秋雨の日に、
泊まりたい。

せっかくの旅行なのに、
窓の外は雨。

予定していた散歩をやめ、
観光地をひとつ諦める。

旅先の雨は、つい、
晴れの日より少し損をした気持ちにさせます。

けれど、外へ出ないことで、
初めて見えてくる宿もあります。

雨音が届くラウンジ。
時間を忘れる本棚。
冷えた身体を温める湯。
館内を歩くだけで出会えるアート。

晴れない一日を、
予定のない時間へ変えてくれる宿。


秋雨の日にこそ泊まりたい6つの場所を見ていきます。

STAY IN, LISTEN TO THE RAIN

出かけない一日が、
宿をよく見せる。

晴れた日のホテルは、観光へ出かけるための出発点になりがちです。

朝食を終えたら外へ出て、夕方になったら戻ってくる。館内で過ごす時間は、旅の前後に残った空白になることもあります。

雨の日は、その順番が変わります。

本棚の前で立ち止まる。窓の外の葉が濡れていくのを見る。温泉へ何度も入る。予定していなかった作品に出会う。

何ができるかではなく、
何もしなくても時間が成立するか。


宿が本来持っている居場所の力を、雨の日から読み解きます。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の宿、客室、ラウンジ、本棚、温泉、作品、森林、町並み、人物とは異なる場合があります。

EDITOR’S NOTE

雨の日向けの設備を増やせば、
雨を楽しめる宿になるのか。

ライブラリー、ラウンジ、温泉、カフェ。館内設備が多ければ、雨の日の選択肢は増えます。

けれど、予定を次々と埋めなければ楽しめないなら、晴れの日の観光とあまり変わりません。

大切なのは、宿泊者が急かされず、自分の速さで過ごせること。

雨を忘れさせるのではなく、
雨が降っていることまで滞在にできるか。


音、読む場所、温かさ、窓の景色から6つの宿を見ます。

FOUR WAYS TO SPEND A RAINY DAY

秋雨の宿を読む、4つの視点

SOUND|雨音や水の気配を感じられるか

READ|時間を忘れて過ごせる本や居場所があるか

WARM|湯、火、茶、食事で身体を温められるか

LOOK|外へ出なくても、景色や作品と出会えるか

01 / THE RAIN BECOMES PART OF KANAZAWA

雨庵 金沢

雨を避けるのではなく、
金沢らしさとして迎える。

雨庵 金沢が掲げるのは、「金沢の雨まで、旅の魅力に」という考え方です。

雨が降ったから予定が崩れたのではなく、雨の日だからこそ金沢の文化に触れる時間ができたと考える。

1階のラウンジ「ハレの間」には、テーブル席と畳の小上がりがあり、加賀棒茶や和菓子、金沢にまつわる本やアートが用意されています。

夜には北陸の赤巻をのせた温かい蕎麦も提供されます。

雨の日には伝統工芸の体験が行われることもあり、外へ出られない時間を、金沢を知る時間へ置き換えています。

SOUND|雨を隠さず、金沢の風景として受け入れる

WARM|加賀棒茶、和菓子、夜の温かい蕎麦

LOOK|書籍、アート、伝統工芸を館内で楽しむ

雨庵 金沢

02 / BOOKS, STREAM & ONSEN

創業大正十五年 蓼科 親湯温泉

三万冊の本と、
渓流の音に囲まれる。

蓼科 親湯温泉には、約三万冊を収めたLibrary Loungeがあります。

文学、歴史、写真、アート。館内の壁に沿って本が並び、ワインやウイスキーを片手に読むこともできます。

この宿は、多くの作家や文化人が訪れた蓼科の歴史を、古い資料として閉じ込めず、いまも人が本を開く場所として残しています。

本に疲れたら、敷地内から湧く温泉へ。渓流を望む露天風呂では、水の音と雨音が重なります。

外へ観光に出なくても、本、酒、温泉を行き来するだけで一日がゆっくり進んでいく宿です。

READ|約三万冊を収めるLibrary Lounge

SOUND|渓流と雨の音を聞く露天風呂

WARM|温泉と酒を行き来するおこもり時間

 

 

03 / RAIN IN THE FOREST

箱根リトリート före

濡れた森を、
窓とテラスから眺める。

箱根リトリート föreは、仙石原の森に複数の建物が点在するフォレストリゾートです。

雨が降ると、木の幹は色を濃くし、葉や土の匂いが立ち上がります。

敷地内のカフェ&ラウンジでは、森を眺めながらオリジナル焙煎のコーヒーやスイーツを楽しめます。

一部の客室には薪ストーブがあり、炎を眺めながら過ごせるのも、肌寒くなる秋の午後に似合います。

森を歩き回らなくても、窓を通して雨に濡れる自然の変化を見続けられる。雨が景色を隠すのではなく、森の表情を変える宿です。

LOOK|窓やテラスから見る、雨に濡れた箱根の森

WARM|コーヒー、薪火料理、一部客室の薪ストーブ

SOUND|建物の間を歩くときに聞こえる雨と木々の音

 

