月は、
いつ見る?

月を見る旅なら、
満月の日に宿を予約すればいい。

そう思ってしまいます。

けれど月は、
毎晩同じ時間、同じ場所に現れるわけではありません。

夕暮れの西に残る細い月。
日が沈むころ、東から昇る満月。
夜更けになってから姿を見せる月。

月を見に行くのではなく、
月が来るのを待つ。


月見台、湖、海、渓谷、庭。
異なる場所で夜を待つ6つの宿を訪ねます。

WAITING FOR THE MOON

見える瞬間だけでなく、
現れるまでの時間に泊まる。

月の満ち欠けは、およそ29.5日の周期で繰り返されます。

上弦の月は夕方から夜に見やすく、満月は日没のころ東から昇り、夜を通して空を移動します。

同じ宿でも、泊まる日によって、月が現れる方角も時間も変わります。

大きな月を見せることより、
月を待てる場所が用意されているか。


客室の外へ椅子を出すこと。照明を少し落とすこと。湯に浸かりながら、空を何度も見上げること。

月見の宿は、夜を急がずに過ごすための場所でもあります。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の宿、月、月見台、湖、海、渓谷、庭、温泉、客室、周辺景観とは異なる場合があります。

EDITOR’S NOTE

満月が見えれば、
月見の宿なのか。

満月は明るく、形も分かりやすい。海や湖に光が映れば、写真にも残したくなります。

けれど、月が昇る時間に食事中だったり、客室と反対側の空に現れたりすることもあります。

雲が広がれば、満月の日でも見えません。

月そのものを保証するのではなく、
見えなくても待つ時間が成立するか。


空へ向いた場所、照明、水面、湯の温かさから、6つの宿を読みます。

FOUR WAYS TO WAIT FOR THE MOON

月を待つ宿を読む、4つの視点

PLACE|どこに座り、どの方角を見るか

TIME|月が現れるまで待てるか

LIGHT|館内や町の灯りと、どう共存するか

REFLECTION|海、湖、川、庭、湯に光がどう映るか

01 / MOON ABOVE THE CITY

熱海温泉 熱海の癒 新かどや

夜景の上に、
月が現れるのを待つ。

新かどやは、熱海の町と相模湾を見下ろす高台に建つ温泉旅館です。

客室には、外の風に触れられる月見台が設けられています。

日が暮れると、先に現れるのは熱海の町の灯り。空が暗くなるにつれて、海と町並みの上に月の輪郭が見えてきます。

山の中の暗い夜とは違い、月だけが夜を照らすわけではありません。

月、夜景、海辺の町。それぞれ異なる光が重なっていく時間を、客室の外へ少し出て眺める宿です。

PLACE|客室に設えられた月見台

LIGHT|月と熱海の夜景が同じ視界に入る

QUESTION|町の明るさも、月見の風景として楽しめるか

 

 

02 / A TERRACE FOR THE MOON

箱根芦ノ湖温泉 和心亭 豊月

月を見るための場所を、
客室の外につくる。

和心亭 豊月の月見棟には、月を眺めるための専用テラス「月見台」があります。

二子山と屏風山の間から昇る月を待ち、空を移動する姿を眺める場所です。

芦ノ湖へ開けた客室とは別に、月が現れる方角へ意識を向けた客室を用意していることが特徴です。

半露天風呂から月見を楽しめる部屋もあります。

景色のよいテラスではなく、「月を見る」という目的を先に持ったテラス。座って待つこと自体が、夜の予定になります。

PLACE|月見専用の客室テラス

TIME|二つの山の間から月が昇るのを待つ

LOOK|月の位置に合わせて、客室の向きを選ぶ

 

 

03 / MOON BETWEEN THE MOUNTAINS

四季を味わう宿 山の茶屋

広い空ではなく、
山の隙間に月を探す。

山の茶屋は、吊り橋を渡った先、箱根・塔ノ沢の山間に佇む宿です。

月見台を備えた客室では、竹や木々、山の稜線に囲まれながら夜空を見上げます。

海辺や高原のように、空全体が大きく開けているわけではありません。

月が枝に隠れ、また現れる。風に揺れる葉の間から、光が客室や露天風呂へ落ちてきます。

見晴らしの広さではなく、山の暗さによって月が近く感じられる宿です。

PLACE|月見台と露天風呂のある山間の客室

LIGHT|町の灯りが少ない、渓谷の夜

LOOK|枝や山の稜線の間に月を探す

 

