列車から始まる、
紅葉旅。

紅葉を見に行く旅では、
名所へ着いてから景色が始まると思いがちです。

駅を降り、
展望台や渓谷へ向かい、
色づいた木々の前で立ち止まる。

けれど列車で向かえば、
秋は目的地より少し早く現れます。

窓の外を流れる山。
川面に映る赤や黄色。
小さな駅と、刈り取りを終えた田畑。

宿へ着く前から、
旅の景色は始まっている。


車窓の秋と、その先にある6つの宿を訪ねます。

THE JOURNEY BEGINS AT THE WINDOW

目的地へ運ばれる時間を、
旅の余白にしない。

速く着くことだけを考えれば、列車の移動は短いほど便利です。

けれど渓谷や高原を走る列車では、速度が遅いことや、遠回りすることが、そのまま価値になります。

窓のないトロッコから冷たい風を受ける。鉄橋の上で川を見下ろす。小さな駅を通過しながら、標高と木々の色が変わっていくのを見る。

列車は、紅葉の場所へ向かう手段ではなく、
紅葉の中を進むための席になる。


そして宿は、車窓で見た景色の続きを受け取る場所になります。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の列車、車両、駅、線路、宿、紅葉、山、川、人物、周辺景観とは異なる場合があります。

EDITOR’S NOTE

有名な観光列車に乗れば、
紅葉旅は完成するのか。

紅葉シーズンの観光列車は混みやすく、希望する席や時間を取れないことがあります。

天候や復旧工事によって、運行区間やダイヤが変わる路線もあります。

窓側に座れなければ景色が見えにくい。開放型の車両は寒い。列車を降りたあと、駅から宿まで別の移動が必要な場合もあります。

大切なのは、列車の名前だけで宿を選ばず、
乗車前から到着後までを一つの旅として組み立てること。


車窓、速度、駅と宿の距離、景色の続きを比べます。

FOUR PERSPECTIVES

列車と紅葉を読む、4つの視点

WINDOW|車窓から、どんな秋が見えるか

PACE|速さや停車時間が、景色をどう変えるか

ARRIVAL|駅から宿まで、旅が途切れないか

CONTINUE|列車で見た景色が、宿でも続くか

01 / KUROBE GORGE RAILWAY

黒部峡谷鉄道
× 黒部・宇奈月温泉 やまのは

峡谷の中へ入り、
温泉から列車を見送る。

黒部峡谷鉄道のトロッコ電車は、宇奈月駅から黒部川に沿って、深い峡谷の中へ進みます。

秋は、赤や黄色の木々と、エメラルドグリーンの川、鉄橋や発電施設が同じ車窓へ現れます。

窓のない普通客車では、風や気温も峡谷の一部。景色を眺めるだけでなく、標高が上がるにつれて変わる冷たさを身体で感じます。

やまのはは宇奈月の温泉街にあり、トロッコ電車の宇奈月駅から徒歩圏内です。

展望露天風呂「棚湯」からは、黒部峡谷と赤い山彦橋、そこを渡るトロッコ列車を望めます。乗っていた列車を、今度は湯の中から見送る宿です。

WINDOW|紅葉、黒部川、鉄橋が近い距離で続く

PACE|ゆっくり進むトロッコで峡谷の奥へ

CONTINUE|温泉から、橋を渡る列車を眺める

CHECK|開放型客車は冷え込むため、防寒着を準備

 

 

02 / OIGAWA RAILWAY

大井川鐵道
× 大井川鐵道 川根温泉ホテル

列車を降りても、
線路のそばで過ごす。

大井川鐵道は、大井川や茶畑、山里の風景に沿って進むローカル線です。

秋は、山の色づきだけでなく、集落、川、茶畑、鉄橋が交互に現れます。

観光名所だけを切り取るのではなく、人が暮らす風景の中を列車が通り抜けていくのが、この路線の魅力です。

川根温泉ホテルは、川根温泉笹間渡駅の近く。客室やレストラン、温泉から、大井川鐵道の列車が通る姿を眺められます。

到着したあとも線路と川のそばに泊まり、汽笛や走行音を聞く。列車旅が、チェックインで終わらない宿です。

WINDOW|大井川、茶畑、集落を横につないで進む

ARRIVAL|川根温泉笹間渡駅の近くに泊まる

CONTINUE|館内から列車の姿や音を楽しむ

CHECK|現在の運行区間を確認して旅程を組む

 

