ここ九州も朝晩はめっきり冷えてきた。
しかしお陰様で空気が澄んで山登りには絶好の季節である。
そんな季節、天気が良い日にはやっぱり山に行こうっ
ということで…
~丹助岳(たんすけだけ)~
宮崎県日之影町に位置する山。その隣にある矢筈岳(やはずだけ)と綱の瀬川を挟んでそびえ立つ比叡山と共に、まるで中国の墨絵を思わせるような独特な美しさと存在感を出す名峰。これらの雄大な景観は祖母・傾国定公園特別地域に指定されており、訪れた人々を圧倒し感動させている。丹助岳は、歩行時間も短く、ちょっとしたハイキングとして訪れることも可能である。
オッチョコチョイな人みたいな名前のこの山は、侮る事なかれ、けっこうな険峻な岩山である。
登山と言うには距離が短すぎるので近くの矢筈岳とセットで登ることにしよう。
ちなみにこの矢筈岳は昨年のクリスマスに登った比叡山のお向かいさんの山である。
丹助岳の近くに丹助岳広場なる施設があり、ここまで車で行ける。
スタートをここにして丹助岳に登り、そして一旦戻って矢筈岳へ向かう計画とした。
熊本の自宅を朝5時に出発して宮崎県高千穂町へ、そしてそのお隣の日之影町に入って国道218号を延岡方向に進んでいくと、青雲橋の先にある中村トンネルを抜けた800mほど先の左手に「丹助岳」の看板がある。この鋭角に曲がって登る町道を進んでいく。
ここからの町道はムチャクチャ狭い道で、舗装も所々陥没していたり、石が転がっていたりで、とてもとても普通に走れる道ではないので、ゆっくり安全に進んでいこう。
ちなみに私のC-HRでギリギリだった…参考までに…(汗)
ひたすら狭くて険しい道を車で進んでいくと、丹助岳広場に到着する。
ここが今回の駐車位置でスタート地点だ。
丹助小屋なる山小屋があり、広場と言うだけあって広々としたところである。
清々しい朝の中…車を出ると…寒いっ(冷)
ま、まぁ…山だし明日から12月だし…
そんな冷え冷えとした広場で準備を始める。
今回は丹助岳と矢筈岳のふたつの山を登るのだが、丹助岳はすぐ近くで距離もそれほどでもないし、登り終えたら一旦ここに戻ってから矢筈岳に向かう予定なので、ザックなしで登ることにする。
ということで丹助岳へはウエストポーチとサコッシュという身軽なイデタチで(楽)
でゎ いざっ 丹助岳へっ!
広場の奥にある山頂道標から登山道に入る。
細く緩やかで歩きやすい遊歩道を進み最初の分岐を、まずは展望所に向かって進む。
分岐からすぐに展望所に到着した。
おぉ
なかなかの眺望だ。
南西方向に朝日に輝く諸塚山が美しい。
阿蘇山や祖母山が遠くに見えるが雲がかかっていて残念。
手前の山の谷間にはまだ朝霧があって雲海となっている。
美しい風景だ(画像は後で…)。
山頂はもっと良い景色が拝めそうなのでサッサと次に進もう。
分岐まで戻って山頂に続く道を進む。
道はここからも快適で歩きやすいのでサクサク進んでいく。
アップダウンを繰り返して進んでいき、山の懐に入ったら、ちょっと急な斜面を緩やかな九十九折に施された遊歩道を黙々と登っていく。
岩肌が見え出すと分岐が現れる。天狗岩と山頂への分岐だ。
どちらからも山頂へ行けるらしい。私はもちろん天狗岩方向へっ
岩を掴みながら登りきると天狗岩に出た。
おおぉ
これはかなり絶景だ(驚)
先ほど展望所で見た景色より断然美しい。何より360度の眺めなので比じゃない。
ここに来るのであればさっきの展望所は行く必要はないな(画像は後で…)。
天狗岩の先っちょは安全策なんぞ施されていないため、ちょっと怖い…。
そんな岩の上で天狗になったら次に進もう。
天狗岩から山頂への道はこれまた岩場を進む道でけっこう危険なアスレチックゾーンだ。
垂直な岩場をロープで降りるところもある。私は空身だったので楽々降りれたが、あまり気を抜くと危険だ。気をつけて進もう。
天狗岩から下りて山頂に続く道を進む。
途中に南側経路で登って来れる道との分岐あり。帰りはこの道で下りる予定だ。
分岐からさらに山頂に続く道を進む。
最後にけっこうな急登を登りきると…
丹助岳山頂に到着~っ
おおおぉっ
やっぱりここが一番絶景だぁ~
山頂には木々があるのでウロウロする必要はあるが、全周の景色を楽しむことができる。
山々の連なりが美しい…(惚)
大崩山方向の景色も雄大で素晴らしい。
ということで、これまでの素晴らしい風景の写真を一挙に公開っ
丹助岳っ さいこ~っ!
