熊本県にはたくさんのお国自慢なものがある。
阿蘇山や辛子蓮根、熊本城にくまモンなどなど…
そういう中に、あまり知られていないかもしれない日本一がある。
3333段の石段だ。
美里町にあるこの石段は、ただ闇雲に作った石段ではなく、山の上にある「金海山大恩教寺釈迦院」という寺院の参道となっている。
詳しくは美里町のHPを見てもらいたいが、とにかく日本一の石段なのである。
もちろん大行寺山という山頂に向かっている石段で、いわゆる「登山」道なのだ。
そういうわけで、今回はこの石段を登って「大行寺山」と「釈迦院」、それとついでに同じ山系にある「権現山」というマイナーな山に登ってみよう!
〜日本一の石段(釈迦院御坂遊歩道)〜
熊本が全国に誇る日本一の3,333段の石段。全段登り切ろうとチャレンジする人が多く、途中には休憩所やトイレなどもあります。石段には、全国10ヶ所の名石のほか、外国7ヶ国の御影石が使われています。釈迦院に続く表参道「御坂」に建設されたこの石段は、町の活性化を図る新しい観光の目玉として昭和63年に完成しました。毎年11月には、「アタック・ザ・日本一」も開催されます。
今回は自宅から近いが、平日なのであまり遅いと通勤ラッシュにぶつかるかもしれないと思い、朝の6時に起きて準備次第出発。
釈迦院御坂遊歩道へは国道443号から坂本という地区に進む。国道から表示があるのですぐにわかるが、分かっててもボーッとしていると通り過ぎてしまうので注意。ちなみに私はボーッとしていたクチだ。
緩やかに登っていくと広い駐車場が現れる。トイレもあってかなり広いのでここに停める。
案内所があるが、人がいない。ってか、この広い駐車場に私しかいない。
まだ朝の7時過ぎで、早過ぎだから人がいないんだろうか…
もしかして冬場は誰もこないから「タダ」なのか?
…と、儲けた気分で準備をしていると人影が…。
遠くでおばあさんが掃除をしている。
この方が管理人らしく、私に気づくと「印鑑持ってきますから待ってて」ふうな意味の熊本弁で告げて消えていった。
しばらくすると戻ってきて案内所の中に入った。
私が300円を差し出しながら「すみません、こんな早くに…」と言うと
「本当に早い時間にいらっしゃいましたね」ふうな意味の熊本弁を言いながら駐車券に一生懸命ハンコを押していた。
領収書を渡すと思いきや「これ持って行きなさい」ふうな熊本弁でデコポンを私にふるまう。
何度も丁重にお断りしたが、貰わないと帰してくれそうになかったので、それならばと有難く駐車場の領収書と一緒に頂戴した。
さて、そのデコポンは帰ってきてからのお楽しみにと車に残し、準備を終えて出発。
ここから石段の入り口までしばらく車道の歩道を歩く。
梅の花が咲いている。キレイだねぇ~w と癒されながら入口を目指す。
私が停めた駐車場は石段入口から一番遠いところにあるが、もっと石段近くにも小さな駐車場がたくさんあり、料金も100円や200円とリーズナブルなところもある。ただし、無料の駐車場はないので注意。トイレの前に何台か停めれる駐車スペースがあるが、そこはトイレ利用者専用なので停めないように。帰りに見たら2台ほど停まっていたが、トイレ利用ではなく、石段に登りに来た人の車のようだった。だいたい駐車料金が払いたくないのであれば来なければいいのに(怒)
そうこうしているうちに石段入口に到着。
この日本一の石段は、以前2回ほど登ったことがある。ただただキツい記憶しかないのだが、今回は石段に加えて山登りもするのだ。考えてみたらけっこう無謀な計画だったかも…。
…と、いまさら自分の立てた計画に後悔しても始まらないので、とりあえず石段を登りだす。
しゅっぱ~つっ!