 

03 / SAGANO SCENIC RAILWAY

嵯峨野トロッコ列車
× 京都 嵐山温泉 渡月亭

保津峡を抜け、
紅葉の嵐山に泊まる。

嵯峨野トロッコ列車は、トロッコ嵯峨からトロッコ亀岡まで、保津川渓谷に沿って約25分を走ります。

列車の窓から見る紅葉は、寺院の庭や展望台から見る景色とは異なります。

川の流れに沿って視点が動き、岩壁や鉄橋の向こうから、次の色が現れては消えていきます。

渡月亭は、渡月橋の南詰にある温泉旅館。トロッコ列車を降りたあと、嵯峨野や嵐山を歩き、夕方の川辺へ戻れます。

朝の車窓、昼の寺院、夕方の渡月橋。時間によって異なる紅葉を、一つの滞在に重ねる宿です。

WINDOW|保津川と岩壁の間を流れる紅葉

PACE|約25分の短い列車旅に景色が凝縮される

ARRIVAL|嵯峨野散策から渡月橋の宿へ

CHECK|紅葉期は早めに乗車券を確保

 

 

04 / JR KOUMI LINE

JR小海線・HIGH RAIL 1375
× 清里高原リゾート

標高を上げながら、
高原の秋へ入っていく。

小海線は、小淵沢から小諸まで、八ヶ岳の高原地帯を走るローカル線です。

車窓には八ヶ岳や南アルプス、牧草地、黄金色の田畑、色づいた森が広がります。

野辺山駅と清里駅の間では、JR線の標高最高地点を通過。平地から高原へ、空の広さと木々の色が少しずつ変わります。

清里高原リゾートは、清里駅から予約制の送迎で向かえる高原の宿です。

車窓で見ていた八ヶ岳の空気の中へ降り、湖畔や森のそばで過ごす。線路が高原の入口になります。

WINDOW|山、田園、牧草地を大きな空と眺める

PACE|標高とともに風景がゆっくり変化する

ARRIVAL|清里駅から予約制送迎で宿へ

CHOICE|運行日が合えば観光列車も選べる

 

 

05 / AIZU RAILWAY

会津鉄道 お座トロ展望列車
× 会津芦ノ牧温泉 大川荘

列車の窓と、
宿の窓で渓谷を見る。

会津鉄道のお座トロ展望列車には、お座敷席、トロッコ席、展望席があります。

座る場所によって、同じ渓谷でも見え方が変わります。

風を感じる席。高い位置から遠くを見る席。テーブルを囲み、会津の酒や菓子とともに景色を眺める席。

大川荘は芦ノ牧温泉駅から送迎を利用でき、阿賀川の渓谷に面して建つ温泉宿です。

列車の窓を流れていた渓谷を、到着後は客室や露天風呂から静かに眺める。移動中の景色が、宿で止まります。

WINDOW|席の種類によって、渓谷との距離が変わる

PACE|景勝地では速度を落とし、車窓を楽しむ

ARRIVAL|芦ノ牧温泉駅から予約制送迎

CONTINUE|露天風呂と客室から渓谷の秋を見る

 

 

06 / MINAMIASO RAILWAY

南阿蘇鉄道 トロッコ列車
× 休暇村南阿蘇

窓をひらき、
阿蘇の地形を横切る。

南阿蘇鉄道のトロッコ列車は、立野駅と高森駅の間を約55分で走ります。

車窓には阿蘇五岳、外輪山、田畑、渓谷、集落が続きます。

山の一部だけを見るのではなく、大きなカルデラの中を列車が進むことで、南阿蘇の地形そのものを感じられます。

終点の高森駅からは、送迎を利用して休暇村南阿蘇へ。

宿の前には阿蘇五岳が広がり、露天風呂からも山を望めます。列車の横長の車窓から見ていた風景を、今度は正面から受け取る宿です。

WINDOW|阿蘇五岳、田園、外輪山が大きく広がる

PACE|約55分かけてカルデラの中を横切る

ARRIVAL|高森駅から送迎で約10分

CONTINUE|露天風呂から阿蘇の山並みを望む

 