 

04 / MOON ROAD ON THE SEA

絶景の離れの宿 月のうさぎ

海の上に、
月まで続く道が現れる。

月のうさぎは、すべての離れに海と伊豆大島を望む温泉露天風呂を備えています。

夜、月の光が海面へ反射すると、宿の前から水平線へ向かって光の道が伸びて見えることがあります。

この「月の道」は、月の位置、雲、波、空気の状態が重なったときに現れるもの。

予約をしたからといって、必ず出会える景色ではありません。

だからこそ、露天風呂に何度も入り、暗い海を見ながら待つ。見えなかった夜も含めて、海と月に時間を委ねる宿です。

PLACE|離れの温泉露天風呂から相模湾を見る

REFLECTION|海面へ伸びる月の光

WAIT|見える保証のない景色を、湯に浸かって待つ

 

 

05 / LEAVE THE ROOM TO SEE THE MOON

渓谷に佇む源泉湯宿 四万やまぐち館

客室を出て、
月見のためのラウンジへ。

四万やまぐち館は、清流・四万川に沿って建つ温泉旅館です。

館内の3階と最上階には、外の空気に触れられる月見台ラウンジがあります。

月を見る場所を客室ごとに閉じず、館内の共用空間として用意しているのが特徴です。

湯上がりにラウンジへ移り、渓谷の暗さや川の音を感じながら、雲が流れるのを待つ。

部屋の窓から偶然見るのではなく、月を見るために客室を出る。その小さな移動が、夜の過ごし方を変えます。

PLACE|3階と最上階の月見台ラウンジ

SOUND|四万川と渓谷の音を聞きながら待つ

SHARE|月を見る場所を、宿泊者の共用空間にする

 

 

06 / MOON ABOVE THE GARDEN

美作三湯 湯郷温泉 季譜の里

湯に浸かったまま、
月が移るのを見る。

季譜の里の石畳の露天風呂は、庭園と湯郷の夜空へ開かれています。

月見台のように月だけを見る場所ではありません。

湯に浸かり、庭の緑や石の表情を眺めているうちに、月が少しずつ空を移動していきます。

一度見上げて終わるのではなく、身体を温めながら、何度も同じ空を見る。

月の形だけでなく、その位置が変わっていくことを、露天風呂の時間によって感じられる宿です。

PLACE|庭園に囲まれた石畳の露天風呂

TIME|湯に浸かりながら月の移動を眺める

LIGHT|庭の静けさと岡山北部の夜空

 

 

SIX PLACES TO WAIT

月を待つ場所は、それぞれ違う。

新かどや|町と海の灯りの上に現れる月を待つ。

和心亭 豊月|月を見るためにつくられた客室テラスへ出る。

山の茶屋|山と木々の隙間に月を探す。

月のうさぎ|海面へ伸びる光の道を露天風呂から待つ。

四万やまぐち館|客室を出て、共用の月見ラウンジへ向かう。

季譜の里|湯に浸かりながら、月が庭の上を移るのを見る。

BEFORE BOOKING

月見旅で確認したいこと

● 宿泊日の月齢と、現地での月の出・月の入り

● 月が昇る方角と、予約する客室・テラスの向き

● 月が見やすい時間と、夕食・入浴時間の重なり

● 月見台や露天風呂を利用できる客室タイプ

● 雲や雨で見えない夜にも楽しめる場所があるか

THE NIGHT DOES NOT NEED TO HURRY

月は、
いつ見る?

月見台へ出る。
露天風呂に浸かる。
暗い海や山を眺める。

何度空を見上げても、
雲に隠れたままの夜もあります。

それでも月を待っている間、
風や水の音、夜の深さに気づくことができます。

月を見る旅は、
月が見えた瞬間だけの旅ではありません。


現れるか分からない光を待ちながら、
夜を急がずに過ごす旅です。

REFERENCE

記事作成にあたり、各宿泊施設の公式情報、客室、月見台、露天風呂、ラウンジ、眺望、および国立天文台の月の満ち欠け・月の出入りに関する情報を確認しています。

※掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに構成しています。月の見え方は月齢、時刻、方角、天候、周辺の光などによって変わります。月見台、客室、露天風呂、ラウンジ、宿泊プランなども変更される場合があります。最新情報は各施設の公式サイトでご確認ください。

