我々の旅先での行動はいつも軍隊だ。今日は上海から飛行機に乗って湖南省の張家界へ向かう。


上海から張家界への飛行機は朝7時か夜20時半の2便しかない。一応新幹線でも行けるらしいが、9時間以上かかる上に飛行機の方が安いので勿論論外だ。

浦東国際空港を朝7時に出発する吉祥航空1047便を予約していたので、4:40起床でシャトルバスに乗って宿を5時に出発し、空港に到着したのが5時半。流石人口14億人の国の超大都会上海にある大空港だけあって、チェックインカウンターは大行列していたが、割とスムーズに進んで20分程しか並ばなかった。吉祥航空の国内線は45分前にチェックイン締切らしく、1時間半前到着で丁度だった。そこから保安検査を通り、搭乗口に着くと既に搭乗は始まっていた。飛行機には日本人観光客が他に3組程乗っていた。意外と欧米人が多い。


2時間弱の仮眠だったが、そこまで猛烈に眠いわけではなく、飛行機の中でうつらうつらしたり、配られた軽食を食べたりしていたら、あっという間に2時間ちょっとで9時半に張家界に到着した。



張家界空港はとても小さいので、すぐに預け入れ荷物も回収してタクシーで予約していたハンプトンbyヒルトンというヒルトン系列のホテルへと向かった。幸い空室があってチェックインさせてくれたので、荷物を置いて武陵源へ向かうバスが出るバスターミナルへ向かった。


バスターミナルは大きな建物になっていて、屋根の上に大きく汽車と書いてあるので、それさえ見つけられたらすぐに分かる。

有人窓口に行って大人2人張家界までと言ってパスポートを出せばチケットをくれた。料金は13元/人だった。


30分に1本らしいが、幸い数分しか待たずに出発した。武陵源の入口はいくつかあって、武陵源行きのバスはメイン入口の東門から1キロぐらい離れたバスターミナルに向かう。50分ぐらい走るので結構遠い。



バスが武陵源のバスターミナルに到着し、歩いて東門の入場ゲートへと向かった。


ここが東門で、塔の下が入口になっている。


我々は事前にTrip.comで武陵源の入場券を予約していたので、その券を発券しに行ったら、パスポートが入場券の代わりになると言われた。便利な世の中である。実際入場口でパスポートをかざすと、しっかりパスポートの顔写真が表示されて便利が良いのか、こんな所まで個人情報が流れていて少々怖いのか、そんな感じだ。


入るとすぐに世界最長のエレベータである百龍電梯の下行きと、天子山ロープウェイの下行きのバスが発着する所に出る。我々は天子山から行くつもりでいたので、そのバスに15分程揺られてロープウェイの下まで向かった。


入場券に含まれているのは、入場料と園内を走るバス代のみで、ロープウェイやエレベーターの金額は含まれていない。しかし、それを使わないと猛烈に山登りをすることになるので、実質乗るしか選択肢が無い。



ロープウェイからの景色は確実に素晴らしいのだが、同時に高所恐怖症の人にとっては猛烈に怖い。本当によくこんな所に作ったなと思うぐらい高い岩山の上を超えていく。妻氏はずっと進行方向の上側を見ていた。




このような切り立った岩肌を進んでいく。下を見ると物凄く高い。


ロープウェイ降り場すぐの所から龍賀公園行きのバスに乗り換えた。5分程で到着し、龍賀公園を少々散歩した。武陵源はアバターのロケ地になっていて、ハイライトは袁家界という場所らしいが、龍賀公園の時点で地球は広いなと十分に感じさせる光景が広がっている。


龍賀公園からの眺め


龍賀公園を見終えて楊家界ロープウェイ上側の乗り場まで30分程またバスに揺られ、楊家界ロープウェイは飛ばして同じ停留所から天下第一橋バス停までまた5分乗った。わざわざバスを乗りかえるのは、各区間毎にバスが往復しているからだ。



天下第一橋は武陵源の中でも有名どころのスポットで、大体全員が通る。自然に出来た岩の橋を通れたり、その様子を眺められたりする。







天下第一橋から歩いて行ける迷魂台近くからバスに乗って、世界一のエレベーターである百龍電梯まで行ける。


先人のブログでここを自力で登り降り出来ると書いてあったので、歩いて降りてみようかと道を探したが、どう見てもエレベーターの方へ続く道しか見当たらない。なので近くにいた保安要員の人に聞いてみると、一応降りられはするが、3時間程かかるので絶対にエレベーターに乗った方が身の為だと教えてくれた。いくら高いと言えど30分ぐらいかと思っていたら、まさかの答えである。

後から分かったのだが、エレベーターを使わずに自力で降りる経路はもっと手前にあった。


流石に3時間もの間階段を降り続ける訳にはいかないので、エレベーターのチケットを購入しようとチケット売り場を探しても、それが見当たらない。これまた保安要員の人に聞いてみると、チケットをかざして通る所の上に中国版LINEの微信用コードがあって、それを読み取ったらチケットを買えるページに飛べると教えてくれた。