 

SIX WINDOWS INTO AUTUMN

列車によって、秋の見え方は変わる。

黒部峡谷鉄道|深い峡谷の中へ入り、川と紅葉を間近に見る。

大井川鐵道|川、茶畑、集落の日常をつないで進む。

嵯峨野トロッコ列車|保津川沿いの紅葉を短い時間へ凝縮する。

JR小海線|標高を上げながら、高原の秋へ入っていく。

会津鉄道|席を選び、渓谷を眺める時間そのものを楽しむ。

南阿蘇鉄道|カルデラの大きさを、横長の車窓から知る。

BEFORE BOOKING

秋の列車旅で確認したいこと

● 観光列車の運行日、運行区間、指定席の予約開始日

● 往路と復路のどちらで景色を見たいか

● 開放型車両の寒さ、雨、荷物への対策

● 到着駅から宿までの送迎時刻と予約条件

● 紅葉の見頃は標高や天候で変わること

AUTUMN BEGINS BEFORE ARRIVAL

列車から始まる、
紅葉旅。

紅葉の名所へ着く前に、
窓の外で木々が色づき始める。

川を渡り、
標高を上げ、
小さな駅を通り過ぎる。

宿へ着いたあとも、
渓谷や線路、山の景色が続いている。

目的地だけを切り取らず、
そこへ向かう時間まで旅にする。


列車の窓は、
秋の景色を最初に見せてくれる額縁です。

REFERENCE

記事作成にあたり、各鉄道会社、観光列車、宿泊施設の公式情報、および楽天トラベルの施設・宿泊プラン情報を確認しています。

※掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに構成しています。運行日、運行区間、時刻、車両、座席、紅葉状況、送迎、温泉、宿泊プランなどは変更される場合があります。特に観光列車は運休日や指定席制があります。最新情報を各鉄道会社・宿泊施設の公式サイトでご確認ください。

秋雨の日に、
泊まりたい。

せっかくの旅行なのに、
窓の外は雨。

予定していた散歩をやめ、
観光地をひとつ諦める。

旅先の雨は、つい、
晴れの日より少し損をした気持ちにさせます。

けれど、外へ出ないことで、
初めて見えてくる宿もあります。

雨音が届くラウンジ。
時間を忘れる本棚。
冷えた身体を温める湯。
館内を歩くだけで出会えるアート。

晴れない一日を、
予定のない時間へ変えてくれる宿。


秋雨の日にこそ泊まりたい6つの場所を見ていきます。

STAY IN, LISTEN TO THE RAIN

出かけない一日が、
宿をよく見せる。

晴れた日のホテルは、観光へ出かけるための出発点になりがちです。

朝食を終えたら外へ出て、夕方になったら戻ってくる。館内で過ごす時間は、旅の前後に残った空白になることもあります。

雨の日は、その順番が変わります。

本棚の前で立ち止まる。窓の外の葉が濡れていくのを見る。温泉へ何度も入る。予定していなかった作品に出会う。

何ができるかではなく、
何もしなくても時間が成立するか。


宿が本来持っている居場所の力を、雨の日から読み解きます。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の宿、客室、ラウンジ、本棚、温泉、作品、森林、町並み、人物とは異なる場合があります。

