本日は7時起床。

昨日は22時頃に寝たのでとてもよく寝られた。睡眠不足は一気に解消された。



ホテルの朝ごはんを食べ、今日はもう1つのスポットである天門山の方へと行く。天門山は999段の階段を歩いて登るという鬼畜スポットだが、我々にはそこへ行かないという選択肢は存在しない。

やはりここの入場券もTrip.comで事前に予約しておいたので、パスポートを持ってチケットオフィスに行くと、チケットを発券してくれた。



予約の段階では経路がABCの3つがあり、一応何に乗れるかも書いてあったものの、正直何が何だかよく分からない。経路が違うだけでどれでも同じ所へ行くらしかったので、とりあえずAにしておいた。

現地へ行って初めて分かるのだが、体力的にはAが圧倒的に楽だ。Aは市内中心部にあるロープウェイその1の乗り場から一気に山の上まで上がりきって、あとは徒歩とエスカレーターで降り続け、999段の階段を登りきった所に出る。そこから階段を降り、もう1つのロープウェイその2とバスに乗って、最初にロープウェイその1に乗った所まで戻ってくる。そこまでが料金に含まれている。

Bはバスとロープウェイその2で999段の階段の下まで行き、そこから階段をひたすら登り続け、その先にあるエスカレーターを登って、まだ更にロープウェイその1乗り場まで山道の階段を登る。

Cはエスカレーターで登った所まではBと同じで、また来た経路を同じように帰る。

つまりAが一番楽で、BとCが辛い。だが値段はどれも同じだった。

但し、999段の階段はお金を払えばエスカレーターに乗れるので、お金の力で解決出来る方法はある。現地には999段の階段を登り切ると仙人になれるという話があるらしく、行ったからには登った方が良いかとは思うが。




天門山のチケットは入場時刻が指定制になっていて、4日前に予約した時点では朝一番の券は売り切れていた。なので、8時から9時の間に入場出来る券を買っておいた。

宿の道の反対側目の前にA,B,Cいずれの出発地点があって、チェックアウトを済ませて8時に乗り場に行ったものの、中国はトイレ問題がつきまとう国で若干心配になったので、一旦券だけ引き換えて戻ることにした。

そして再度向かったら、さっきまではそんなに混んでいなかったロープウェイ乗り場が見間違えるかのようにごった返していた。

張家界は中国の超絶元気なジジババに大人気な観光地らしく、一気に団体旅行客が着いていたのだ。皆目印にどこそこ旅行社的な社名を書いた帽子を被っていて、猛烈に喋りまくっている。本当に何をそんなに喋る事があるのか?と思うぐらい大声で何かを楽しそうに喋っている。


かれこれロープウェイに乗るまで小一時間待ち、いざ乗車した。最初のうちは市街地の上を移動するだけなので、向こうのほうに目的地が見えているだけでさして怖いわけではないが、やはりこのロープウェイも途中から本気を出してくる。8人乗りのロープウェイは意味不明な高所を進み、一緒に乗っていた中国人一家の母親は顔が引き攣り、子は目を覆っていた。実際昨日のロープウェイもだが、よくこんな所に作ったなと思わせる。30分ぐらいして山頂駅にようやく到着した時、私は中国語が全然わからないが、親子がほっとした顔で「到了、到了」と言っていたのだけは明確に分かった。完全に私も同じ気持ちだ。ロープウェイの中が「ははは」的な空気になった。


本気を出してきた頃合い


私はてっきりそのロープウェイを降りてから999段の階段を登るものだと思っていたが、途中から遥か眼下にどうやらそれと思しき階段と、米粒以下の大きさの人が多数登っているのが見えて、どうやらここでは無いらしいということをその道中で把握していた。


ロープウェイを降りた所からの眺め。かなり登っている事がわかる。


山頂駅を降りてから、目的地の方へ行く方法を地図で見てみると、普通に歩いて途中からエスカレーターで下るらしいという事がわかった。

道中はほぼただの山道を下るだけの所もあれば、景色が良い所もある。


エレベーターへの道中その1


その2


途中に1箇所ガラスの小道が設けられていた。折角来たのだからとそこへ行くと、その小道は別料金になっていた。

正直な所、なんとなくガラスというのが信用ならんなと思っていたので、ここは遠慮しておいた。想像するに、あの高さで床の下が丸見えは死ねる。



エスカレーターを何回も乗り継いでいくと、階段の上の穴の所へ出た。2つの森林公園はどちらもスケールの大きさを言葉で形容するのが難しい。それぐらい素晴らしい光景が広がっている。

