日露の違いから見える日本の「おめでた」感
日本とロシアの交流が始まった地として、下田市の小学生が史跡を歩いてめぐるイベントが、北方領土の日にあったそうです。日露通行条約の交渉の場となった、玉泉寺でイベントの開会式を行ったそうです。このイベントに参加した小学生の一人の言葉が、テレビで大きく取り上げられています。
「争いごとをしないように、日本が色々なことに取り組んで、ロシアとの関係をよくして、北方領土の問題とかを無くしていきたいと思います」と小学生は、優等生の感想を述べています。小学生なので、このような答えでいいと思いますが、このインタビューを大きく取り上げたSBSテレビの方に問題があると思います。
日露関係に関しては、この小学生のような考えや態度がいいと思わせるように、報道や左派系の人たちが誘導しています。しかし、「よく考えてほしい」。日露の争いは、二国の問題であり、日本だけの問題ではないということです。日本がどんなに争いを避けたいと思って、色々なことに取り組んでも、ロシアはそうは思っていないので、どんな取り組みも無駄になっています。この事実をわきまえず、いつまでもおめでたい正論を小学生に言わせていることに、違和感だけでなく、怒りを感じてしまいます。
岸田首相の施政方針演説の中での、「領土問題を解決して日露平和条約を締結するという方針を堅持する」という発言に対して、ロシアのメドベージェフ前大統領は、「北方領土についての『日本人の感情』など知ったことか。『係争地』ではなくロシアだ。特に悲しむサムライは、切腹すればいい」などとSNSに投稿しています。これが、前大統領の言葉だという点が重要です。ロシア政府としての訂正もないので、北方領土問題など存在しないというのがロシア政府の方針だったことがわかります。このような言葉を浴びせられたにも関わらず、笑顔で「争いごとをしないように、日本が色々なことに取り組んで、ロシアとの関係をよくして、北方領土の問題とかを無くしていきたい」という言葉が出てくることは、おめでたいを通り越して、恐怖を覚えます。
メドベージェフと日本の小学生の対比は、私には、このような光景、ナイフを持って「殺すぞ」と叫ぶロシア人(メドベージェフ)の前で、笑顔の日本人(小学生)が握手の手を差し伸べている場面を想像してしまいます。どちらが狂っているのか分からなくなる光景です。この光景は、アメリカでの事件を思い起こさせます。アメリカに留学していた日本人が、ハロウィンの日に、アメリカ人の家を訪れた時に、敷地に入ってくるなと怒ったアメリカ人が銃を持って静止しているのも関わらす、笑顔で近づいていき、銃殺されたという事件が以前ありました。まるで、そんな光景を思い出します。強く拒否している人間に、笑顔で近づく姿は、恐怖でしかありません。メドベージェフの怒りに対して、笑顔で返しては、相手を怖がらせるだけです。メドベージェフを怖がらせ、銃を発砲させないためには、笑顔ではなく、同じような怒りの表情で、近づかずに、打てば撃ち返すぞ、と言葉を返してあげるべきだと思います。
今回のイベントでは、少しマイルドでも「日本は努力しているのだから、ロシアが北方領土に真摯に取り組まないと、それ相応の制裁を行うべきだ」くらいのことを言わせるべきだったと思います。良い人すぎるのも悪人には恐怖でしかなく、攻撃の要因になると思います。