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金曜日、自民党総裁選挙の告示がおこなわれ、自民党主催で4候補者の立会演説会が開かれました。
届け順は、河野、岸田、高市、野田が正しいようです。
当ブログでは出馬会見を受け、政策面について2回アップしています。
『自民党総裁選その注目点』 『自民党総裁選その注目点・その2「加藤の乱」』
その前に、ネットの保守系言論人がやたらと高市氏を推しているので怪訝に思って書いたのがこちら。
保守系言論人の中でも、藤井聡教授の推しっぷりは凄まじく。高市氏を特集した自身の動画サムネールには「日本のジャンヌ・ダルク」とまで書かれてて、普通にヒクでしょこれ、と思った次第。
総裁選のような純然たる政治話題を連投するのは珍しいんですが、経済政策の方向性が変わるかもしれないので重視しています。
今後の総裁選スケジュールは、NHKが説明しています。
昨日は日本記者クラブの討論会が開かれており、20日月曜には自民党青年局・女性局主催のオンライン討論会がある。
23日から26日。全国への演説会はCOVID-19の状況を考慮して中止し、オンラインの討論会をおこなうそうで、これははじめての試みです。
29日に投開票。新総裁が決まります。
その後は国会が開かれて首相指名選挙。そして11月に総選挙という流れ。
コロナ対策を急いでもらいたいのは山々ですが、第6波に備えて、より実効的な感染症対策と財政支援とのパッケージが実現するよう、国民は声をあげ続ける必要があります。
自民党の演説会は、それ以前の出馬会見と様子が違っていたのにお気づきでしょう。
総裁選は、自民党議員と党員によって選出されます。安倍総理からの移譲の色合いが強かった前回は党員投票がなく、派閥間の競争もほとんどない「出来レース」だったので、今回は「フルスペック」と言われてます。
安倍一強からの9年弱、この路線がどうだったのかの検証含め、政策議論のある総裁選は本当に久しぶりです。しかし、国民が総裁を選ぶわけじゃないので、党主催の演説は、党議員や党員向けに語りかけるもの。ですから、総理になった時のリーダーシップを強調するために、各候補強い調子で演説していました。
国民向けの顔ではなく、党内へのアピールだったわけです。
党内の選挙ですからそれで構わないとも言えますが、国民に何を示すのかが問われます。
4人の演説を聞くとやはり違いが観察できました。
議員と党員向けを意識していたのは、岸田氏と野田氏。
岸田氏は前半を全体的な政治理念にあてて賛同を求め後半を具体的な政策論にあてていて、一般向けとは違いがありました。野田氏は総理になった場合の人事がすでに頭にあると言って笑いを誘っていた。これも一般には言わないことでしょう。
高市氏と河野氏は一般向けの会見とあまり違いがなかった。これは、やりたいことがはっきりしていて一般向けだろうと党内向けであろうと態度は変えないのだととることもできますが、状況に応じて対応を変える柔軟性に欠けていると、悪い方にもとれます。河野氏の場合は一般の会見と時間も内容もほとんど同じだった。推測ですが、決められていた党の演説時間20分に合わせて文言を考え、それを一般向けにも多少変えて話していたのかもしれない。そうなると、単に準備不足ではなく、国民に向き合う姿勢が疑われます。
安倍-菅政権を教訓とするなら、新総裁には以下のような条件が求められます。
現実を直視できること。
人の話を聞けること。
ウソをつかないこと。
間違いを認めて改めること。
常識があること。
政治家全員に必要です。政治家でなくても必要なことですけどね。
この条件になるべく多く合致する候補。
安倍-菅路線への反省と転換意識がある人。
となると、自信を持って推せる候補はひとりもいないが、マシだと思える人はいる。
岸田文雄氏です。
コロナ対策の視点でいうと、高市氏河野氏は、感染症対策に自発的な発信がすくない。医療体制やワクチンや薬剤などの供給側の話に傾斜。感染者数を減らさねば重症者は減らせないし医療逼迫も防げないというこれまでの現実を直視していない。財政支援も積極的じゃない。
