今回、小国町の涌蓋山に登るか五木村の仰烏帽子山にするかかなり迷っていたのだが、天候の良い仰烏帽子山に決定した。どうせ登るなら天気の良い日に山頂での景色を楽しみたい。
移動に2時間ほどかかるということで朝は5時に起きて家を出る。
今回はファミマで山登りセット(+)を購入、五木村を目指す。熊本市からは、甲佐町に入り国道443号~県道25号から五木村方面に進むと「仰烏帽子山登山口」がある五木村の元井谷地区に最短距離で行ける。
県道25号で五木村に入ってしばらく進むと元井谷地区に入る。道の左手の五木小川を渡る大きな橋、元井谷橋(仰烏帽子山表示あり)を渡り「仰烏帽子山」の看板が示す右に進む。すぐに狭い山道になるが、それほど狭い道ではない。ただし落葉がかなり落ちていて落石したものだろうか小石もたくさん散らばっているのでゆっくり進もう。
4kmほど進むと第一登山口につく。
ちなみにこれよりさらに4kmほどで第二登山口があるらしいが、今回はこの第一登山口から登る。
登山ルートは「元井谷第1登山口~分岐1(第2登山口と仏石と山頂)~仏石~分岐2(椎葉登山口と山頂)~展望台~分岐3(展望台と山頂)~分岐4(兎群石山と山頂)~兎群石山~(分岐4に戻って)~仰烏帽子山頂~分岐4~分岐3~風穴~分岐1~第1登山口」という計画だ。
ちょっと手前の駐車スペースに車を止めて準備に取り掛かる。

今回から新しいトレッキングシューズだっ
Columbia の Saber Mid Omni-Tech っていうやつだ。
店で見てあまり形と色が「イマイチ」と感じたのだが、履いてみるとジャストフィットっ!それに軽いっ!!
びっくりするくらい私の足の形にぴったりだったもんだから即買い。
今まで使っていた靴は、もし山登りが続かなかったらもったいないと思い、安くでネットショップで買ったもので、トレッキングのモドキですぐにボロボロになってしまった。確かに形はトレッキングシューズだったが、たぶん普段履き用に作られたものらしく、そんな靴でホントに登山したもんだから踵のゴムが崩れてしまったのだ。
みなさん、山登りするならキチンとトレッキングシューズを買いましょう。
とにかく「慣らし」もなく、いきなりの登板で靴もびっくりだろうが、実践で「慣らす」のが一番だということで今日の山登りに連れてきた。
準備ができたら第一登山口に向かう。

登山口には簡易トイレも設置される。この山は整備がされている様子。これは安心して登れそうだ。
では、いざっ!仰烏帽子山頂上へっ!
…と、いきなりの方向分からず(汗)
ロープを伝っていくのかな? でもかなり道悪いぞ…。 あ…赤印(テープ)が向こうに…。
なんだなんだ? 初っ端から険しいぞっ!

とりあえず沢を登って行こう。でも沢は石がゴロゴロしているので歩きづらい。
右往左往しながらテープやケルンを頼りに登っていく。
すると沢が大きな岩で進めない箇所に着く。
「ここはどうするの?」と右を見てみると、一本のロープが垂れ下がった急斜面を発見。
「これ登るんスか??」
どう考えても登り道はこれしかない。
「いきなりかいっ」
と突っ込んでみても登らないと始まらないのでロープを引きながら登っていく。
前回の冠ヶ岳のようにハイキングではなく、いきなりの本格派な登山である。
さて新しい靴であるが、すでに泥まみれになってしまっているが、さすがに喰い付きがいい。滑ることはほとんどない。いやぁ買ってよかった~w
いきなりのロープよじのぼりが終わると、さらに沢を登り続ける。
倒木で通りを邪魔しているのと、沢自体が勾配があって、這いつくばって登る箇所が多々ある。

う~む… 完全にナメていた。整備はされていないに等しい。
これは前途多難な山登りになりそうだぞ…。
沢を登ること30分ほどで少しなだらかになってきた。

さっきから脇のロープに進行方向を騙されているのだが、よくよく見てみると「立入禁止」の看板。ははぁん、このロープは立入禁止のロープで道誘導のロープではないのだな…。今やっと気づいた。
そうとわかればテープを頼りにすればいいのだ。
…って、しかしそのテープが見つからない。とりあえず沢を登っていけば…
と、よく見ると立入禁止ロープと獣防止ネットに挟まれて道になっているっ! こりゃ分かりやすくてええわぃ♪
しばらく進むと、沢が二手に分かれている。どっちだ? 辺りを見回すと…そこにやっと赤テープを発見!
「おぉ…やっと安心して登れそうだ」
安心したところで休憩することにした。
登り始めから1時間ほど経過しているが、ここまでたいした距離を進んでいない。けっこう険しいな…。
体力が回復したら出発。
少し進むとでっかい2本の杉の木を発見。