朝の美しい山々の風景も満喫できたので、そろそろ下山することにしよう。
下りは先ほどの分岐から真っ直ぐ南側へ下る。
この道はけっこう急な下りであるが、空身なので楽ちんある。
…とはいえ、安全のためにロープはしっかり持っておこう。
九十九折になっているここの下りは踏み跡がはっきりしていないので分かりにくいのだが、なんとなくジグザグに進んでれば大丈夫だ。
「歩きやすいところ」そこが道だっ
そんな不親切な説明しか表しようがない道を下り終えると分岐に辿り着く。
右が広場で左は神社らしい。
せっかくなのでその神社に行ってみよう。
左に進むと程なく神社の鳥居が見えた。
うおっ
凄まじいところにある神社だな…(汗)
まぁ…とりあえずお参りしておこう…(祈)
安全祈願のお詣りが済んだら神社をあとにして分岐まで戻り、広場に向かって遊歩道を進む。
平坦な歩きやすい道をしばらく進むと一旦車道に出るが、すぐに右に進む遊歩道に戻り、登りきったところが広場(小屋の正面)だ。
車に戻ってきたらここで仕切り直すため、まずは朝食にしよう。
食べ終えたらザックの準備をする。
さて、ウォーミングアップ(丹助岳)も終わって朝飯も食べた。
さぁ!次はザックを背負って矢筈岳に向かって出発だ~っ
まずは車道を少し戻り、広場入口と東方向へ下る車道の交点まで進む。
ここが矢筈岳へ続く遊歩道の入口である。
ちなみに、この東に向かう車道を進んでも矢筈岳手前の駐車場まで行ける。っていうかその駐車場まで車で行けるのだ。
通常はこの間を車で移動するようだが、それでは山登り感が出ないので、私はここから遊歩道を進むことにした。
そんな誰からも頼まれてもいない面倒なルート選択を、少しだけ…ほんの少しだけ後悔しながらも、とりあえず登山口から遊歩道に入る。
朝日が眩しい遊歩道はよく整備されており、広くてキレイな道である。
空が晴れてて気持ちいい。ザックの重みも心地よく感じる晴天の遊歩道だ。
途中まで東側の景色が広がる道の途中から、これから向かう矢筈岳と、その奥に昨年登った比叡山がよく見える。
その左にはさっき登った丹助岳が青空に映えて美しい山容を見せている。ここから見るとけっこう尖ってる…あんなところによく登ったな…(感)
さて、遊歩道は森の中に入っていくが、ここからも甚だ歩きやすく、危険な香りなんぞ一切なし。
何かあったらいけないとツェルトや非常食なんかも詰めてきた私がマヌケみたい…そんな安心安全な登山道である。
山全体が冬の装いになっており、お花鑑賞しようにも花が咲いてないので黙々と進んでいく。
ということであっという間に遊歩道上にある矢筈岳三角点まで来た。でも特に用事もないのでスルーして先を急ぐ。
アップダウンでいくつかの小ピークを越えて進んでいき、気がつくと車道が見えて広場に出た。
ここが先ほど説明した矢筈岳手前の駐車場だ。ここまで車で5分程度で来れるらしいが、徒歩でも30分ほどで着いた。
さてここから矢筈岳登山道である。
最初の登山口が左右に分かれているが、右の真っ直ぐ進むルートが西峰、左の下っている道が東峰に直接行けるルートだ。
もちろん私は西峰コースへ。
ここからもすこぶる良好な状態の歩きやすい遊歩道に仕上がっている。
鼻歌でも歌いながら進んでいると道の先の木々の間から、有り得ないほど異様に尖っている矢筈岳西峰が見え出した。
なんだあれは…登れるのか?…(汗)
そんな不安を暗示するかのように、ほんの少しだけ危険な香りを醸し出してきた道を恐る恐る進むと、西峰の手前に東屋が現れた。
とりあえず気持ちを落ち着かせるためにここで一旦休憩しよう。
