コヘレト9:13 わたしはまた太陽の下に、知恵について次のような実例を見て、強い印象を受けた。
9:14 ある小さな町に僅かの住民がいた。そこへ強大な王が攻めて来て包囲し、大きな攻城堡塁を築いた。
9:15 その町に一人の貧しい賢人がいて、知恵によって町を救った。しかし、貧しいこの人のことは、だれの口にものぼらなかった。
9:16 それで、わたしは言った。知恵は力にまさるというがこの貧しい人の知恵は侮られその言葉は聞かれない。
9:17 支配者が愚か者の中で叫ぶよりは賢者の静かに説く言葉が聞かれるものだ。
9:18 知恵は武器にまさる。一度の過ちは多くの善をそこなう。
少々内容は異なるが、ダビデとウリヤのことを思い起こす。
ダビデは、ウリヤの妻バテシェバとの間に姦淫の罪を犯してしまうが、その事実を消し去ろうと、ウリヤを戦場から引き戻し、妻のもとへ帰らせようとする。
しかし、ウリヤは頑なにそれを拒み、王と国への忠誠を果たそうとするのである。
サムエル下11:6 ダビデはヨアブに、ヘト人ウリヤを送り返すように命令を出し、ヨアブはウリヤをダビデのもとに送った。
11:7 ウリヤが来ると、ダビデはヨアブの安否、兵士の安否を問い、また戦況について尋ねた。
11:8 それからダビデはウリヤに言った。「家に帰って足を洗うがよい。」ウリヤが王宮を退出すると、王の贈り物が後に続いた。
11:9 しかしウリヤは王宮の入り口で主君の家臣と共に眠り、家に帰らなかった。
11:10 ウリヤが自分の家に帰らなかったと知らされたダビデは、ウリヤに尋ねた。「遠征から帰って来たのではないか。なぜ家に帰らないのか。」
11:11 ウリヤはダビデに答えた。「神の箱も、イスラエルもユダも仮小屋に宿り、わたしの主人ヨアブも主君の家臣たちも野営していますのに、わたしだけが家に帰って飲み食いしたり、妻と床を共にしたりできるでしょうか。あなたは確かに生きておられます。わたしには、そのようなことはできません。」
11:12 ダビデはウリヤに言った。「今日もここにとどまるがよい。明日、お前を送り出すとしよう。」ウリヤはその日と次の日、エルサレムにとどまった。
11:13 ダビデはウリヤを招き、食事を共にして酔わせたが、夕暮れになるとウリヤは退出し、主君の家臣たちと共に眠り、家には帰らなかった。
後の世に、ダビデのことは大きく語り継がれてきた。
もちろん、ダビデの姦淫の罪についてもそうである。
しかし、このウリヤの忠誠については、あまり多くは語り継がれていない。
ウリヤの取った態度は、本当に素晴らしいものである。
しかも、彼は、事実を知らされないまま、戦場で戦死した人物である。
このような人生をまっとうしたウリヤのことを、もっと評価されるべきなのかもしれない。
世界には、このように、その名を知られることなく忠誠を尽くし、召されていった人たちが数多くいるはずである。
しかし、たとえ世の人々に語り継がれることはなくとも、神の御前にその名前が命の書に記されていることであろう。
そう信じて、忠実な歩みを続けていきたいと願うものである。