「ほほぅ… 夫婦杉というのか」
脇には「山頂まで90分」と余計な情報を表示した看板もある。あと1時間半もこんな状態なのかな…(汗)
しかし、これより先の道はご覧の通りロープの道が出来ているのでとても歩きやすい。いや、普通の山の登山道よりは歩きづらいのだが、これまでの沢登りに比べて…ということだ。安心しきって歩けるようなヤワな道ではないので悪しからず。
このロープで立入禁止にしているということは、ここ付近に「福寿草」が咲くのかな?
この仰烏帽子山は福寿草という黄色い花の咲く野草が有名で、2月頃には登山客でごった返すらしい。そんな山に季節外れの今頃登っている私って…。
枯葉の絨毯の道を進んでいると、ところどころ陥没している箇所がある。そこはどうしようもないのでロープを跨いで避けるしかない。そんな箇所がだんだん多くなると登山道は左に曲がり急勾配へ。

またまたロープで登る急勾配だ。
たくさんの落葉と一昨日の雨で濡れた岩で滑りやすくなっている。気を付けてゆっくりゆっくりロープを引きながら登っていく。
長い勾配をやっとの思いで登りきると最初の分岐に到着する。

第2登山口方向と山頂方向、それに登ってきた第1登山口方向の分岐点で、そのちょっと先に「仏石」への分岐がある。ここから「仏石」方向に進む。
仏石に進もうと道を探してみるが、全くわからない。
地図を見てみると、北側にある丘の南側を回り込むように道があるはずなのだが…。
まぁ、とりあえずその方向に進んでみよう。
地図を頼りに方向を定め、あまり降らないように進んでるとテープを発見。登山道に出れた。

急な降りになってきた。すると岩場に鎖が…
「すげ~ 金かけてんな…」
降り終わるとでっかい岩がお出迎え。

おぉっ! これが仏石かっ
裏に回ってみるとふたつの大きな石(っていうより岩)に挟まれて圧巻である。
下山の看板を発見。この看板通りに進み、次の分岐で仰烏帽子山手前の展望台に向かう。決して椎葉登山口なんかまで降りてはいけない。分岐を見落とさないようにしよう。

さて、その向かい側にある看板「仏石 登ると危険」
…登ると危険? 普通禁止の場合「登るな!危険!」じゃないか? もしかして登れる? ってか、登り口があるじゃん…。
ということで早速リュックを看板の近くに下ろして身軽な格好で登ってみた。
明らかに登れる。というよりロープまで完備されていて登って下さい状態。確かに危険ではあるが、全然登れるじゃん。
そして頂上に到着。

すげ~~!! 絶景ですゎ~!
椎葉方面の美しい山々が見える。すごくいい景色だ。
もちろん反対方向には仰烏帽子山も見える。
仏石の頂上には本当に仏様がいらっしゃった。
いつものごとく安全を祈願する。あ、賽銭…財布もってきてない…。すみません。賽銭はまた今度ということで…。

向かい側の岩には頂上に小さな(といってもかなり大きいのだが)岩が乗っかっている。まるで大きなケルン。
さて、頂上を堪能して仏石を降りると、次の目標は椎葉登山口との分岐。
そそくさと仏石を後にし、先に進む。仏石からは急な降りが続く。
こんなに降ったらまた登るの大変だなぁ~と、いつぞやの洞ヶ岳~茂見山間と同じような気分で降りていく。
しかしこの椎葉方面からの登山道、とても整備されていて気持ちいい。宮崎県側がんばっているなぁ。

危険箇所は鎖で安全確保。道をキチンと作って、排除できない倒木は分かりやすいように切り取ってある。すごい。
降りに降って沢まで降り着いた。こんなところまで降りちゃったぞ…と辺りを見渡すと分岐を発見。

おぉよかった、予定通りの分岐だ。これから展望台~仰烏帽子山を目指すのだ。
ということで看板通りに沢伝いに仰烏帽子山方向に進む。
と…その沢が… 大変なことになっている。

