懸念と希望 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

 

気になるニュースがありました

 

タンカー浸水、大きく傾く 表立った破損見られず 山口

http://www.asahi.com/articles/ASJ9Z5GJBJ9ZTZNB00X.html

 

洋和丸は大豊運輸のサイトによればタンカーの耐用年数(安全性を考慮すると13年程度)を超える19歳だったようです。
メンテナンスに予算をかけられていたのか懸念があります。

 

海運事業の状況はどうなっているんでしょう?

下記資料を概観してざっくりまとめると…


海運の需要は伸びていて新造船の受注量も増えているが新造船の建造数は伸び悩み。

造船業従事者が減っている、人手不足が原因か。

 

…ということが見えてきます。

 

日本の人手不足

戦後の働く人の人口ピークは現在の60〜70歳台で、それ以降は減少しています。

人口ピラミッドを見れば一目瞭然、人手不足が重なっていく運命にあるわけで、必要な仕事が一定で生産年齢人口が減れば当然人手不足になるわけです。

 

求人が増えて失業率が下がっているのは、アベノミクスのおかげではありません

 

消費税増税でまちがえた安倍首相は、生産性向上については正しいことを言いはじめています。

建設現場でのドローンの活用などが好例。

 

つまり

政府がやらなければいけない仕事は生産性向上のための投資拡大。

ということがわかる。


緊縮財政・支出削減や、外資参入への規制緩和や外国人労働者受け入れ拡大

ではないのです。

 

 

「人口が減ってくなら政府支出増やしても意味ない」

と考えるなら貧困化は免れません。

政治家に社会保障の充実を!と訴えながら支出削減を求めるのは二律背反なのです。

 

「政治家や公務員給与、公共事業を減らせと言っているのだ」

と反論があるかもしれませんが

誰かの消費・投資が他の誰かの所得になり、その循環で経済が成り立っていることを考えれば、公の支出を削ることは巡り巡って私たちの所得を削る結果になるのです。


金銭的な貧困だけでなく、精神の貧困化、文化の死につながる。

すでに起こっていること。

 

緊縮財政、削減思考、は個人や企業にとって正しくとも

デフレ下の国政においては間違いです。

 

まだ間に合う。

安倍政権は微妙に(まっとうな)政策転換をしかかっている。

 

せめて経済だけでも正しい方向へ持っていきたい。

それができるのは首相でも与野党政治家でもなく

救世主でもなく

ひとりひとりの国民です。

 

 

「日本の造船業について」(公益財団法人 日本海事広報協会)

https://www.kaijipr.or.jp/collection_data/zosen/zosen1.html

 

「タンカーの基礎知識」(日本郵船株式会社 調査グループ)

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/7/7770/201607_023a.pdf

 

「造船業の概況」平成二十七年(国土交通省)

http://www.mlit.go.jp/common/001093754.pdf

 

 


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