列車から始まる、
紅葉旅。

紅葉を見に行く旅では、
名所へ着いてから景色が始まると思いがちです。

駅を降り、
展望台や渓谷へ向かい、
色づいた木々の前で立ち止まる。

けれど列車で向かえば、
秋は目的地より少し早く現れます。

窓の外を流れる山。
川面に映る赤や黄色。
小さな駅と、刈り取りを終えた田畑。

宿へ着く前から、
旅の景色は始まっている。


車窓の秋と、その先にある6つの宿を訪ねます。

THE JOURNEY BEGINS AT THE WINDOW

目的地へ運ばれる時間を、
旅の余白にしない。

速く着くことだけを考えれば、列車の移動は短いほど便利です。

けれど渓谷や高原を走る列車では、速度が遅いことや、遠回りすることが、そのまま価値になります。

窓のないトロッコから冷たい風を受ける。鉄橋の上で川を見下ろす。小さな駅を通過しながら、標高と木々の色が変わっていくのを見る。

列車は、紅葉の場所へ向かう手段ではなく、
紅葉の中を進むための席になる。


そして宿は、車窓で見た景色の続きを受け取る場所になります。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の列車、車両、駅、線路、宿、紅葉、山、川、人物、周辺景観とは異なる場合があります。

EDITOR’S NOTE

有名な観光列車に乗れば、
紅葉旅は完成するのか。

紅葉シーズンの観光列車は混みやすく、希望する席や時間を取れないことがあります。

天候や復旧工事によって、運行区間やダイヤが変わる路線もあります。

窓側に座れなければ景色が見えにくい。開放型の車両は寒い。列車を降りたあと、駅から宿まで別の移動が必要な場合もあります。

大切なのは、列車の名前だけで宿を選ばず、
乗車前から到着後までを一つの旅として組み立てること。


車窓、速度、駅と宿の距離、景色の続きを比べます。

FOUR PERSPECTIVES

列車と紅葉を読む、4つの視点

WINDOW|車窓から、どんな秋が見えるか

PACE|速さや停車時間が、景色をどう変えるか

ARRIVAL|駅から宿まで、旅が途切れないか

CONTINUE|列車で見た景色が、宿でも続くか

01 / KUROBE GORGE RAILWAY

黒部峡谷鉄道
× 黒部・宇奈月温泉 やまのは

峡谷の中へ入り、
温泉から列車を見送る。

黒部峡谷鉄道のトロッコ電車は、宇奈月駅から黒部川に沿って、深い峡谷の中へ進みます。

秋は、赤や黄色の木々と、エメラルドグリーンの川、鉄橋や発電施設が同じ車窓へ現れます。

窓のない普通客車では、風や気温も峡谷の一部。景色を眺めるだけでなく、標高が上がるにつれて変わる冷たさを身体で感じます。

やまのはは宇奈月の温泉街にあり、トロッコ電車の宇奈月駅から徒歩圏内です。

展望露天風呂「棚湯」からは、黒部峡谷と赤い山彦橋、そこを渡るトロッコ列車を望めます。乗っていた列車を、今度は湯の中から見送る宿です。

WINDOW|紅葉、黒部川、鉄橋が近い距離で続く

PACE|ゆっくり進むトロッコで峡谷の奥へ

CONTINUE|温泉から、橋を渡る列車を眺める

CHECK|開放型客車は冷え込むため、防寒着を準備

 

 

02 / OIGAWA RAILWAY

大井川鐵道
× 大井川鐵道 川根温泉ホテル

列車を降りても、
線路のそばで過ごす。

大井川鐵道は、大井川や茶畑、山里の風景に沿って進むローカル線です。

秋は、山の色づきだけでなく、集落、川、茶畑、鉄橋が交互に現れます。

観光名所だけを切り取るのではなく、人が暮らす風景の中を列車が通り抜けていくのが、この路線の魅力です。

川根温泉ホテルは、川根温泉笹間渡駅の近く。客室やレストラン、温泉から、大井川鐵道の列車が通る姿を眺められます。

到着したあとも線路と川のそばに泊まり、汽笛や走行音を聞く。列車旅が、チェックインで終わらない宿です。

WINDOW|大井川、茶畑、集落を横につないで進む

ARRIVAL|川根温泉笹間渡駅の近くに泊まる

CONTINUE|館内から列車の姿や音を楽しむ

CHECK|現在の運行区間を確認して旅程を組む

 