そして、同時にこんな超絶な地形の所にエスカレーターやらエレベーターやらロープウェイを作った中国のスケールの大きさも感じさせる。


穴からの様子



ひとしきり写真を撮ってから階段を降りた。その階段がこれまた急で、1段の幅が非常に狭く、1歩足を滑らせたり踏み間違えたりすると、周りも巻き添えになる大事故になりかねないので、みんなそろそろと降りていた。一方上がってくる人たちは無理と言わんばかりの顔をしていた。



このように午前中は晴れていれば穴の奥と上から光がさす



階段を降り切った所からは全景が見えるので、よくあんな高い所から降りてきたなと思いつつ、写真を撮ってロープウェイとバスを乗り継いでスタート地点へと戻った。戻ってきた時点で13時になっていた。


階段を降りきった所からの全景



帰りのロープウェイは大きいので、まだ比較的安心感がある。左側には行きで乗ったロープウェイが見えている。


個人的には天門山は午前中に行くのが良いかと思われる。その理由は午前中は階段の上にある穴の奥側から太陽の光がさしてくるからで、天気は運次第ではあるが、この日は所謂天国への階段状態の景色が見られた。



さて、街中へ戻ってきた我々は昼ご飯を食べることにした。

張家界に行くと至る所に三下鍋という看板を見かける。三下鍋は張家界の名物らしく、そうそう来るような場所でもないので、昼ご飯にはそれを食べてみることにした。お店はみんな大好き中国版食べログを見て、点数の高い所にした。

写真で見る限り、湖南料理にありがちな唐辛子モリモリ系のご飯で、とても食欲をそそる。

お店の人は辛さをどうするか聞いてくれたので、ここでも微辣にしておいた。しばらくすると運ばれてきて、少しカレーの香りがする。

具は牛肉・じゃがいも・たまねぎで、それが油・唐辛子・にんにくと一緒に炒められている。白米が進む味だ。この日は結構気温が高くて蒸し暑かったので、コーラを一緒に頼んだ。炭酸が身に染みた。


これがその三下鍋


私は好きだが、妻氏にとってはカレーの香りというのが予想外だったらしく、これはもう良いかなと言っていた。まぁ実際三下鍋と剁椒魚頭のどちらを選ぶか?と聞かれると、私も剁椒魚頭一択だ。


昼ごはんを済ませた後、少し時間があるので宿の裏手に見えていたお茶屋さんに行ってみた。張家界は苺茶というお茶が名産品らしく、どんなものかを試しに行ったのだ。

苺茶は名前は苺でも全然苺が入っているわけではなくて、藤の花?が原料らしい。一口目は若干苦いが、後味が爽やかな甘さがあって、そこに水を飲むとさらに甘さを感じる。

よく海老が甘いとか、肉が甘いとかそういう表現をするが、そういう甘さではなくて、本当に甘い。だが、砂糖の甘さでもなく果糖の甘さでもなく、不思議な味がする。個人的にはお茶というより美味しい漢方という感じで、喉が痛い時に飲む桔梗湯のような甘さに近いように思う。

お菓子を食べたい時にその代わりに飲んでおくと、0 kcalで良い具合の甘さを味わえる優れ物だ。しかも抗酸化作用やら風邪に効くやら色々と良い効果もあるらしく、それを家用のお土産に100 g程調達した。中国には見た事も聞いた事も無いお茶が沢山ある。


良い時間になってきたので、上海吉祥航空1826便で杭州へ向かうべくタクシーで空港へと向かった。張家界の空港は小さいので、かなり時間が余ってしまったが、空港から見える天門山の景色を眺めながら一服していた。

すると、何やら放送が入っている。辛うじて分かる中国語を聞く限りでは「上海吉祥航空公司航班1826...なんちゃらかんちゃら」と、どうやら乗る予定っぽい飛行機について何かアナウンスがされているらしい。中国あるあるだが、空港ですら中国語オンリーな事が多くて、実際張家界の空港のカウンター職員はPassportとone以外全部中国語だった。明らかに理解してなさそうな状況でも、一切英語での案内は無い。意味不明だが諦めるしかない。

当然のように飛行機に関するアナウンスも中国語以外ある訳もなく、何やら起こっているらしいと発着情報のモニターを見に行くと、Delayと書いてあるだけで、特に新しい搭乗時刻が記載されているでもない。

