半分まで来た「寄生獣 セイの格率」 | Tempo rubato

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アニメーター・演出家 平松禎史のブログ

今週はテレビでは放送がお休み(全国的にお休みかはわかりませんが…)でした。
年内にあと一本です。

原作を既読のファンは来週は見たいような見たくないよな複雑な回ですよね。
ボクも連載で読んでいる時はお母さんの回とは別な意味で衝撃を受けました。

加奈は新一にとって母親や里美とは別な意味でと~~~っても重要な女性です。
原作では当時の世相を反映して不良娘として描かれています。
不良という見かけは、どこにも属せない孤独な女性を表現するためだろうと思います。
新一に近づいていくのはある種の救いを求めるように思えます。
そこがとても切ない。
(沢城みゆきさんの芝居は毎回すばらしい)

里美が母性的なのに対して、加奈は(もう古い言い方だけど)肉食系女子って感じですね。
あくまで表層的には、ね。
アニメ版では時代的に不良のアイコンは使えないので、男から好かれそうな見た目の女の子としてデザインしました。
遠慮がちな里美が言えないことを加奈はズケズケと突っ込んできます。
拒否られるのを恐れていながらどこまで突っ込んだら本心を手に入れられるのか…と相手を試す女心はシナリオでも原作を踏襲しています。
新一からすれば、普通の男と違う秘密を持っているわけで、これ以上突っ込むとアブナイよ~~っていうサスペンスは原作を読んだ時は胸が張り裂けそうでした。

アニメ版でその幾らかでも感じてもらえていたら嬉しいです。

加奈と出会って新一がどう変化していくか。
このところは、原作(完全版全8巻の)4巻真ん中辺りで半分の位置。
その後は後藤や広川、田村玲子が大きく関わってきて世界が一気に広がります。

来週の12話。
そして来年も「寄生獣 セイの格率」をお楽しみに。