さて気持ちの整理がついたら、いよいよ中国の桂林にありそうなこの岩山「西峰」にアタックだっ
…とはいえ麓に立つといかにも険しそうである(汗)
もちろん岩場を登っていくのだが、ちょっと危険が危ない…(怖)
なるべくロープに頼らず岩や木を使って少しずつ進んでいく。
なんとかひとつめの岩山を登りきると、一旦ググっと下って西峰本体へ…。
最強ラスボスが立ちはだかるっ
そしてつぶやく…これどうやって登るんスか…(大汗)
路頭に迷っていると赤いテープが誘う…どうやら右脇腹から攻めるようだ。
ここからも極力ロープに頼らず登っていく。仕方なくロープに頼る場合にはしっかり固定されているかどうかを確認して登っていこう。
こんなところで足を滑らせそうものなら自動的に人生が終了してしまうかもしれないから…(怖)
慎重に…慎重に…(冷汗)
険しいアトラクションが続く岩登りだが、けっこう登ってきたところで現れるのが岩場渡りっ!
岩に巻くようにロープが施されており、その足場は人工のボルトだけ…。
もう危ないとかのレベルはとっくに超えてしまっていて罰ゲームみたいになってる…(汗)
なにが楽しくてこんなところにいるんだろうと後悔ながらも、自分で選んだルートだからしょうがない…と、なんとか数々の苦難を乗り越えて、やっとのことでラスボスの背後を捉えた。
ここからゆっくりと開けた場所に進むと…
矢筈岳西峰山頂に到着~っ
ぬをぉぉ~っ!
美しい眺めが360度大パノラマでド~ンっ
素晴らし過ぎ…(泣)
山頂からの眺めは苦労して登った甲斐がある。特にこの日の晴天と澄んだ空気のおかげで物凄い感動できる風景だ。
青空に映えた近くから遠くの山々がくっきり見えて美しい。
特に目の前の丹助岳は全体が見えてなかなかカッコいいぞっ(惚)
この絶景の中で大休止したいところだが、時間もまだ早いし、次の東峰はすぐそこ…。後ろ髪を引かれる思いではあるが、先に進むことにしよう。
まずはこの聳り立つ岩山から下ることから。
東側に下りていくのだが、西側の表玄関とは打って変わり危険度はそれほど高くない。
急な斜面ではあるが、普通の登山道って感じ。
高所恐怖症な方はこちらから登れば大丈夫だ(と思う…)。
呆気ないほど楽に平坦な場所まで下りてきたら、ここからはゆったりとした遊歩道を進む。
自然林に囲まれたマイナスイオンいっぱいの気持ちのいいエリアだ。
程なく分岐が登場。ここは矢筈岳登山口からのもうひとつの登山道との合流地点である。
ここから東峰への登りとなるわけだ。
東峰へはちょっとだけ急な登りとなり、けっこうキツかったりする…(汗)
でも木漏れ日に輝く緑が美しいなかなかステキな森の中なので頑張って進もう。
岩がチラホラ見え出したら山頂が近い証拠、もう少しだ。
最後の稜線を進んで行ったその先に…
矢筈岳東峰山頂に到着~
残念ながら眺望は良いとは言えないが、ただ西側だけは開けており、比叡山がド~ンっと迫っているっ(驚)
間には網の瀬川の深い渓谷で矢筈岳と比叡山が切立っており、迫力満点の姿であるっ
ということでちょうど日陰にもなっている比叡山の目の前で大休止にしよう。
山頂の特等席ではあるが、まさかこんな天気の良い日にこんな低くて見晴らしもそれほどでもない矢筈岳東峰に来る人なんて、オレくらいだろう~わっはっは~
と、勝手に判断してお昼ごはんにする。
本日のメニューは…
カップ麺(カレー)と自家製おにぎり、デザートは…買ってくるのを忘れてた…(泣)
代わりと言ってはなんだが、行動食の甘いパンで…(汗)
カップ麺が出来上がって、さぁ食べようかとした刹那、背後からガサガサと人の気配が…
あれ?
