[将棋]第46期女流名人戦第1局の大盤解説会に行ってきた | 福間香奈さんを応援するブログ!

福間香奈さんを応援するブログ!

女流棋士の福間(旧姓里見)香奈さんを応援しています。その他将棋や自分の日常のことなど。

 里見さん勝ちました!!棋譜はこちら)。現地大盤解説会は午後スタートですが、初手から振り返り、昼食休憩前の局面に追いついたあたり(50△6六歩)からは、だいたい里見さんの方が指しやすいんじゃないかという論調でしたので私はずっと安心しきって聞いておりました。終局図も、終盤に入りかけたところから一気に形勢が傾いて、結果的には後手玉が無傷のまま完勝となったのでドキドキと肝を冷やすことはありませんでした。正直に言えば、大熱戦で勝つというのも興奮するものですが、安心して観ていられる方がいいですね(特に現地大盤解説会では)。
 家に帰ってきてから先ほどソフトで見たところ(これは今時、誰でもやることだと思いますが)、77▲4九玉を指すまでは結構互角のようで、77▲3七歩と受けてもばらされて△4五桂でこれは先手が厳しいのではという話でしたが・・・(※)。そういう意味でも挑戦者の谷口女流三段の方が先に持ち時間を消費していって、形勢に差が付かないようずっと付いていったものの、最後はじり貧は避けたいという感じと、里見さんのブランド力に屈してしまったかもしれません。※のところで、解説者はちょうど立会の高橋九段が入り、聞き手に安食女流という組み合わせになっていて、74△3六歩と里見さんが攻めに行ったところですが、
高:「アマチュアの対局なら3六歩と攻めていけば、完全に受け切るのは難しいから大体勝てるというもの」
安:「先生、里見さん3六歩行きました」(モバイル中継で進行を見て)
高:「手つきはどうでした?里見さんが自信有りそうにビシッと打ったなら決まってるし、そおぉっと指したのか、そこが大事!」
安:「先生、手つきまでは分かりません(^▽^;)」
爆笑爆  笑ゲラゲラという会話でした。結果としてみれば、ここの対応に谷口さんはもっと時間を注ぎ込んでも良かったことになりますが、気を使って我慢し、気を使って我慢というのがある意味ずっと続いてたのでプレッシャーを受け切れなくなったのかと、そういう感じに思いました。

 箱根の女流名人戦大盤解説会参加は今年で4回目となるので、だいぶ様子が分かってきて、朝9時から整理券が配られ、12時半から入場(その間はユネッサンとかで時間潰し)。今回は8:45頃に到着しましたが既に先客が居て私は7番でした。ただ最前列の席が8つあるので、8番以内ならまぁまぁokなのですが、早い人は8時には来ていたそうで、1番取るのは流石に無理(^^;。昨日は横浜近辺でも雪がちらつき、箱根はかなり降ったようで辺り一面が雪景色。ただ今日は天気も良く、そんなに冷え込みませんでした。聞き手の安食女流が、雪が綺麗だったので、ついついスケッチをしてしまったとの謎の告白に戸辺七段から画伯デビューですか?と突っ込まれていました。
 
 ここは会場内にカメラやスマホ類の持ち込み禁止のため、写真抜きで書かないといけないのでそこが私も辛いところですが、ちょっとだけ覚えていることを書いておきます。
 大盤解説会のスタートは清水女流六段常務理事の挨拶でした。(特に谷口さんにとって)初戦の重要性について話されていましたが、去り際に「ここだけの話ですが、(今日聞き手の)加藤さんが打倒里見の一番手」との話も。女流棋界全体を盛り上げたいというお気持ちからかと。
 戸辺七段と加藤桃子女流三段の組み合わせで解説会がスタートし、次の一手クイズがあって、あと正確には覚えていませんが、聞き手は安食さんが交代で入り、途中特別参加で清水さんが入り、解説も高橋九段が入り、最後に戸辺さんと加藤さんに戻ったところで突然終局という感じでした。
 戸辺さんと加藤さんのやりとりで面白かったのは、こんなくだり。(だいたいの感じで書いてます)
戸:「藤井猛九段に言われるんですよ。相振りで知らない展開とかあったりすると。藤井先生に『なに、戸辺君、知らないの?これ、里見、西山戦でやってた最先端の相振りだよ』とか」
戸:「加藤さんも振り飛車やりましょうよ」
加:「暖めておきます」
戸:「公式戦でやらないと暖めておくだけで終わってしまいますよ。」
加:「だったら戸辺先生も相掛りやってください」
戸:「だって、渡辺さんとか永瀬さんとやって、こっちがちょっと変な手を指したら、目を細められて『ムムム』とか言われたら、恐いでしょ」ガーン
確かに・・・。
 