 

03 / SAGANO SCENIC RAILWAY

嵯峨野トロッコ列車
× 京都 嵐山温泉 渡月亭

保津峡を抜け、
紅葉の嵐山に泊まる。

嵯峨野トロッコ列車は、トロッコ嵯峨からトロッコ亀岡まで、保津川渓谷に沿って約25分を走ります。

列車の窓から見る紅葉は、寺院の庭や展望台から見る景色とは異なります。

川の流れに沿って視点が動き、岩壁や鉄橋の向こうから、次の色が現れては消えていきます。

渡月亭は、渡月橋の南詰にある温泉旅館。トロッコ列車を降りたあと、嵯峨野や嵐山を歩き、夕方の川辺へ戻れます。

朝の車窓、昼の寺院、夕方の渡月橋。時間によって異なる紅葉を、一つの滞在に重ねる宿です。

WINDOW|保津川と岩壁の間を流れる紅葉

PACE|約25分の短い列車旅に景色が凝縮される

ARRIVAL|嵯峨野散策から渡月橋の宿へ

CHECK|紅葉期は早めに乗車券を確保

 

 

04 / JR KOUMI LINE

JR小海線・HIGH RAIL 1375
× 清里高原リゾート

標高を上げながら、
高原の秋へ入っていく。

小海線は、小淵沢から小諸まで、八ヶ岳の高原地帯を走るローカル線です。

車窓には八ヶ岳や南アルプス、牧草地、黄金色の田畑、色づいた森が広がります。

野辺山駅と清里駅の間では、JR線の標高最高地点を通過。平地から高原へ、空の広さと木々の色が少しずつ変わります。

清里高原リゾートは、清里駅から予約制の送迎で向かえる高原の宿です。

車窓で見ていた八ヶ岳の空気の中へ降り、湖畔や森のそばで過ごす。線路が高原の入口になります。

WINDOW|山、田園、牧草地を大きな空と眺める

PACE|標高とともに風景がゆっくり変化する

ARRIVAL|清里駅から予約制送迎で宿へ

CHOICE|運行日が合えば観光列車も選べる

 

 

05 / AIZU RAILWAY

会津鉄道 お座トロ展望列車
× 会津芦ノ牧温泉 大川荘

列車の窓と、
宿の窓で渓谷を見る。

会津鉄道のお座トロ展望列車には、お座敷席、トロッコ席、展望席があります。

座る場所によって、同じ渓谷でも見え方が変わります。

風を感じる席。高い位置から遠くを見る席。テーブルを囲み、会津の酒や菓子とともに景色を眺める席。

大川荘は芦ノ牧温泉駅から送迎を利用でき、阿賀川の渓谷に面して建つ温泉宿です。

列車の窓を流れていた渓谷を、到着後は客室や露天風呂から静かに眺める。移動中の景色が、宿で止まります。

WINDOW|席の種類によって、渓谷との距離が変わる

PACE|景勝地では速度を落とし、車窓を楽しむ

ARRIVAL|芦ノ牧温泉駅から予約制送迎

CONTINUE|露天風呂と客室から渓谷の秋を見る

 

 

06 / MINAMIASO RAILWAY

南阿蘇鉄道 トロッコ列車
× 休暇村南阿蘇

窓をひらき、
阿蘇の地形を横切る。

南阿蘇鉄道のトロッコ列車は、立野駅と高森駅の間を約55分で走ります。

車窓には阿蘇五岳、外輪山、田畑、渓谷、集落が続きます。

山の一部だけを見るのではなく、大きなカルデラの中を列車が進むことで、南阿蘇の地形そのものを感じられます。

終点の高森駅からは、送迎を利用して休暇村南阿蘇へ。

宿の前には阿蘇五岳が広がり、露天風呂からも山を望めます。列車の横長の車窓から見ていた風景を、今度は正面から受け取る宿です。

WINDOW|阿蘇五岳、田園、外輪山が大きく広がる

PACE|約55分かけてカルデラの中を横切る

ARRIVAL|高森駅から送迎で約10分

CONTINUE|露天風呂から阿蘇の山並みを望む

 

 