EDITOR’S NOTE

雨の日向けの設備を増やせば、
雨を楽しめる宿になるのか。

ライブラリー、ラウンジ、温泉、カフェ。館内設備が多ければ、雨の日の選択肢は増えます。

けれど、予定を次々と埋めなければ楽しめないなら、晴れの日の観光とあまり変わりません。

大切なのは、宿泊者が急かされず、自分の速さで過ごせること。

雨を忘れさせるのではなく、
雨が降っていることまで滞在にできるか。


音、読む場所、温かさ、窓の景色から6つの宿を見ます。

FOUR WAYS TO SPEND A RAINY DAY

秋雨の宿を読む、4つの視点

SOUND|雨音や水の気配を感じられるか

READ|時間を忘れて過ごせる本や居場所があるか

WARM|湯、火、茶、食事で身体を温められるか

LOOK|外へ出なくても、景色や作品と出会えるか

01 / THE RAIN BECOMES PART OF KANAZAWA

雨庵 金沢

雨を避けるのではなく、
金沢らしさとして迎える。

雨庵 金沢が掲げるのは、「金沢の雨まで、旅の魅力に」という考え方です。

雨が降ったから予定が崩れたのではなく、雨の日だからこそ金沢の文化に触れる時間ができたと考える。

1階のラウンジ「ハレの間」には、テーブル席と畳の小上がりがあり、加賀棒茶や和菓子、金沢にまつわる本やアートが用意されています。

夜には北陸の赤巻をのせた温かい蕎麦も提供されます。

雨の日には伝統工芸の体験が行われることもあり、外へ出られない時間を、金沢を知る時間へ置き換えています。

SOUND|雨を隠さず、金沢の風景として受け入れる

WARM|加賀棒茶、和菓子、夜の温かい蕎麦

LOOK|書籍、アート、伝統工芸を館内で楽しむ

雨庵 金沢

02 / BOOKS, STREAM & ONSEN

創業大正十五年 蓼科 親湯温泉

三万冊の本と、
渓流の音に囲まれる。

蓼科 親湯温泉には、約三万冊を収めたLibrary Loungeがあります。

文学、歴史、写真、アート。館内の壁に沿って本が並び、ワインやウイスキーを片手に読むこともできます。

この宿は、多くの作家や文化人が訪れた蓼科の歴史を、古い資料として閉じ込めず、いまも人が本を開く場所として残しています。

本に疲れたら、敷地内から湧く温泉へ。渓流を望む露天風呂では、水の音と雨音が重なります。

外へ観光に出なくても、本、酒、温泉を行き来するだけで一日がゆっくり進んでいく宿です。

READ|約三万冊を収めるLibrary Lounge

SOUND|渓流と雨の音を聞く露天風呂

WARM|温泉と酒を行き来するおこもり時間

 

 

03 / RAIN IN THE FOREST

箱根リトリート före

濡れた森を、
窓とテラスから眺める。

箱根リトリート föreは、仙石原の森に複数の建物が点在するフォレストリゾートです。

雨が降ると、木の幹は色を濃くし、葉や土の匂いが立ち上がります。

敷地内のカフェ&ラウンジでは、森を眺めながらオリジナル焙煎のコーヒーやスイーツを楽しめます。

一部の客室には薪ストーブがあり、炎を眺めながら過ごせるのも、肌寒くなる秋の午後に似合います。

森を歩き回らなくても、窓を通して雨に濡れる自然の変化を見続けられる。雨が景色を隠すのではなく、森の表情を変える宿です。

LOOK|窓やテラスから見る、雨に濡れた箱根の森

WARM|コーヒー、薪火料理、一部客室の薪ストーブ

SOUND|建物の間を歩くときに聞こえる雨と木々の音

 

 

04 / A LIBRARY IN THE CITY

芝パークホテル

東京観光をやめて、
ホテルで本を選ぶ。

芝パークホテルは、館内に二千冊以上の本を備えたLibrary Hotelです。

中央の大階段を囲む高さ約七メートルの本棚や、階ごとにテーマの異なる読書スペースがあります。

日本文化、建築、写真、アート、ファッションなど、東京を歩く前にも、歩いたあとにも開きたくなる本が並びます。

雨の日には観光地を詰め込まず、館内を歩きながら一冊を選び、ラウンジや客室で読む。

都市のホテルでありながら、外の予定をすべて手放しても滞在が成立する、本を目的に泊まれる場所です。

READ|館内に並ぶ二千冊以上の本

WALK|大書棚とテーマ別の読書空間を館内で巡る

CHOICE|東京観光の予定を、一冊の読書へ置き換える

 