石段登り。
いわゆる淡々とリズムよく登っていくわけだが、ここは日本一の石段であり、その行程や石段のキツさなどについては、いろいろなブロガーさんが書いているので詳しくはソチラに譲るとして、ただひとつだけ…
登り始めにある第一イベント会場(?)の「おみくじ(50円)」をひいてみた。
「末吉」
私はそんな微妙な運の持ち主だったことを報告しておこう。
途中で今回の目的地のひとつである権現山を望む。
あとはただひたすら石段を登り続ける。
さて、乳酸がこれでもかっ!と足に溜まりきったところで3333段の石段が終わる。
石段の頂上からは石畳の参道となる。
少し進むと急カーブがあり、案内はないがここから「権現山」へ進む。
が、まずは釈迦院に行くことにする。
石畳の参道を登りきると展望台がある。
ここの展望台は景色が良く、登ってきた詮があったと疲れも吹っ飛ぶだろう…たぶん…。
ここから先も石畳の参道だが、平坦なので楽チンだ。
500mほど進むと、ふたりの赤い仁王様が門でお出迎えしてくれている釈迦院に到着する。
山の中にこんな大きなお寺があること自体がすごい。
とても立派な寺院で圧倒的だ。
人っ子ひとりいない境内で写真を撮りまくり、お参りを済ませて先に進む。
ここから大行寺山に向かうために本堂の横を通って裏山の山道を進む。
道ははっきりしておらず、なんともわかりづらい道ではあるが、大行寺山山頂の位置は西側にあるので、その方向に進む。
倒れた竹がそうとう鬱陶しいが、無理やり進む。道自体は見失なうが、方向を信じて進むと木の階段を発見した。
ここから大行寺山山頂への道は極めて道が悪い。倒れた竹や木が道を塞いでいるのでなかなか先に進めない。
なんとか回り込みや大またぎで進む。決して「遊歩道」と呼べる道ではない。
ふと…石畳の参道ができるまではこの道を使っていたのかな?そして石畳の道が出来てからはこの道は使われなくなって荒れ果てたのだろうか…などと想像は膨らむが、如何せん道が悪くて「いにしえ」の道への想像に集中できない。
そうこうしているうちに山頂到着。
大行寺山の山頂には展望台があるとウェブサイトで情報を仕入れていたので期待していたのだが、この展望台はどうだろう。
朽ち果てており、登りでもしたら命の危険もありそうな様相だ。
見た目もかなり残念なので、ここで休憩するつもりだったがさっさと下ることにする。
下りも上りほどではないが道はかなり悪い。
スズダケやら倒木やらと格闘しながら進む。
やっとの思いで石畳の参道に出た。
はっきり言っておこう。大行寺山山頂はオススメしないっ!!
道は悪いし、山頂はお化け屋敷みたいだし、ややもすると朽ちている展望台の鉄筋が落ちてきて怪我する可能性もある。
立入禁止にしてもいいくらいだ。
憤慨する気持ちを抑えつつ、最初の展望台まで戻って、ここでやっと休憩する。
とりあえず大行寺山は散々だったので次の「権現山」に期待しよう。
しかしこの権現山、実はちゃんとした登山道があるわけではないのだ。
たぶん…稜線を伝っていけば着くだろう…という安易な考えで登ろうとしている…ある意味「一か八か」のルートなのだ。
それでは意を決して、先ほど見つけた権現山登山口(であろう)から山に突入っ!
まず目に入るはいつもの赤いテープではなく銀色のピラピラしたテープ紐だ。
それと同じく杉の木に白いマークがしてある。
これは道標か?
と思うくらいはっきりと表示してある。
と、その足元を見てみるとプラスチックの杭が…
おおっ これはきっと境界線だ。美里町と泉村の境界だ。
境界線と分かれば、これを目印に進めばいい。権現山へは境界線を伝っていけば着くのである。
とはいえ、道があるわけではない。白い目印は先にあるが、そこまでまっすぐ進めない場合が多い。倒木が多いのだ。
倒木などを避けて進んでいると目印を見失ってしまう。
こういう時は地形を見るといい。
境界線は稜線の一番高いところを通っているので、稜線の…いわゆる進むべき方向の一番盛り上がったところを目指せばいいわけだ。
どんな平坦な地形でもよく見ると一番盛り上がったところがある。
尾根のように登っていたり下っていても、その伸びた尾根の背中の一番高いところを歩けばいいわけである。
そうすると何かしら境界を示す杭やら印やらが見つかるのだ。
しばらく進むと、これまで進んできた稜線と権現山への稜線を直角につなぐ名もなきピークへの登りとなる。
境界線はこのピークを通っているので、この山に登ってしまえばルート取りは簡単なのだが、結構な登り勾配で、そこからの権現山方向への下りもハンパなく急だ。
ここはこのピークを回り込むように進んで権現山への稜線に取り次いだ方が時間的にも体力的にもベターだろう。
ということで、このピークに登る手前で方向を右に変えて進む。
念のため、迷った時のことを考えて方向を変えた場所に赤テープで印をつけておく。
ここからは一旦下りとなるが、あまり下りすぎると稜線への取り次ぐ時にまた登らなければならなくなるので、あまり標高を変えないように進む。
少し進むと道らしきものを発見。
お? これはもしかして権現山への道か?