倒木がすごい。岩も最近崩れた様相ではないか。これ、登れます?
いやいや、これでこそ「登山」。いっちょうやったろうじゃねぇかぁ!!
と…意気込んで進んだのはいいが、とてもとてもスンナリ登れるような道(すでに道ではないが)ではなかった。
第1登山口始めのあの険しい沢が平地に思えるくらいすごい険しさだ。
「やっぱり仏石から引き返した方がよかったなぁ…」
険しすぎてなかなか進まない。
それに加えて足が痛くなってきた。靴が新しいもんで「マメ」ができそうになっている。
だいぶ柔らかくなったとはいえ、まだまだ完全に馴染んでいないのでやっぱりところどころ当たっているのだ。
「ここは一度休憩して靴を履き直そう」
先が見えない分、冷静になれた。大休止することで体力と足への負担を軽減する作戦だ。
履き直したおかげで足の方は少しは良くなったが、まだまだ沢は続く。
たぶんこれまでで一番険しい登山道のような気がする。
「恐るべし、仰烏帽子山」
やっと人工物を発見。

「山頂」 …?
え? 「あと〇〇分」とか「あと〇〇km」とかないの? ここは元気付けの意味も込めて、嘘でもいいから「山頂まであと10分」とか書いてくれててもいいと思う。
もちろんこの看板を過ぎても険しい沢は果てしなく続く。

どれくらい汗をぬぐっただろう。何回沢を渡っただろうか。
思考力も低下しそうになった頃、右側に大きな岩が現れた。もしかしてこれが展望台か?
そしてそれからしばらく進むとやっと沢が終わった。
「山頂」の矢印発見。
「おぉ~ やっと着いた~」

その先に「展望台」を指す看板発見。
右側に目的地の展望台だ。

展望台は大きな岩で、眺望は仏石と同じ椎葉方面の山々を見ることができる。ここに来るなら仏石に登る必要はないかもしれない。
とりあえずここで休憩することした。あと少しで仰烏帽子山なのだが、ここまでの行程での疲労がハンパないのだ。
仏石からの沢を見下ろすと、それほど長い距離ではないが勾配が急なのがよくわかる。こりゃキツイわな。
ゆっくり休憩しながら空を見上げる。
曇ってる。天気予報では1500くらいから曇る予定だったが、どうなってる気象庁、ちょっと早いぞ。
さて、体力も回復したところで最後の行程だ。
展望台から仰烏帽子山山頂への本コースへ戻るルートを進む。ここは赤テープがあるし、道もいいのですぐに分岐に到着。

ここから仰烏帽子山を目指すて進むだけだ。道がすこぶるいい。平坦でちゃんと登山道と呼べる道だ。
しばらく進むと稜線に出た。山頂はもう少しだ。

山頂まであと5分。おお~いよいよだね~
と、その前に「兎群石山」だ。山頂はその後、最後なのだ。

矢印の方向に進むと石だらけの広場に出た。ここが兎群石山だ。
この石が兎が群れているように見えるということだろう。確かに石が切り立っていて、珍しいっちゃ珍しいけど。
手前の広場は春や夏は花でも咲いてキレイなんだろうな。でも冬は殺風景だね。
特に感動することもなく、さっさと仰烏帽子山の登り道に戻る。
そして最後の勾配を登りきると…

仰烏帽子山頂に到着~!!
いやぁ~ 360度パノラマで最高っすっ!
ちょっと曇っているのが気になるけど、でも遠くまで見えるからいいや。

九州山地の山々が見える。他の登山客もいないのでひとり貸切状態。
ちなみに仰烏帽子山の山頂はある程度の広さはあるが、岩がゴツゴツしているのでシートを広げて…となると幾分狭い。

一段下がると休憩できそうな場所がいくつかあるので、団体の場合や登山客が多い場合は周りの地形を利用して休憩した方がよさそうだ。
本日は私ひとりしかいないし、他に登ってきそうな登山客もいなさそうなので、頂上の看板前の特等席に「どこでも休憩くん」を広げて大休止。
さて、今回のもうひとつの楽しみが「温かいお昼」だ。

