序章 旅立ち
序章 旅立ち
ロシアの真っ白な大地が窓の下を流れていった。
成田からのロングフライトの果てに到着したモスクワ、シェレメチボ空港。
薄暗く、かつての共産大国を思い出させるようなこの空港に降り立った僕は、いよいよ始まる旅に期待と不安を感じずにはいられなかった。
それはいわゆる卒業旅行であった。
大学4年の2月と言えば、誰もがこぞって旅行に飛び出すシーズン。
自分も「どこかに行きたい」と漠然と考えていた。
当初はドイツ行きの予定であったが、一緒に行こうと言っていた友人が怪我をし、
その計画は白紙になってしまっていた。どうしようか悩んでいたが、旅行へ行くこと、そしてその行き先をヨーロッパにすることは譲れなかった。
日本国内、アメリカと旅行し、ゼミで中国旅行も計画されていたため、アジア、アメリカときたらヨーロッパ以外にないと心に決めていた。しかも私は「人真似はできればしたくない」という思考の持ち主で、たいていの人が行くようなイタリアやフランスではなく、どっか別のところへ行きたいと考えていた。中欧やトルコも候補にあったが、どちらも先んじて友人が旅行に行ってしまい、自分の中ではそれらの国に魅力が薄れ、選択肢から自然と外れていった。
そこで浮かび上がったのがギリシャだった。
英語も程よく通じる(らしい)。比較的治安もいい。
そして古代遺跡やギリシャ神話にひかれるところもあった。
これ以降、ほかの国のガイドブックを見てもときめかなくなってしまった。
ギリシャに行こう。行先は決まった。
ガイドブックを基に作成したルートは13日間。
こんな長い期間一緒に行ってくれる友人はいなかった。
いや、いたかもしれないが、あえて僕は一人旅を選んだ。
現地の人との出会い、自分のペースで自由にできる旅、たしかに不安はあったが、「なんとかなるだろう」と楽観視していた。そして、アエロフロート航空(ロシア)モスクワ経由アテネ行の往復航空券を5万1900円で購入し(その他含めて8万2840円)、もう後には引けなくなった僕は、毎日DSの「英語漬け」によるトレーニングで気休めながらも英語の学習をし、情報収集を続け、とうとうモスクワに降り立ったのである。
ということで、平成20年2月7日 旅は始まったのであった。
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