と、あまり容易に飛びついてしまうとヒドい目に合うので、ちゃんと方向を確認しながら進もう。
どうも方向的には合っているので、歩きやすそうなこの道をしばらく進む。
すると権現山への稜線らしき尾根が見えてきた。
左を見てみると先ほどのピークからきれいにおりてきている痩せ尾根だ。
とりあえずその尾根に登ってみる。
その尾根を辿って先を見てみると木々の間から権現山が遠くに見えた。
おお~ これは間違いないぞぉ~(嬉)
と、その稜線を進み出したが、これまたすごい降り勾配で、なおかつ倒木もハンパなく倒れているので歩きづらい。
まぁ…遊歩道じゃないし、しょうがないね…
とにかく行手を倒木が邪魔しやがる。
行く方向は分かっているのだが、倒木を避けているとなかなか思うように進めない。
やっとのことで、なんとかコル部に出た。
今までの道からすると少し道がよくなった。…まぁ、厳密には道じゃないんだけどね(笑)
痩せた稜線をしばらく進むと権現山の麓に到着する。
最後の登りはゆっくりと…噛みしめながら…登山だし…
と、いきなり岩場が現れる。岩場の登りも道らしき道がないので安全を確かめながら登る。
掴んだ岩が転がり落ちでもしたら大変だしね…(汗)
最後の登りは岩場というかガレ場というか…とにかく登りづらい。
通れそうなルートを探して右往左往すること数分…
やっとのことで山頂到着~w
あ、一番高いところは東の方だな…
と、その視線の先に三角のテントみたいなものが…
もしかして誰かテン泊してる?(驚)
が、よ~く見ると…それはトタンで作られた祠の屋根だった…
そのトタン屋根の下には仏様が祀られていた。
この方が「権現様」であろう。
奮発して本日一番の賽銭をお供えして、これまでの無事と帰りの安全をお頼みする。
ちなみに3333段から釈迦院を経てやってきたこのルートではたくさんのお地蔵さんや仏様がいらっしゃるため、お賽銭がたくさん必要となるので財布を忘れずに。
さて、ここ権現山は、苦労して登ってきたにも関わらず、眺望がほとんどない。木々の隙間から熊本市内方向がちょこっと見えるくらいだ。
反対方向は少しはマシだが、如何せん山しか見えない。たぶん仰烏帽子山だと思う。
まぁ…いいかw
今回の本当の目的はこの山頂ではなく…
「食事」だ。
毎回毎回お昼にはカップ麺を食べて、それで満足していたが、いい加減「飽きた」わけである。
ということで、ちょっとした手間は必要だが、初の調理に挑戦ということで、今回は…
「野菜煮込みラーメン」を作るっ
と言ってもただ野菜と袋ラーメンと一緒に煮込んだだけなんだけどね…。
しかし、それだけの変化でもけっこう楽しかったりする。
人前で失敗すると恥ずかしいが、ここは権現山、登山道もないマイナーなこの山には私しかいない。失敗しても誰も気づかない。
結果、少し麺はのび気味であったが、上手くできたw
食べてみると、これが実に美味いっ! これは「あり」ですよっ(嬉)
本日は食後にコーヒーでブレイク。
天気がいいので気持ちがいい。見晴らしいいともっといいのだけれども…(残)
さて、初調理も上手くいったことだし、これ以上やることもないのでそろそろ帰ろう。
山頂の権現様に帰りの無事を祈願して山を下る。
帰り道も、はっきりとした道があるわけではないので迷子になる可能性は否めない。気を引き締めて帰ろう。
と、そう思った矢先にいきなり尾根を間違えた(汗)
方向が全く違うのに「こっちだ〜」と進んだ先に見覚えなし…
…人の思い込みって怖いね…(汗)
帰り出す方向を間違えると大変なので、ここは確実を期すためにスマホに活躍してもらう。
この権現山は、ちょっと方向を間違えると断崖絶壁となっている場所もあるので本気で危険だ。
滑落すると怪我するどころの話ではなくなるので真剣にいこう。
元来た道をゆっくりと探しながら戻る。
とにかく焦りは禁物だ。往路での記憶を思い出しながら、確認しながら進む。
往路でつけた赤テープが安心につながるので、マーキングしながら登頂すると良い。
さほど迷うこともなく最初の入口に到着、石畳の参道に出た。
あとは安心して階段を3333段下る。
ちなみに階段は下りの方がきついので、休憩は多めにとる。その際、足の曲げ伸ばしをしっかりしておかないと筋を痛めたりするので注意。
かくいう私も脹脛が少し痛くなった。
3333段の階段を登って釈迦院から大行寺山に登って、それから権現山へ往復し、それから3333段を下ってきたわけだから、これくらいで済んだのは幸いだろう。
下っている途中、たくさんの参拝者(石段を登っているだけかもしれないが)とすれ違う。けっこう若い人も多い。
そして駐車場に到着、本日もお疲れ様でした~w
今回登った3333段の日本一の石段は健康維持や体力向上にいい「ちょっときつい遊歩道」であり、軽装でも十分登れるお手軽な登山道だ。
これに釈迦院の参拝を加えてもちょうどいい運動になるくらいだろう。
ただ、大行寺山山頂はまったく登る必要はない。というより登らない方が良い。
最後に権現山であるが、ここは道がないし、山頂も権現様以外に何もないし、眺望もないので、あまりオススメではない。
どうしても登る場合は、地図とコンパス、それと万が一を想定した準備をした上で挑戦してもらいたい。
ちなみにスマホ(docomo)は圏外になることはなかったので、携行することをお勧めする。
もう一度言っておくが、大行寺山から権現山へは獣道さえないので、事前にしっかり地形とルートを頭に入れて、地図上での経路確認をやって、無理な時間計画は立てず、登る際は地形と方向を見誤らないようにゆっくりと登るように注意してもらいたい。
~今回のルート(クリックで拡大)~
それでは、私は明日以降の筋肉痛を和らげるための温泉に行くので、これで失礼する。
おわり