 

04 / A LIBRARY IN THE CITY

芝パークホテル

東京観光をやめて、
ホテルで本を選ぶ。

芝パークホテルは、館内に二千冊以上の本を備えたLibrary Hotelです。

中央の大階段を囲む高さ約七メートルの本棚や、階ごとにテーマの異なる読書スペースがあります。

日本文化、建築、写真、アート、ファッションなど、東京を歩く前にも、歩いたあとにも開きたくなる本が並びます。

雨の日には観光地を詰め込まず、館内を歩きながら一冊を選び、ラウンジや客室で読む。

都市のホテルでありながら、外の予定をすべて手放しても滞在が成立する、本を目的に泊まれる場所です。

READ|館内に並ぶ二千冊以上の本

WALK|大書棚とテーマ別の読書空間を館内で巡る

CHOICE|東京観光の予定を、一冊の読書へ置き換える

 

 

05 / ART WITHOUT GOING OUT

KAIKA TOKYO by THE SHARE HOTELS

美術館へ行かなくても、
作品のある場所を歩ける。

KAIKA TOKYOは、ホテルとアートストレージを組み合わせた施設です。

共用部には、ギャラリーが作品を公開保管する九つのストレージがあり、通常は表に出にくい収蔵の風景を見ることができます。

館内の廊下やラウンジにも作品が置かれ、チェックインから客室へ向かう動線そのものが鑑賞の時間になります。

アートストレージに隣接したカフェでは、コーヒーや食事を楽しみながら作品を眺められます。

雨の東京で美術館を何館も移動する代わりに、一つの建物の中で、作品、保管、カフェ、客室をゆっくり巡る宿です。

LOOK|公開保管された九つのアートストレージ

WALK|共用部を歩きながら作品に出会う

STAY|鑑賞のあと、移動せず客室へ戻れる

 

 

06 / RAIN IN A KYOTO MACHIYA

三井ガーデンホテル京都新町 別邸

濡れた新町通から、
暖簾の奥の静けさへ。

三井ガーデンホテル京都新町 別邸は、京町家の風情を残す新町通に建つホテルです。

通りに面した暖簾をくぐると、外の町並みとは少し異なる、落ち着いた和モダンの空間が広がります。

雨に濡れた石畳や格子を眺めて戻ったあとは、館内の人工炭酸泉の大浴場へ。

窓先の緑を見ながら湯に浸かり、冷えた身体を温めることができます。

京都の雨を館内から完全に切り離すのではなく、町家の外観、暖簾、緑、湯を通して、雨の京都を静かな滞在へ引き継ぐホテルです。

LOOK|雨に濡れる新町通と町家の風情

WARM|窓先の緑を望む人工炭酸泉の大浴場

BOUNDARY|暖簾を境に、雨の町から静かな館内へ

 

 

SIX WAYS TO SPEND THE RAIN

雨の日に、何をして過ごす?

雨庵 金沢|雨を金沢文化へ触れるきっかけにする。

蓼科 親湯温泉|三万冊の本と渓流の温泉を行き来する。

箱根リトリート före|雨に濡れた森を、窓とカフェから眺める。

芝パークホテル|東京観光をやめ、ホテルで一冊を選ぶ。

KAIKA TOKYO|館内を歩きながらアートと出会う。

三井ガーデンホテル京都新町 別邸|雨の町家から大浴場の静けさへ戻る。

LET THE DAY SLOW DOWN

秋雨の日に、
泊まりたい。

晴れたら、
もっと多くの場所へ行けたかもしれません。

けれど雨が降ったから、
一冊の本を最後まで読めた。

湯に長く浸かり、
窓の外を何度も眺め、
予定していなかった作品に出会えた。

雨の日の旅は、
できなかったことを数えるのではなく、
ゆっくりできた時間を残す旅。


晴天を待たなくても、
宿の中には、その日だけの景色があります。

REFERENCE

記事作成にあたり、各宿泊施設の公式情報、ラウンジ、ライブラリー、温泉、アートストレージ、カフェ、および楽天トラベルの施設・宿泊プラン情報を確認しています。

※掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに構成しています。ラウンジ、飲食、温泉、書籍、展示、体験、設備、営業時間、宿泊プランなどは変更される場合があります。最新情報は各施設の公式サイト・予約ページでご確認ください。