 

05 / ART WITHOUT GOING OUT

KAIKA TOKYO by THE SHARE HOTELS

美術館へ行かなくても、
作品のある場所を歩ける。

KAIKA TOKYOは、ホテルとアートストレージを組み合わせた施設です。

共用部には、ギャラリーが作品を公開保管する九つのストレージがあり、通常は表に出にくい収蔵の風景を見ることができます。

館内の廊下やラウンジにも作品が置かれ、チェックインから客室へ向かう動線そのものが鑑賞の時間になります。

アートストレージに隣接したカフェでは、コーヒーや食事を楽しみながら作品を眺められます。

雨の東京で美術館を何館も移動する代わりに、一つの建物の中で、作品、保管、カフェ、客室をゆっくり巡る宿です。

LOOK|公開保管された九つのアートストレージ

WALK|共用部を歩きながら作品に出会う

STAY|鑑賞のあと、移動せず客室へ戻れる

 

 

06 / RAIN IN A KYOTO MACHIYA

三井ガーデンホテル京都新町 別邸

濡れた新町通から、
暖簾の奥の静けさへ。

三井ガーデンホテル京都新町 別邸は、京町家の風情を残す新町通に建つホテルです。

通りに面した暖簾をくぐると、外の町並みとは少し異なる、落ち着いた和モダンの空間が広がります。

雨に濡れた石畳や格子を眺めて戻ったあとは、館内の人工炭酸泉の大浴場へ。

窓先の緑を見ながら湯に浸かり、冷えた身体を温めることができます。

京都の雨を館内から完全に切り離すのではなく、町家の外観、暖簾、緑、湯を通して、雨の京都を静かな滞在へ引き継ぐホテルです。

LOOK|雨に濡れる新町通と町家の風情

WARM|窓先の緑を望む人工炭酸泉の大浴場

BOUNDARY|暖簾を境に、雨の町から静かな館内へ

 

 

SIX WAYS TO SPEND THE RAIN

雨の日に、何をして過ごす?

雨庵 金沢|雨を金沢文化へ触れるきっかけにする。

蓼科 親湯温泉|三万冊の本と渓流の温泉を行き来する。

箱根リトリート före|雨に濡れた森を、窓とカフェから眺める。

芝パークホテル|東京観光をやめ、ホテルで一冊を選ぶ。

KAIKA TOKYO|館内を歩きながらアートと出会う。

三井ガーデンホテル京都新町 別邸|雨の町家から大浴場の静けさへ戻る。

LET THE DAY SLOW DOWN

秋雨の日に、
泊まりたい。

晴れたら、
もっと多くの場所へ行けたかもしれません。

けれど雨が降ったから、
一冊の本を最後まで読めた。

湯に長く浸かり、
窓の外を何度も眺め、
予定していなかった作品に出会えた。

雨の日の旅は、
できなかったことを数えるのではなく、
ゆっくりできた時間を残す旅。


晴天を待たなくても、
宿の中には、その日だけの景色があります。

REFERENCE

記事作成にあたり、各宿泊施設の公式情報、ラウンジ、ライブラリー、温泉、アートストレージ、カフェ、および楽天トラベルの施設・宿泊プラン情報を確認しています。

※掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに構成しています。ラウンジ、飲食、温泉、書籍、展示、体験、設備、営業時間、宿泊プランなどは変更される場合があります。最新情報は各施設の公式サイト・予約ページでご確認ください。

収穫に、
泊まる。

旅先で味わう、
ぶどう、野菜、果実、新米。

料理として運ばれてくる前に、
それらが育っていた場所があります。

朝露の残る畑。
風が抜けるぶどう棚。
稲穂が揺れる田んぼ。

秋の味覚を食べるだけでなく、
育った時間と、つくる人に近づく。


6つの宿から、収穫と滞在のつながりを見ていきます。

STAY WHERE FOOD BEGINS

料理の説明を聞く前に、
畑の景色を見る。

地産地消を掲げる宿は、たくさんあります。

けれど今回見るのは、地元産の食材を使っているかだけではありません。

宿泊者が土や作物に触れられるのか。畑と食卓がどのようにつながっているのか。育てる人の仕事が、滞在の中に見えるのか。

食材の産地を表示するだけでなく、
食べ物が生まれる場所へ、宿から近づけるか。


その距離を比べます。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の宿、畑、果樹園、ぶどう畑、水田、料理、人物、景観とは異なる場合があります。