初見にはこのシステムはハード過ぎると感じたが、私は中国に渡航する前に微信でアカウントを作り、QRコード決済で支払えるようクレジットカードも登録しておいて、これまでの過程で何度も使っていたので、当然問題無く買えると思っていたが、まさかの購入には中国の電話番号が必要で、それを持っていなかったので詰んでしまった。

どうしようもなく困っていると、先程の保安要員の人が現金を持っていたらそれと交換で送金してあげるよ言ってくれたが現金は足らず、暫くその人と一緒に困っていると、閃いたかのようにその人の番号を打ってくれて、その先は決済が出来たので、それで何とか事なきを得た。

ありがとう保安要因のお兄さん。流石は中国が誇るA5ランクの大観光地のスタッフである。



そのエレベーターは素晴らしい絶景が見られるのが売りなのだが、当然混雑した所なので満員になるまで乗せられる。つまり、景色が見られるかどうかは運次第なのだ。最後に載せられてしまったら、結構な金額を出してただの高いエレベーターに乗っただけでしかない。どうなるかと思っていたら、まさかの1つ前の人が進んだタイミングで止められ、我々は本当に一番前に並ぶ事が出来た。諸々チケット購入で手間取った故の幸運で、本当に保安のお兄さんありがとうだ。

他の中国人観光客も我先にとエレベーターに人を押し除けながら入って良い位置を取ろうとするので、妻氏と並んでエレベーターの扉の前に立ち、窓側ど真ん中を陣取る事が出来た。エレベーターに入ると、みんなおーーーーーーーーと言っていた。

確かにエレベーターからこんな景色を見られる場所は世界中どこを探しても他には無い。本当にラッキーだった。たった1分程の時間だが、とても値打ちがあったと感じる。エレベーターで下に降りた後、下からの写真を撮って帰路に着いた。

入ったのが11:45頃、出たのが16時半頃で、急ぎ足で見たつもりもないがとても楽しめた。




正直な所、ガイドブックを見てもどこに何があるのかがよくわからなかった。下の写真が一番分かりやすいように思う。黒の点線の所をバスが走っていて、緑の線の所を歩く事が出来る。





街中へ帰ってくると18時になっていて、きっと昼ご飯を食べる時間が無かろうと日本から持って行ったお菓子を食べながら歩きまくっていたので、お腹が減りまくっていた。なのでそのまま阿妹湘菜館という中国版食べログで非常に高評価だったお店に行った。


私は嘗て仕事で湖南省の長沙に何回も行った事があり、その度に湖南料理を色々と食べていた。

その中でも特に好きなのが剁椒魚頭という、魚の頭に唐辛子を山盛り載せて熱々の油をかけて作った料理である。仕事で中国に行ってはいるものの湖南省には用事が無い時でも、わざわざ湖南料理屋に行ってこの料理を食べていたぐらいには最高級に好きである。本当に辛旨い。

日本ではなかなか本格的な湖南料理を食べる事は出来ないので、折角の湖南省故私はどうしてもそれが食べたい。しかし妻氏は辛い物があまり得意ではない。


だが私はどうしても食べたいし、如何に湖南料理が辛さの向こう側に旨味の広がる素晴らしい料理であるかを是が非でも知って欲しかったので、辛くない料理も頼み、且つ剁椒魚頭は微辣という一番辛くない仕様で注文するという条件付きでそれを頼む事になった。本当は私の好みは中辣なのだが、こればかりは仕方ない。


楽しみに待っていると、待ちに待った料理が運ばれてきた。微辣なので上に載っている唐辛子の量が明らかに少ないが、やはり美味しい物は何度食べても美味しい。横に添えられている麺も、油をつけて食べるととても良い仕事をする。妻氏もこれなら食べられるし、美味しいと言っている。しめたものだ。


剁椒魚頭。思い出すだけでよだれが出てくる。


油を白米にかけて食べるも良し、魚の身を香り豊かな油につけて食べるも良し、久しぶりに現地で食べられて大満足だ。ちなみに辛くない料理は小松菜?のにんにく炒めと、豚肉の唐揚げにんにくソースがけだったが、私は唐揚げも魚の油に浸して食べていた。

おかず3品、大量の白米、張家界瓶ビール1本を頼んで2人で猛烈にお腹がいっぱいになって¥3,200程度なのでお安い。これで妻氏も現地の微辣はいけると分かったのも大収穫だ。


その後は宿へ戻って、ほぼ寝ていない状態で1日活動し続けたので、22時頃に就寝となった。


※2024年4月27日時点でのレートは1人民元=22.27円。猛烈な円安を痛感する。私が頻発で中国へ行っていた頃は16円ぐらいだったのに。