登山者がやってきちゃったっ(焦)
慌てて片付けようとすると、その方は「いいですよ、写真撮ったら戻りますので」と、心優しい配慮をしてくださった。
とは言え「そうですか、でゎ遠慮なく」などと目の前で食事を続けるわけにもいかず…写真を撮り終えるまで場所をあけ、その後その方としばらく会話を交わした。
なんでも福岡からの方で、西峰にも登ってみたいが、高所恐怖症なのでどうしようかと…いうことだったので、東側から登れば大丈夫ということをお伝えした。
その方が立ち去った頃にはカップラーメンがカレーうどんになり果てていたが、まぁ味は変わらないから…と食事を再開した。
…と、何回か口にした時、またガサガサとっ
今度は男女二人組の登山客が…(焦)
あららっ
またまた登山客がっ
予想に反してけっこう人気あるのね…(汗)
今度こそは絶景ポイントを譲って、少し後の森の中に移動。そこで食事を続けることにした…これ以上放置すると、うどんが「ほうとう」に変わってしまう恐れがあるからだ(汗)
この方たちもここで食事をすることにしたようだ。
お互いに食事をしながら登山話に花が咲く。
なんでも宮崎市からで、男性の方はここいらの山には昔から何度も来ているらしい。
ここ付近のマイナーだが登り甲斐のある山を紹介してくださった。
それに加えてデザートに草餅も分けてくださった(謝)
またドローンが趣味で、この日もドローンを飛ばしながらいろいろ見せて頂いた。
ドローン…楽しそう…(羨)
会話が弾んで思いのほか長くなってしまった。そろそろ下山することにする。
お二人にお礼を言って山頂を後にする。
まずは先ほどの分岐まで戻り、西峰を回り込んでいる安全なルートで帰ることにする。
ってか西峰のあの断崖絶壁は下れないと思う…(怖)
この道はさほど難しい道でもないし、険しい道でもないので説明は要らないかもしれない。
ちょっと急な下りを降りきって、そこから登っていく…感じかな…(汗)
それほどキツい道でもないので安心して進める。
そうこうしているうちに車道に出た。
もちろん車道を戻ることもできるが、距離的に遊歩道が短いので往路を戻ることにする。
はじめの登り階段はけっこうキツかったりするが、そこから先は往路と同じアップダウンが続く道だ。
ちなみに三角点のあるピークとその東側のピークには平坦に回り込む楽ちんコースがある。
どうしても登り下りが嫌な人は通ってもいいと思うが、あまり使われていないようで歩きづらい…。
アップダウンで苦労するか、歩きづらい道で苦労するかの違いなので五十歩百歩だと思う。お好きなほうをどうぞ。
遊歩道をひたすら進んでいき、最後の開けたところから美しい風景を眺めて一息。
登山口まで戻って、そこから広場に進んで…
駐車位置に到着~w
本日の山旅はこれにて終了~♪
お疲れ様でしたっ
今回登った丹助岳と矢筈岳だが、どちらも近くまで車で行けるのでお手軽と言えばお手軽なのだが、険しさはどちらもハンパないので、それなりに注意は必要だ。
とはいえ、死ぬほどの危険なところは矢筈岳西峰の西側登りくらいなので、ホントお気軽に楽しんでもらいたい。
ただし、どちらも登山口までの車道はかなり狭い道なので車の運転には十分注意していただきたい。
~今回のルート(クリックで拡大)~
<今回の植物たちはお休みします>
~Epilogue~
矢筈岳西峰は、計画の時点でネットで調べていたら「今は登れない」との情報があったので躊躇したのだが、ダメもとで行ってみることにした。すると現時点(令和1年12月)ではロープや鎖などの安全策もしっかりと整備してあって、安全に登ることができた。(本文ではちょっと大袈裟にデフォルメしてる…)
聳り立つこの西峰の山頂からの景色はとても低山とは思えないほど美しい。
ここに登れるように尽力していただいた関係者に感謝しつつも、険しい山行を怪我なく帰ってこれたことが一番のなにより…と思いつつ丹助岳広場を後にした。
ここからの帰り道も狭くて長い下り道…安全運転で帰ろっと…。
おわり