EDITOR’S NOTE

収穫体験は、
農作業を見せるアトラクションなのか。

作物は、旅行者の予定どおりには育ちません。

暑さ、雨、台風、病気。その年の天候によって、収穫時期も量も変わります。

希望していた果物が採れない日もあれば、種まきや畑の手入れを体験する日もあります。

採る瞬間だけでなく、
収穫までに続いてきた仕事を伝えられるか。


体験の派手さではなく、農業と滞在の関係を読みます。

FOUR PERSPECTIVES

収穫に泊まる、4つの視点

FIELD|何が、どの土地で育っているか

TOUCH|宿泊者は、どこまで農作業に触れられるか

TABLE|収穫物が、どう食卓へ届くか

PEOPLE|育てる人の仕事や考えが見えるか

01 / VINEYARD & VINTAGE

Winerystay TRAVIGNE

ぶどうを摘む前から、
ワインの時間は始まっている。

Winerystay TRAVIGNEは、新潟・角田山の麓にあるカーブドッチワイナリーのぶどう畑に囲まれた、小さなホテルです。

客室やラウンジの窓から見えるのは、完成したワインではなく、それが生まれる前の畑。

ワイナリーツアーでは、ぶどう畑、醸造棟、樽熟成庫、地下セラーを巡り、土から瓶へ移っていく工程をたどります。

宿泊者が必ず収穫へ参加する宿ではありません。

けれど、実りの秋の畑を眺めながら、料理とワインを味わえば、一杯の中に土地や季節があることを実感できます。

FIELD|角田山の麓に広がるワイン用ぶどう畑

TOUCH|畑と醸造の工程をワイナリーツアーでたどる

TABLE|土地の料理とカーブドッチワインを合わせる

 

 

02 / AGRITURISMO

リゾナーレ那須

収穫する日も、
畑を整える日もある。

リゾナーレ那須は、農業と観光を組み合わせたアグリツーリズモを掲げる高原リゾートです。

敷地内のアグリガーデンでは、毎日の農作業に触れる「ファーマーズレッスン」を開催。

実った野菜やハーブを収穫する日もあれば、種をまく、畝をつくる、肥料を整えるといった作業の日もあります。

秋には稲刈りをはじめとする、実りの季節ならではの風景も現れます。

収穫の楽しい部分だけを切り取らず、育てる途中の仕事も農業の一部として見せている宿です。

FIELD|野菜、ハーブ、米を育てるアグリガーデン

TOUCH|収穫だけでなく、種まきや畑づくりにも触れる

PEOPLE|スタッフから、その日に必要な農作業を学ぶ

 

 

03 / HARVEST & BBQ

農園リゾートTHEFARM

畑で採った野菜を、
その日の夕食へ。

千葉県香取市にあるTHE FARMは、広い農園を中心に、コテージ、グランピング、温泉、レストランを備えた農園リゾートです。

畑では季節の野菜を収穫し、採れた野菜を持ち帰ることができます。

宿泊プランによっては、収穫した野菜をそのままBBQで味わう過ごし方も。

スーパーで整えられた野菜とは違い、土がつき、大きさや形もそろっていません。

採ったものを洗い、切り、焼いて食べるまでを一続きにすることで、収穫が食事の前座ではなくなります。

FIELD|季節ごとに異なる野菜が育つ広い農園

TOUCH|宿泊者が畑へ入り、自分の手で収穫する

TABLE|採れた野菜をBBQや滞在中の食事へ

 

 

