ヤーサス!ギリシャへの誘い -15ページ目

2/9 アテネ → カランバカ

2/9 アテネ → カランバカ


外はまだ薄暗く、小雨が降っていた。


朝、チェックアウトを済ませて外へ出ると、肌寒い2月のアテネが顔を見せた。


僕は地図を見ながら、駅へむかった。


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アテネの駅


今日の目的地はカランバカというアテネから北へ電車で約五時間の場所だ。目指すは世界遺産「メテオラ」。その名前を初めて聞いたとき、真っ先にファイナルファンタジーの魔法が頭に浮かんだ。「メテオ」という魔法は天空から大量の隕石により敵を攻撃するものだが、ガイドブックの写真をみるとその風景はまさに空から落ちた隕石のようなものであながち間違いじゃないなと思った。「巨大な奇岩群、そしてその頂きにはいくつかの修道院が立ち、今も静粛に生活をしている。」そんな説明文を読み、一体どんな場所なのか、ぜひ見てみたいと思った。


その前に交通手段の問題である。そもそも切符が買えるのかという問題があった。駅について窓口に並ぶと、緊張しながら列が進むのを待った。列は順調に進み、次がいよいよという時になって、前の女性が恐ろしい剣幕でどなりだした。「どうして席がないのよ」「すいません」そんなやり取りが想像できた。窓口の男性は困った表情で、僕のほうを指差し「彼女はいいから来なさい」というように手招きを始めた。後ろの人からも背中を押され、戸惑っていると、ようやく女性が窓口を離れた。苦笑いしながら無事(?)切符を購入できた。振り返ると女性はインフォメーションでも怒鳴っていた。


海外の電車は遅れるとは聞いていたが、予想よりもだいぶ早く電車がついた。

電車を待っている間、おじさんが唸って倒れて救急車がくるというアクシデントがあった。クレーマー女性とあわせて色々な事が起こる日だ。まあ、電車は無事到着してくれたので、足止めはなさそうであったが。


切符には席が書かれているということで、確認したのだが何も書いていない。

駅員さんに見せると一言「NOSEAT」つまり立ち席だと言われた。そういうことか・・・。

駅で朝食代わりに買ったチーズパイの味はしょっぱいを通り越して塩辛かった。


「世界の車窓から」今日は、ギリシャの風景をお届けします。


そんな冗談が言えるくらい、車窓の風景は壮大で、中央ギリシャの無限に広がる平野を突っ切って進む電車は、まさに日本版ローカル線の旅を彷彿とさせるものだった。そんな電車の中では、禁煙にもかかわらず不良少年たちが車両と車両の連結部でたばこを吸っていたり(駅員注意しろよオイ)、席のない僕はここまで来てDSをやって時間をつぶしたりして過ごした。席は次第に空いてきたが、座っていいものかわからず、結局ずっと通路にいることになった。


列車は丘陵地帯にさしかかった。

いよいよ目的地に近付いてきているようで、高地のせいか雪もちらつき始めた。ギリシャというと常夏でバカンスのイメージだが、ちゃんと冬は寒い。半袖短パンとかで来ないように。
アテネからラミア、トリカラ(鶏から?)を経由し、13時頃カランバカに到着した。



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これでトリカラと読みます



遠くの空には写真で見た奇岩群が迫っていた。

焦る思いを抑え、まずはホテル探しを始めた。しばらく町を歩いていると、不意に人の良さそうなおじいさんに英語で声をかけられた。「宿を探しているのか」「そうだ」「ならいい宿がある」といって案内され、連れて行かれた場所が「ROOMSTOTTI」だった。ベッドにシャワーがあり、値段も26ユーロというので単純にここに決めてみた。(後に気づいたのだが、地球の歩き方に乗っている宿で、そこには25ユーロとかかれており、1ユーロサバを読まれていたらしい。)宿も決まり、いざメテオラへ行こうと思ったら、チェックイン時にパスポートを預けたおじいさんがいない。やられた・・・と思ったらただの返し忘れだった。入り口で無事返却される。ホッ。





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町から見える奇岩群


仕切り直し、今度こそメテオラへ向かう。


タクシーなんか乗れるかってことで徒歩移動。時間もあまりなかったので5つある修道院のうち手前の2つ「アギアトリアダ修道院」と「アギオス・ステファノス修道院」を見ることにした。道中はまさしく登山。しばし上っていると人とすれ違う。「こんにちは」との声。よく見ると日本人だった。ちょっと元気になった自分がいた。
時刻は15時。ギリシャ政府観光局のガイドをみるとどちらも15時には明いている予定だった。ところがアギアトリアダ修道院がクローズしている。なんてこった。どっと疲れが出た。せめてもの救いはアギオス・ステファノス修道院が無事に開いていたことだった。


アギオス・ステファノス修道院、「14世紀に創建され、現在は尼僧院となっている。展望台の真下にはカランバカの町が広がっている。赤茶色の街並みはまるで中世の絵地図のように美しい。」なんて説明文をどっかで読んでいたが、眼下の景色はその文章では表せないくらい美しく、心に残る風景だった。もちろん中の修道院も荘厳な雰囲気で、ある意味異様な空気を醸し出し印象深かったが、遠くの山、赤い屋根の家々、けして日本では見られないこうした風景こそ僕が求めていたものだった。ギリシャに来てみた最初の世界遺産は世界遺産たるモノを僕に与えたのだった。



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アギオス・ステファノス修道院



明日はこうした風景がもっとみられる。

そう期待して下山した。


街に戻ってくると、あたりはすっかり夜になっていた。晩飯を食べようと思い、タベルナを物色するが、どうしても中に入る勇気が出ない。結局スーパーで夕食と翌日の朝食を購入した。ちなみにスーパーは「DIA」という名前だったので、勝手にスーパーダイエーと命名して心で笑っていた。ビールにパン、ソーセージなんかを買い、部屋に戻った



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夜の宿舎前


夜空と、人気のないストリートを見ながら飲むミトスビールは格別だった。


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