待ち望んだこの日が、ついにやってきた。
瑞牆でのマルチピッチクライミングのデビュー戦である。
夏の予定は雨でポシャり延期。
延期日の10月16,17日、天気予報は晴れ。
ただ、なんか不穏な様子。何故ならば、巨大台風が近づいてきているたからだ。
ゆーても大丈夫やろう。
そう高を括っていた自分は、世界一のお気楽屋さんだったのだと思う。
予報、報道は正しく、関東各地に未曾有の大水害をもたらした今回の台風。
断念せざるを得ないのか、そんな現実が頭をかすめる。
そもそも、今回案内してくれることになっている鈴木師匠が、中央道の通行止めにより、来れるかどうかすらわからない。
中止の2文字が脳裏をかすめるものの、来なくちゃダメだよ、という師匠の言葉に促され、とりあえず出発することに。
確かに、行かずして何になる。行ってダメなら、そこで考えればいいではないか。
前日、なんとか昼前に北杜市着。とりあえず蕎麦だろと思い、寄った蕎麦屋があたり!なぜかカキフライセットを勧められてたのだが、これまた当たり!そばはコシがあり優しい味わい、カキフライは大粒で味もしっかり、満足満足。
その後、下見も兼ねてとりあえず瑞牆の麓まで行くことに。
おー、なんか見たことある風景!気持ちが高まる、というよりは、若干びびり始める!
初日の朝、少々遅くはなったものの、師匠が到着。ぐるっと遠回りをしてきてくれた模様。
悪路の中、ありがとうございます。まずは感謝です。
とりあえず、言われた通りの荷物をアプローチザックに詰め込み、いざ出発。
かの有名なモアイフェイス、胸の高まり、というか、緊張を抑えきれない。やばいなー
なかなかの上りをスタスタノンストップで歩くこと1時間。ついていくのがやっとでしたが、ようやく基部に到着。
見様見真似で準備をして、いざ登攀開始。
ビレイいい?とロープを渡され、師匠がリードで登っていく。見た目悪そうな数手を、プロテクションをきめながらこなしていく。
途中からスラブになり、見えなくなり、何をしているかもわからず、おそらく終了点に到着して、ビレイ解除OKの声。続いて、登っていいよー、の声。寒さもあり、震えが止まらない。
準備にもたついていたら、早速怒られる。焦って登る、落ちる、ぶら下がっていたらまた怒られる。必死で登る。泣きそう。早速帰りたくなる。
そうも言ってられないようで、とにかく何でもいいから登って来いとのこと。登らないと帰れない。
そもそもボルダリング以外の紐を使って登るクライミング自体、ほぼしたことがないと言っても言い過ぎではないほどのど素人が、こんな長いルートを登りたいと思うこと自体が間違いだったのであろうか。そう思わざるを得ない状況にさらされる。
そんなこと考えている暇はない。とにかく、這い上がらねれば。
クラック、チムニー、空中でのビレイ、全てが初体験。
時間はかかったものの、なんとかかんとか登り切ることができた。登り切るというよりは、引っ張り上げられたと言った方が適切である。既にフリークライミング、ではない。レスキュークライミングとでも言おうか。まあ、しょうがない。
暗闇の中、ヘッドランプの明かりと踏み跡を頼りに下山。ああ、生きて帰れた。
手配できていなかった宿もなんとか決まり、その日はぐったり。怒られすぎて、精神的にもボロボロ。寝ついたと思ったら、ロープを必死で捌く夢!その繰り返し!まじで!肩痛いし!果たして明日は登れるのであろうか。とりあえず寝るか。
翌朝、天気は上々。ただ、予報では14時から雨。
初日のグダグダな登りを見て、さすがに優しめのルートを選んでくれるのであろう、そう信じて挑んだ二日目。
昨日よりは登りやすいルートですか?そんなバカな質問に師匠は、グレードなんて関係ないんだよ!登るんだよ!と一喝。おー、職人肌、師匠はやはり師匠でした。
まあ、蓋を開ければ、2日目の方が登り易かったとは思う。
ただ、テンポよく登らないと、時間が無い、できる?