岸田氏は、一般向けの会見でまず最初にコロナ対策を集中して説明している。感染者数を減らすため、人流抑制に協力してもらえるよう財政支援を追加していく考えを示した。十分かどうかはまだ判断できないが、喫緊の課題に対して、現実を直視しているほうだと思う。
政治的なスローガンと実際に何をやるかは、一致しないことがままあります。
安倍晋三氏は「まずは経済」「インフレ率2%目標を達成する」と言って三本の矢を打ち出した。金融+財政+成長戦略です。経済理論を理解していると思え、旧来の自民党政権から民主党政権までの緊縮姿勢を転換できると期待した。
しかし、実際にやったのは金融+成長戦略で、改革・規制緩和・グローバル化と、これに好都合な緊縮財政だった。「機動的な財政出動」は積極財政ではなかったのです。財政拡大は最初だけで、6年間ほとんどやっていない(が、コロナ対策で最後にやったのは評価しましょう)。
理論やスローガンが立派でも、実際にやることが悪手では国民が苦しみます。
したがって、高市氏が打ち出した「プライマリーバランス(PB)黒字化目標の凍結」は安倍氏同様の看板倒れを覚悟しなければならない。高市氏の具体論のほとんどは供給側の成長戦略であり安倍路線です。開発投資(それ自体は良いのだが)は竹中平蔵好みのデフレビジネスのように思える。「保守系」にアピールする中国を敵視した防衛戦略も全体的な経済成長から乖離して聞こえる。
コロナ対策は、質問されれば財政支援についても言及しますが、自分発信の場合は二の次になっている。
高市氏が言っていることは政府支出を拡大してGDPを増大すれば実現可能だが、マクロな視点は不十分です。税制はサッチャーよろしく一律化を目指しているし、財政出動は「緊急時の」と強調していたことから、積極財政とは言い難い。各論はデフレを長期化させた「選択と集中」の延長上にすぎないだろう。高市氏は新自由主義的で、自己責任的で、シバキアゲ的なのです。
安倍路線を転換しない経済政策は「政府に都合が良い経済」を回すことになるのです。
河野氏の政策論は高市氏とそう変わらない安倍路線だが、やりたいことを阻むシステムを改革すると言っていて、考え方が危険です。
野田氏は多様性の擁護やコロナ禍の財政支援に言及してたり良いところもあるけども、マクロ経済の視点が欠けている。
岸田氏の、コロナ禍への経済対策や防災減災、その他様々政府支出を拡大する具体策を用意した政策パッケージ「成長と分配」は、4人で最もマシに思える。「小泉政権以来の新自由主義から転換する」という理念も重要です。
国民からの質問を受け付ける姿勢も安倍-菅政権への反省がある。
懸念材料は、多くの声を聞きすぎて中途半端になることです。下にリンクした日本記者クラブの質問では、「自助ばかりでなく」とこれまでの意識を転換しそうな語り出しをしながら、公助(財政拡大)を強化すべしとはっきり言わなかった。このあたりの弱さが仇になる可能性がある。
「PB黒字化」や「財政破綻論」などは、実際に政府支出を増大して国民が豊かになり、社会保障が安定化すれば、結果的に「間違った理論」だとわかる。行動によって正しい理論がわかってくる。時間はかかるでしょうが、より強い政策転換になると考えますし、よほど保守主義的だと思います。まずは国民を救う行動です。
理論先行はかえって危険ではないかと疑うのが、安倍晋三氏の教訓ですからね。一見正しそうなことを言って何をしでかすかわかりゃしない、と。高市、河野両氏にその危険性を感じます。
4人共、アベノミクス継承の範囲内ですから大転換は期待しない。
しかし、マシな選択はあり得ます。
超長期デフレ+非常事態の現在。国民を助ける行動が必要なのです。
国会が開かれないことで怒る気持ち共有しますが、これからの政治を引っ張っていく世代の政治家がどんな考えを持っているか、知る良い機会です。
会見等をいろいろ見聞きして考えていきましょう。
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