皆様、どうも。((((;゜Д゜)))
また、やってしまいました…(;´д`)
まだ、1話もハナシが出来てないのに、ブログが更新されてしまいました。誠に申し訳ないです。

ついでなので、次回作のハナシをさせていただきます。

「待宵月に揺れる花」という新たなタイトルが出現しましたが、「今宵、月明かりの下で…」の続編でございます。「今宵、月明かりの下で…」最終話

「新年のご挨拶」で、ちょっと触れていましたが、妓生(キーセン)のウォルファ(月花)のその後のハナシになります。

前に「今宵、月明かりの下で…」というハナシを描かせていただいたとき、妓生(キーセン)についてと韓国の歴史を少し調べました。(ちょっとかじった程度ですから…間違っていたら、申し訳ないです)韓国は、儒教の国でして、身分についてはかなり厳しかったようです。
妓生(キーセン)は、身分の階級は一番下の方で、「賤民(せんみん)」と呼ばれていました。
この「今宵…」のハナシで、テギョンは、「両班(ヤンバン)」という、支配階級にいました。
一番下の「賤民」と支配階級「両班」の男女が結ばれることは、言語道断でした。
「両班」の男性は、家名を守る責任があり、子孫を残すため、同じ「両班」から正妻をとらないといけなかった。「賤民」の女性がなれるとしたら、妾(めかけ)になることしか出来なかったんです。

だから、「妓生」と「両班」との恋は、一夜限りの泡沫の恋だったのです。
「今宵…」では、その概念をひっくり返して、新たな希望が見える結末を描きました。

日本にも、「花魁」と呼ばれる「遊女」がいます。
日本では、「身請け」というものがあります。ほとんどの者が、貧しい家庭だったり、孤児だったりで、妓楼に売られてきますから、その身代金と借金をお客に支払ってもらい、年季が明ける前に、妓籍を抜けられることが出来るのです。身請け後は、そのお客の正妻や妾になったりします。

今回のハナシは、日本式で「身請」のハナシになります。

あくまでも、二次小説のハナシでございますから、「概念なんて覆しちゃえ。」というハナシです。

現実では有り得なかった、幸せなハナシですので、楽しんでいただければ、嬉しいです。

ただ、不定期更新なので、いつ始まり、いつ終わるかもわかりません。

気長にお待ちいただければ、よろしいかと思います。

それでは、次は、華やかな世界で、お逢いしましょう。






tea







「VOYAGE」



*フィナーレ*





そして、ミニョ王女が旅立ったあのときと同じように、花火が打ち上がる。

あのときと違うのは、ロイヤルシートに、ミナム国王が姿を現し、そのすぐ後ろに、白いドレス姿のミニョ王女の姿があった。

「レディース & ジェントルマン!!

さあ、お待たせいたしました!!

劇団「ANJELL」の人気芝居『星になりたい』の上演でございます!!

ロイヤルシートにご着席されております、ミナム国王もミニョ王女も、観客の皆様も、ハンカチを手にご覧ください。」

舞台上に立ったジェルミが、ロイヤルシートに向かい、笑顔で手を振り、ミニョ王女に、投げキッスを送った。

物語はクライマックスに向かっていた。
主役のテギョンが、ひとり舞台上に立つ。
テギョンが、切なそうに胸に手を当てる。星を見上げながら、もう会えない恋人を想う切ないシーン。

星になれば・・・この願いは叶うのだろうか・・・

セリフを喋りながら、見上げたテギョンの視線が、ミニョへと向かう。
身の丈に合わないブカブカのシャツを着たボサボサ頭のミナムが、今は、キラキラと頭の上に輝くティアラと白いドレスが似合う、美しい王女になっていた。

この国を旅立ってから、いつも思い出すのは、お前と過ごした日々だった。

いつも月を見上げるお前の小さな後ろ姿を見ていた。

いつも笑っていて、どんなに辛くても弱音吐かない。

ドジを踏むくせに、突然、スゴイことをやってのける。

俺は、一度も、そんなヤツに会ったことがない・・・

『もう一度、会わせてほしい・・・』

・・・会いたいと思った。

でも、会えなかった。

俺たちは、違う場所で生きているから。

だから、何も言わずに、別れたのに・・・

それでも、どうして、こんなに惹かれるのだろうか・・・

お前が『月』だから・・・?
それとも、俺が『星』だから・・・?