その言葉に後押しされ、とにかく先に登らねば、という一心で、割と落ち着いて、攻めの登りができたようにも思う。
慣れもあったのであろうか。全てフォローではあるものの、ほぼほぼノーテンションで登り切ることができた。
「楽しかった?」
その言葉に全てが救われた。最初で最後かな、初日はそう思わざるを得ない状況ではあったが、鍛え直して、またリベンジしに来たい。そんな気持にさせてくれた。
予報通り、登りきった20分後に、ポツポツと雨が落ちて来た。本当にギリギリだった。もし少しでももたついていたら、果たしてどうなっていたのであろうか。想像しただけでもゾッとする。
後の話で、雨が降った状況で、僕を引っ張り上げて帰れる自身はあまりなかったようだ。こんなど素人を、命がけで案内してくれた師匠は、やはり偉大な人である。今回のクライミングは一生忘れないであろう。
最後に、写真とってあげようかと促され、一枚撮ってもらうことに。
このガスガスの状態が、瑞牆の標準だそう。標準の瑞牆の写真が残せて良かったじゃん。ということだ。
どさくさで、ほとんどネット上に上がらない師匠とツーショット。
kazahanaのプロモーションならいいよ、ということだったので、今回の相棒の紹介をします。
kazahana 「Catwalk」
「マルチピッチ用のクライミングパック 下降用のアプローチシューズ+水筒+風よけジャケット+タオル 携帯+トポ+ヘッドランプ+車の鍵+携帯食...ぐらいを入れる為のパックです。 基本設計は背負って登る為だけに考えられたギアパック。」
今回はさらに、パタゴニアのマイクロパフフーディーを押し込んだが、なんとか収まった。もっと薄いのでいいんだよ、たしかにそうでした。
「素材は超軽量で引き裂き強度に優れた薄手のナイロン。 」
チムニーでずりずりしても、そんなにダメージは無い様子。
「ポジションは背中の高い位置になるよう設計されており、ハーネスと干渉することなく、さらに、パックのショルダーストラップをチューブタイプのギアループに応用しています。 特筆すべきは、ウェストストラップをチェストストラップに 応用しショルダーハーネスのラダーでチェスト位置の変更が出来る様にデザインされ、これがフィット感とザックのポジショニングを支えます。」
登り初め、焦りもあり、ちゃんと背負えてなかったようで、チョークバッグとパックが干渉してうまくチョークアップできずに困っていたが、途中で気づき、ちゃんと背負ったところ、なんとまあ、ハーネス、チョークバッグに全く干渉せず、ノンストレスに!ちょっと感動!ギアも納めやすい。
「従って、肩周りには常にフリーダム!!クライミングに支障をきたしません。」
自分自身、他とはまだ比較はできない未熟者ではあるが、確かにザックによる登りに対するストレスは感じなかった。
「本体自体は指先で持てるほどの軽さです。 スマホの収納を考慮したパッド入りのジッパーポケット装備。 ミニマリストのマルチピッチクライマーに向けて!!」
この、ミニマリスト向け、というテーマにより、全てが繋がるような気がする。しきりに口にしていた、「自分以外のものを持ちたくないじゃん!」そういうことか。
ホームページ(http://seifusya-jp.com/about/)
「クライマーがある課題と向き合いそれを解決しようとするとき、出来得る限りの無駄を省きたいと考えます。マイナスしていくこと、それはややもすると世間ではネガティブに捉えられることもありますが、常に重力に逆らい行動するクライマーには他ならない「プラス」なのです。私たちは、このクライマー思考に基づきシンプルかつ現場で直観的に使用できるクライミングイクイップメントをデザインします。」
クライマー思考、どういうことだろう、クライミング、上に登っていくことだけに集中する、そういうことであろうか。
なにはともあれ、レジェンドが、その経験を元に完成させたクライミングパックなので、間違いはないはず。
早く、このパックの良さをもっと感じられるように、自分は登りに磨きをかけなくては、そう思う。
待っていて下さい。必ず帰って来ます。
