周りの中国人の動きに合わせておかないと、最悪いつの間にかゲート締切ですみたいな話になっては洒落にならないので、大人しくゲートの横で周りの乗客が動き始めるのを静かに待っていた。

そうこうしているうちに30分程遅れて搭乗時刻になった。こんな遅れなど、私が過去に経験した人生初の中国出張で起こった帰国便の中国南方航空欠航&翌日振替便大遅延案件に比べれば屁でもないし、そもそも急ぐ旅でもないので十分許容範囲と言うか、寧ろ定刻の部類だ。中国語しか案内が無いのも想定済である。全く問題無い。



空港から見える吉祥航空越しの天門山



吉祥航空1826便は雲南省昆明発・湖南省張家界経由・浙江省杭州行きらしく、機内は昆明から乗ってきた客も合わせて、中国人で満席だった。本当に我々以外全員中国人だった。ここは中国なのだ。にしても、張家界が中国のA5級の観光地で、且つ世界自然遺産であるにも関わらず、韓国を除き本当に諸外国からの観光客が少ない。

これまで張家界関連の2日間で見かけた日本人は、上海発張家界行きの飛行機の中で見かけた3組と、天門山を降りる時に偶然バスが一緒になった夫婦1組の合計4組だけだ。中国は隣国ながら、今や観光目的の国としてはとてもマイナーな国になってしまったのかもしれない。


さて、中国の航空会社は国内線でも軽食が配られるが、私が座っていた列の逆側に座っていた中国人は、配られた軽食以外にまさかの自ら持ち込んでいたらしい臭豆腐を食べ始めた。近辺に臭豆腐の激烈な匂いが充満している。確かに臭豆腐は食べると匂いを感じる事も無ければ、味はピリ辛タレで美味しいし、私も好きだがこれは流石に猛者が過ぎる。

いくら湖南省は臭豆腐が名物と言えど、流石に飛行機の中で臭豆腐は厳つい。一般的に東南アジア諸国では電車の中やホテルの中にドリアンを持ち込む事は禁止されているが、中国ではドリアンも臭豆腐もOKなのか?と気になった。

あとは、杭州に着陸した5秒後ぐらいにせっかち地元民がわらわらと立ちだして、上の荷物入れから荷物を出そうとしていた。CAさんが大声で「等一下!等一下!等一下!」(訳:ちょっと待って)と言っていて、数少ない知っている単語がリアルで使われている場面にも遭遇した。それにしてもせっかちが過ぎる。妻氏も大概せっかちで、対する私は結構気が長いのだが、その妻氏すらも引くぐらいのせっかち度合いだ。

降機するやいなや妻氏は二度と中国の国内線と中国経由便には乗らんと言っていた。私は諸々猛者が過ぎるな、中国は自由で良いなとある意味感心していたが、妻氏には衝撃だったらしい。


荷物を回収して地下鉄でホテルへと向かった。

Alipayで設定しておくと、QRコードで杭州の地下鉄は乗れるようになっている。外国人も登録出来る。これがとても有難い。

2019年頃とは大きく変わっていた。


今宵の宿は武林にあるコートヤードbyマリオットだ。そこは私が前杭州に出張で寄った時に泊まった宿で、値段もそこそこでちゃんと清潔なので、これでは妻氏も文句はないだろうと予約しておいた。

杭州はやはり都会だ。張家界とは道も人の雰囲気も全然違う。洗練された都会の雰囲気だ。

宿に着いたのが19時半頃だったが、昼ご飯が大量でそこまでお腹が減っているわけではなかったので、食べる量を調節出来るよう飲茶にしようということになった。

調べていると、広東省の広州に複数店舗ある点都徳という飲茶屋が、宿最寄りの武林広場駅すぐ上の商業施設の中に店を出していると分かったのでそこへ行った。

皆注文するらしい海老とサクサクとした細い何かを赤色の米腸で包んだ料理、韮餃子、甘めの叉焼饅の3つとプーアール茶を頼んで丁度だった。米腸はとても美味しかった。また食べたい。


2日連続動きまくったので、この日はご飯を食べてさっと宿へ帰って快適な宿で就寝となった。


張家界はとても楽しかった。地球は広いなと身をもって感じる事が出来た。これを機に、他の中国のA5級観光地を色々巡ってみたいものである。

妻氏も中国の他の観光地に少し興味を持ったらしく、次はもう少しばかり異文化な街へ行けたらなも思っている。