そうだったとしても、俺は・・・

会わせてくれ・・・愛しの“ミニョ”に!!

「ミニョ、お前を愛してるんだ!!」

突然のテギョンの告白に騒然となる観客。

「は?欲しいものって、まさか、ミニョ?」

ミナム国王も、あまりの驚きで椅子からずり落ちている。

「おい、ミニョ?どうすんだ?」

ミニョも目を丸くしながら、呆然としてる。
まさか、テギョンから愛の告白を受けるとは思わなかった。

胸が苦しくなる痛さが、恋の痛さだということを、あとで知った。

生まれてはじめて恋をしたのだと、でも、その相手には、もう二度と会えないんだと・・・

その相手との別れは突然だった。

ひとつの場所に身を置かないヒトだから仕方がないと思っても、何も言えなかった自分に後悔と、もう会えない淋しさで涙が溢れ、泣き続けたことがあった。

ミニョ王女が落ちてくる涙を拭うと、意を決したように立ち上がった。

ミニョ王女は、テギョンのいる舞台に向かって走り出す。

旅立ったあのときと同じように、人波を掻き分けて・・・

そして、舞台上にいるテギョンの胸へと飛び込んだ。
テギョンも、ミニョ王女の身体をきつく抱き締める。

観客の度肝を抜くような感動的なフィナーレは、たくさんの歓声と拍手に包まれた。


そして、劇場艇「ルーチェ」は、また旅立っていく。

見送るミニョ王女に、テギョンは、不服そうに口を尖らした。

「本当に、一緒に行かないのか?」

「私は、王女として、この国でやらなければいけないことがたくさんあります。
それに、私が行っても、足手まといになってしまうだけですから・・・」

ハッキリと言葉にしているが、寂しげに微笑んでみせるミニョ王女の頬に触れながら、テギョンは、ミニョ王女の唇に口づけをした。

「あ、あの・・・テギョンさん?」

「少しの間、またお別れなんだから、な。淋しくならないように、おまじないだ。」

ミニョ王女は、驚いて目をキョロキョロしているが、お構い無しにもう一度、近付いてくるテギョンの唇に、ミニョ王女はギュッと目を閉じる。
まるで別れを惜しむように、ふたりは長い口づけをしていた。


「ねぇ、シヌヒョン?
テギョンヒョンの欲しいお宝ってさ・・・」

「ん?手に入ったみたいだな。」

「オレも欲しいな。テギョンヒョンみたいなお宝。」

「それは、難しそうだな。一体、何回、世界を回れば見つかるんだろうな?」

「シヌヒョン!?」

劇場艇「ルーチェ」は、真っ直ぐに進んでいく。

それは、一筋の光のように・・・。


どうか、彼らの旅路に、幸多からんことを・・・

水平線へと消えていく船を見送るミニョ王女が、胸の前で手を組み祈る。


「いってらっしゃい。

また会える日まで・・・。」






★★Fin★★

最終話が長くなりまして、2回更新になりましたが、これにて、完結でございます。
裏話は、またあとで書きます。くだらないハナシですが、よかったら読んでください。
とりあえず、今年中に終わって良かった( ´∀`)
久々のハナシでしたが、お読みいただき、本当にありがとうございました。

それでは、また会える日まで( ´∀`)/







「VOYAGE」*10*

「褒美」



そして、運命の満月の晩を迎え、ミナム皇子が目を醒ますのを見届けたテギョンたちは、その翌日には、また大海原に旅立ってしまった。
別れは、あまりにも素っ気なく、まだ身体を自由に動かせないミナム皇子と、その横で、長旅の疲れと安堵で眠り続けるミニョ王女に気遣ったのか、別れの言葉すら交わさなかった。

