とのことでした。(本人が言われるのでそうなんだろうけれど、僕の見立てでは、その後の清麗戦での対里見戦で角交換をした相振り飛車戦を想定していたので、お互い角を手持ちにした将棋でのリハーサルだったのではないかと...。普通に対抗形で愛さんとやってもだいたい勝っちゃうし。グラサン

 

 午後1回戦の対局では里見vs木村戦が割と早く終わったので、その後イベント会場に戻ってきてもテーブル解説会は続いてました。藤井九段のテーブルをたまたま覗いたら、里見vs木村戦の解説をやっていました。写真の盤面で分かるでしょうか?鈴木九段による木村さんの評価も高かったですが、藤井九段も同様に高評価の様子。ただ対抗形で10の力が出せるとしたら相振り飛車戦は5の力で(特に今日は?)、これは経験積まないと仕方がない。今日は勉強になったと思うしかないというようなことでした。三間飛車からの速攻は里見vs伊藤戦であったじゃないみたいなことを言われており、私はパッと思いつくのは2018年の箱根の女流名人戦で、この時も早く終わってしまいましたが(棋譜はこちら)、形は全然違いました。他の対局のことを言ってたのかもしれませんが、ちゃんと調べないと分からず...。

 

Ⅲ.その他

 

 総勢50名強の女流棋士が今日は13の枠をかけて戦ったので、横目で見るだけでも本当にドラマ満載でしたし、その他にも普通に会場にいると女流棋士の人と廊下ですれ違ったり、帰りのエレベータでもとある方とたまたま一緒になったりしましたが、この日のルール(+空気的に)会釈すら省略してスルーしました。(終了後なので、勝ち抜けおめでとうございますくらいは言っても良かったのかもしれませんが...。)まだいろいろ書けることはあるのですが、今日はこの辺で。

 

 あと、コロナ明けで久々の対面イベントはやっぱり楽しかった。そう言えば、夏の風物詩でもある将棋まつりがなくなっちゃったので、なおさら今日のイベント会場ではそれと似た雰囲気を味わうことができました。将棋って楽しいよなという部分。それと対局会場では一転して公式戦の緊迫感を見学することが出来て、これもなかなか無い、良い体験でした。(たぶん来年、里見さんは最低シードは取る可能性が高いと思っているし、タイトル取って欲しいし、対局は無さそうなので見に行くテンションが少し下がっちゃうか...。いや逆か、里見さんがタイトルを取れば、ゲスト出演で来る可能性が高いんじゃないかと。それだ!)

 

 と言う訳で、まあまぁ高い入場料(1万円+税)ながらも納得感はあり。ただ、コロナ以降2020年以降に導入されたweb観戦の方も、中継対局をどんどん切り替えての解説が可能というのはメリットかな。それと恒例の最後の勝者インタビュー+トーナメント抽選も現地では直接見れずに、イベント会場に設置されたスクリーンで見るというのがちょっと味気ない。web観戦は家に帰って見れば良いかなとも思いましたが、これはこれで1500円の別料金で要事前申込だったので、現地観戦した人(かスポンサーした人)にはそれくらい無料サービスで解放してくれたらいいのに...と思っちゃいます。

 

 では最後は、やっぱりこの人雷に〆てもらいましょう!!