高橋九段と安食さん
安:「先生、相振り飛車のコツを教えてください」
高:「安食さんは振り飛車党でしょ?」
安:「そうなんですけど、うまくいかなくて勝てないんです」
高:「相振りも流行りがあって、昔は(後手からなら)4六歩と突いて金無双のコビンを攻めるとか、歩を伸ばすのが基本だった。今は(今日の里見さんのように)歩越し銀とか桂馬が跳ねて早く攻めるのが良い。安食さんは少しスローだから・・・」
安:「ガーン。将棋くらいスローにならないよう気を付けます」
 
里見さんがタイトルを取った頃に戸辺さんが佐藤天彦九段と同時期に四段に上がり・・・という頃の話。清水さんに里見さんが出雲から深夜バスで通っていたという話を振られ、
戸:「将棋雑誌の企画で、天彦さんと出雲までバスで行って対局して帰ってくるという企画があったんですよ。天彦さんも深夜バスで、当時はまだ貴族ではなく・・・ニヤリ
清:「出雲までバスで行ったことの記憶はなんかないですか?」
戸:「記者の方と漫画家の○○さんと4人だったんですが、○○さんのイビキがひどかったことしか覚えていない笑い泣き
戸:「真面目な話をすれば、往復深夜バスで対局時間よりずっと長いのに、それでも通い続けてくることで里見さんの芯の強さに繋がってるんじゃないかな」
 
 次の一手クイズは、71目で71▲5七金のところでしたが、候補手はA:加藤さんの5五歩、B:戸辺さんの5七角、C:その他で、約60名参加中A,Bを選択した人はそれぞれ20名以上で、Cを選択した人が僅か7名。
戸:「今日のお客さんはありがたいですよね、我々の手を信じてくれて。けど正解はC:その他でした」ガーン
ということで、正解者7名には色紙が当たり、その後、まだ景品が残っているのでもう一回次の手クイズをやる予定だったのですが、突然の投了だったので間に合わず、最後は単純に抽選会となりました。それでは全員対象で抽選をという流れになりそうなところ
加:「先ほど当たった方には遠慮してもらって、残りの方で抽選はどうですか?」拍手
戸:「じゃぁ、私達を信じてくれた人達に・・・」(と言っていたような記憶もあるが)
・・・と、まぁそのような流れからでしたが、加藤桃子さんの色紙がバッチリグッ当たりました。
 
そう言えばですが、
高橋九段が「5七金ねぇ?」
安食さん:「駄目なんでしょうか?」
高:「ダメっていうんじゃないけど、アマチュアの人に金は3、5、7筋に上げるなって教えるの」
安:「どうしてですか?」
高:「そもそも金は三段目より、ニ段目のほうがいいし、3、5、7筋で三段目に上がると桂に当たりやすいから」
→ これ、自分的には一つ勉強になりました。格言の一種みたいな感じ?
 
 ばらばらと取り止めなく書いてきましたが、今日の話題で多かったのは、谷口さんが勝てるようになったのは粘り強くなったから、というところだったように思いました。加藤さんが最近頓死をしたという話も、やはり数日前の谷口戦のことだそうで、勝ってた将棋を粘られて、最後詰めろを掛けて勝ったつもりが自玉が綺麗に詰まされてしまったと。また高橋九段と安食さんの会話で、
安:「粘るっていうのは受けが強くなったってことですか?」
高:「粘りと受けは、これはまた別」
なんて話もあり。(粘りが一体なんだったのか?ここは分からず。)
戸辺さんも「谷口さんが粘り強くなっているのは、里見さんも棋譜を見て分かっているから警戒しているはず」というような話もありました。
 要するに、絶対王者の里見さんに対し(西山さんはまた別の話として)、谷口さんがどこまで戦えるかというのを、贔屓ではないけど全体に少し肩を持つというかやんわり空気は作っていたように見えました。そうでありながら本局は終盤の一手争いに持ち込めず、里見さんの強さが際立ちました。終局後に対局者のお二人が大盤解説会場に現れ、戸辺さんがやや局面について細かく聞いたりしたこともあって、ちょっと感想戦っぽいやりとりも見られましたが、最後はお二人の挨拶まで。里見さんは「次局が地元の出雲なので、また頑張りたい」、谷口さんは「今日は出来が悪く立て直さないといけない。気持ちの切り替えは早い方なので頑張りたい」とのことでした。