劇場艇「ルーチェ」は次なる国を目指していた。
夜の航海は暗く、海上は何も見えない。
ただ、見えるのは、真上に輝く月だけだった。
そんな月をぼんやりと見上げているテギョンの背中に、通りすがりのシヌが声を掛ける。

「テギョン、これで本当に良かったの?」

「なんのことだ?」

シヌは、敢えて、何が良かったのか、明確にせずとも、テギョンは明らかに不機嫌そうな低い声で答える。シヌは「なんでもない 」と首を振ってみせた。

「アイツは、一国の王女なんだぞ。」

ポツリと呟いたテギョンの言葉は、シヌの耳に届くことはなかった。


それから月日が流れ・・・

立ち寄った「ヴェント」で、手紙を受け取ることになる。

「良かったよ。キミたちに会えて。
必ず、キミたちに渡すように、「ルーナ王国」のミナムに頼まれたんだ。」

手紙を受け取り、再び、「ルーナ王国」へと、劇場艇「ルーチェ」が向かった。
久々に訪れた「ルーナ王国」は、目覚ましい変貌を遂げていた。
街は、活気に溢れ、また、各国との外交を再開したらしく、港も大きくなり、船が出入りしていた。

テギョンたちが久々に「ルーナ城」に挨拶に向かった。

謁見室で現れたのは、「ミジャ女王」ではなく・・・

「「「ミナム!?」」」

テギョンたちが驚きの声をあげる。
ミニョ王女と瓜二つの顔が王座に座る。

「もう、無礼な!!此処に居られますのは、ミナム国王でありますよ!!」

ミナムの横にいたマ執事が焦っている。

「マ執事、別にいいよ。この人たちは、命の恩人だから、構わない。
手紙を読んでくれたんだな、よかった。あぁ、挨拶が遅れたな。
オレは、ミナム。
オレの命を助けてくれて、本当にありがとう。
オレが目を覚ました頃には、あんた達いなくなっちゃったからさ、ちゃんと礼も言えずに、どうしようかと思ったんだけど・・・やっと、顔見て、礼が言えるよ。
あぁ、なんで、国王なんだ?って思うだろ?
国王なんてガラじゃないんだけどさ、色々あって、前任のミジャ女王をクビにしちゃったからさ、その成り行きでね。
で、褒美は何がいいの?欲しいものとかないの?」

人懐っこい笑顔でニッコリ笑う、その笑顔まで、双子のミニョ王女と同じ顔なのに、性格は、全くの正反対で、3人は混乱していた。

「ない」

首を横に振るテギョン。

「えぇぇぇ…!!(゜ロ゜ノ)ノ
そうなの?褒美が欲しくて来たんじゃないの?
別に、遠慮することないのに・・・
まあ、とりあえず、せっかく来たんだからさ、ゆっくりしていってよ。ね?
あと、来たからには、公演もよろしく頼みます。国民がね、楽しみにしてるからさ。あと、ミニョも観たがってたから、一緒に連れて行くから、頑張ってくれよ。」

謁見室を立ち去るミナム国王。

「この国は、あんなおちゃらけ国王で大丈夫なのか?」

呆れたように、テギョンが首を横に振る。

「でも、前より、街は活気に溢れてるし、ミナムの光の力は更に強くなってる。ジェルミと同じ人懐っこさが彼の強みなんじゃないかな。」

シヌは、ニッコリ笑う。

「うん。オレ、ホンモノのミナムとも仲良くなれそう。ミニョは、どこにいるんだろ?さっき現れなかったね。ミニョに早く会いたいのに・・・。」

ジェルミは城内をキョロキョロと探し回る。

「おい、早く、船に戻って、準備するぞ」

テギョンは、ジェルミを置いて、城を出て行ってしまう。

「王女様に、一番会いたいのは、一体、誰なんだろうね?」

テギョンの背中を見ながら、シヌはクスクス楽しそうに笑っていた。







★★★★