このセットは山登りのために買ったわけではなく、もう使うことがなくなったガスバーナーコンロを使ってお湯でも沸かそうと持ってきたのだ。
荷物は増えるが、寒くなってきたこの時期ならやっぱり温かいお昼がいい。
お湯が沸いたので、今回追加で買ってきたカップラーメンとティーバッグのお茶にお湯を注ぐ。
そして3分後…
う~ん 美味しいっすねぇ~ 最高ですねw
山登りバンザイw
う~ん、こうも至福を感じるとガスコンロは外せないグッズになってしまいそうだ。
こうやって物が増えていくのだろうか…
とりあえず今の状態でリュックがパンパンなので、どうしようかと悩んではいるが…。
景色も堪能してお昼も済ませ、もうやることなくなったので帰ることにする。
雲行きも怪しくなってきたし、さっさと下山しよう。
帰りは山頂から最初の分岐に直接戻るルートで帰る計画だ。途中に「風穴」というところがあり、次の目的地である。
登ってきたルートを足早に降っていく。
展望台との分岐にはすんなり到着。これから先は初めて通る道だ。
道はとても歩きやすい。やっぱり仏石からは一度戻ってこの道を来れば楽チンだったのだ。
しかし、まぁ今となってはあの険しい沢もいい経験になったと思うよ。間違いなくスキルアップになったと思う。
山頂から20分ほど進むと大きな石の群れが現れる。
「こっちにも兎群石山か?」と思いきや、その石がだんだん大きくなっていき、最後は積み上げられたようになってきた。
「ここに風穴ってやつがあるのかな?」と見落とさないようにとキョロキョロしながら進み続けると…
ちゃんと看板でありました。

覗き込んでみると奥深くまで空洞になっている。風穴というくらいだから風が吹き出しているのかと近づいてみたが、何如せん周りの風が強くてよく分からない。気持ち風を感じたような気がする。
あまり長いこと覗き込んでいると何か出てきたら怖いのでさっさと退散することにした。
風穴からまっすぐ進むこと5分ほど、突然目印のテープが消えた。というよりテープの先が谷間になっているのだ。これはテープの位置が違うんだと思い、ひとつ手前のテープに戻り、次のテープを再度探してみる。
…ないなぁ…
地図を広げてみると、目の前の丘を回り込むように登山道があるはずなのだ。ちょっと先まで歩きテープを探してみたが、見当たらない。
さて困ったぞ…。
コンパスを出して地図で目的地の最初の分岐の方向を確認してみる。
目の前の丘の頂上から尾根沿いに下れば着くようだ。
「よし、自分を信じてっ」
進むことにした。ただし、もし間違った場合に備えて持参のテープで印をつけながら進む。
すると右手遠くに赤いテープがヒラヒラと舞っている。
「おぉっ!あるではないかぃ」
急いでそのテープの場所に行ってみると、その先にもテープがあり、ちゃんと登山道を表示していた。
そのテープの場所から迷ったテープの位置を見てみたところ、どうもこの間の道が台風か大雨で流されて谷間になっていたようだ。
間違っていなかったんだなぁ。
まぁ、とりあえず帰り道は確保できたので、新たなルートをテープで作ってきた。地図もない人が困るといけないからね。
そこから登山道をしばらく進むと見覚えのある分岐に到着した。最初の分岐だ。
ここからは急斜面を降って、あとは沢伝いに降りて行けば大丈夫。
とはいえ、この沢自体、登るときも相当苦労したが、降りるのも一苦労だった。
苔が多くて滑りやすいし、ロープで登ってきたところは降りる時の方が危なかったりする。
慎重に慎重を重ねてゆっくりゆっくり下山する。
そして山頂から1時間半で、無事に第1登山口の入口に到着した。
いやぁ~ 仰烏帽子山、ナメてましたゎ… 多分、険しさは今まで登った山で一番だったかも。
しかしそんな山で、計画通りの行程を進め、無事に下山できたことに大きな達成感を感じる。
険しくてルートもはっきりしないところが多々あったにも関わらず、ちゃんと全部の目的地を経由してルートを外れることなく全行程を終えたのはかなりの成長である。
これまでの失敗や経験が生かされたのだろう。ちょっとレベルアップした気分だ。
今回登った「仰烏帽子山」は総じて「レベルが高い」。
いろいろな危険箇所に加えて自然災害被害の復旧が進んでいないし、その関係で登山道が未整備の状態(いわゆる道なき道)なので、初心者や高齢者にはかなり危険だと思う。
中級以上の人でもちゃんとした装備で臨まないと痛い目に合う。
最後に… 「仰烏帽子山、ナメてはいけないけど携帯電話は使えます。もちろん山頂も」
今回は本当に疲れたので着替えて帰ることにする。
おわり