04 / ORCHARD STAY

マルサマルシェ 一棟貸し宿
【桃源の家】【庭園の家】

果実を採り、
自分たちで一皿にする。

山梨県笛吹市にある、果樹園とつながった一棟貸しの農泊です。

秋はぶどうから始まり、季節が進むとりんごや柿へ。生育状況に合わせて、その時期の果実を収穫します。

体験は果物狩りだけではありません。

採れた果物を使ったパフェ、ピザ、フルーツサンドづくりや、地域の食材を使った料理にもつなげられます。

木から実を外す瞬間と、食べやすく加工されたスイーツの間にある手仕事まで体験できる宿です。

FIELD|桃、ぶどう、りんご、柿などの果樹園

TOUCH|旬の果実を自分で選び、収穫する

TABLE|収穫した果実を料理やスイーツへ変える

 

 

05 / RICE FIELD & NEW CROP

SHONAI HOTEL SUIDEN TERRASSE

稲刈りのあとに残る景色を、
ホテルから眺める。

SUIDEN TERRASSEは、山形県庄内平野の水田に浮かぶように建つホテルです。

春の水鏡、夏の青田、秋の稲穂。客室や共用部から、米が育つ時間そのものを眺められます。

秋、田んぼは黄金色から刈り取り後の静かな風景へ変わり、食卓には庄内の新米が届きます。

レストランでは米を単独の名物として扱うだけでなく、雪解け水が田を潤し、米や酒、海の恵みへつながる循環を料理で表現しています。

収穫をイベントとして見るより、米づくりが地域の風景と食文化をつくっていることを感じたい宿です。

FIELD|庄内平野に広がる水田

SEASON|青田、稲穂、刈り取り後まで景色が変わる

TABLE|新米と庄内の水・酒・食文化を味わう

 

 

06 / FARM TO HOTEL TABLE

八ヶ岳グレイスホテル

ホテルの裏側にある畑が、
料理の主役を育てる。

八ヶ岳グレイスホテルは、複数の畑からなる直営の八ヶ岳グレイス農園を運営しています。

標高差のある畑を使い分け、多くの種類の高原野菜を育て、収穫した野菜をホテルの料理へ。

野菜は付け合わせとして少量添えるのではなく、料理の中心に置かれます。

畑ではまだ薄暗いうちから収穫が始まり、その日に状態のよい野菜が食卓へ運ばれます。

宿泊者が必ず畑へ入るわけではなくても、ホテル自身が育てる側に立つことで、厨房と農園の距離が近くなっています。

FIELD|高原の気候を生かしたホテル直営農園

PEOPLE|農園スタッフが土と収穫時期を管理

TABLE|毎朝採れた野菜をホテルの料理へ

 

 

SIX WAYS TO MEET THE HARVEST

収穫との出会い方は、それぞれ違う。

Winerystay TRAVIGNE|ぶどう畑と醸造の時間に泊まる。

リゾナーレ那須|収穫まで続く農作業へ参加する。

農園リゾートTHEFARM|採った野菜を、その日の食事へ。

マルサマルシェ|果実を採り、自分たちで一皿にする。

SUIDEN TERRASSE|米が育つ景色と新米を味わう。

八ヶ岳グレイスホテル|ホテル自身が畑を耕し、料理へ届ける。

TASTE THE TIME BEFORE THE TABLE

収穫に、
泊まる。

ぶどうを眺め、
土に触れ、
野菜や果実を手に取る。

稲が刈られたあとの田んぼを見て、
炊きたての新米を食べる。

食材の名前だけを知る旅から、
育った場所と時間を知る旅へ。

収穫とは、完成した味を受け取る瞬間ではなく、
長く続いてきた仕事の一区切り。


その背景に泊まると、
秋の一皿は少し違って見えてきます。

REFERENCE

記事作成にあたり、各宿泊施設、ワイナリー、農園、果樹園、農業体験、料理、および楽天トラベルの施設・宿泊プラン情報を確認しています。

※掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに構成しています。収穫物、農作業、体験内容、開催日、料金、食事、宿泊プランなどは天候や生育状況により変更されます。収穫体験が必ず実施されるとは限りません。最新情報は各施設の公式サイト・予約ページでご確認ください。