SIX WINDOWS INTO AUTUMN

列車によって、秋の見え方は変わる。

黒部峡谷鉄道|深い峡谷の中へ入り、川と紅葉を間近に見る。

大井川鐵道|川、茶畑、集落の日常をつないで進む。

嵯峨野トロッコ列車|保津川沿いの紅葉を短い時間へ凝縮する。

JR小海線|標高を上げながら、高原の秋へ入っていく。

会津鉄道|席を選び、渓谷を眺める時間そのものを楽しむ。

南阿蘇鉄道|カルデラの大きさを、横長の車窓から知る。

BEFORE BOOKING

秋の列車旅で確認したいこと

● 観光列車の運行日、運行区間、指定席の予約開始日

● 往路と復路のどちらで景色を見たいか

● 開放型車両の寒さ、雨、荷物への対策

● 到着駅から宿までの送迎時刻と予約条件

● 紅葉の見頃は標高や天候で変わること

AUTUMN BEGINS BEFORE ARRIVAL

列車から始まる、
紅葉旅。

紅葉の名所へ着く前に、
窓の外で木々が色づき始める。

川を渡り、
標高を上げ、
小さな駅を通り過ぎる。

宿へ着いたあとも、
渓谷や線路、山の景色が続いている。

目的地だけを切り取らず、
そこへ向かう時間まで旅にする。


列車の窓は、
秋の景色を最初に見せてくれる額縁です。

REFERENCE

記事作成にあたり、各鉄道会社、観光列車、宿泊施設の公式情報、および楽天トラベルの施設・宿泊プラン情報を確認しています。

※掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに構成しています。運行日、運行区間、時刻、車両、座席、紅葉状況、送迎、温泉、宿泊プランなどは変更される場合があります。特に観光列車は運休日や指定席制があります。最新情報を各鉄道会社・宿泊施設の公式サイトでご確認ください。

秋雨の日に、
泊まりたい。

せっかくの旅行なのに、
窓の外は雨。

予定していた散歩をやめ、
観光地をひとつ諦める。

旅先の雨は、つい、
晴れの日より少し損をした気持ちにさせます。

けれど、外へ出ないことで、
初めて見えてくる宿もあります。

雨音が届くラウンジ。
時間を忘れる本棚。
冷えた身体を温める湯。
館内を歩くだけで出会えるアート。

晴れない一日を、
予定のない時間へ変えてくれる宿。


秋雨の日にこそ泊まりたい6つの場所を見ていきます。

STAY IN, LISTEN TO THE RAIN

出かけない一日が、
宿をよく見せる。

晴れた日のホテルは、観光へ出かけるための出発点になりがちです。

朝食を終えたら外へ出て、夕方になったら戻ってくる。館内で過ごす時間は、旅の前後に残った空白になることもあります。

雨の日は、その順番が変わります。

本棚の前で立ち止まる。窓の外の葉が濡れていくのを見る。温泉へ何度も入る。予定していなかった作品に出会う。

何ができるかではなく、
何もしなくても時間が成立するか。


宿が本来持っている居場所の力を、雨の日から読み解きます。

画像は記事テーマをもとに作成したイメージビジュアルです。実際の宿、客室、ラウンジ、本棚、温泉、作品、森林、町並み、人物とは異なる場合があります。

EDITOR’S NOTE

雨の日向けの設備を増やせば、
雨を楽しめる宿になるのか。

ライブラリー、ラウンジ、温泉、カフェ。館内設備が多ければ、雨の日の選択肢は増えます。

けれど、予定を次々と埋めなければ楽しめないなら、晴れの日の観光とあまり変わりません。

大切なのは、宿泊者が急かされず、自分の速さで過ごせること。

雨を忘れさせるのではなく、
雨が降っていることまで滞在にできるか。


音、読む場所、温かさ、窓の景色から6つの宿を見ます。

FOUR WAYS TO SPEND A RAINY DAY

秋雨の宿を読む、4つの視点

SOUND|雨音や水の気配を感じられるか

READ|時間を忘れて過ごせる本や居場所があるか

WARM|湯、火、茶、食事で身体を温められるか

LOOK|外へ出なくても、景色や作品と出会えるか

01 / THE RAIN BECOMES PART OF KANAZAWA

雨庵 金沢

雨を避けるのではなく、
金沢らしさとして迎える。

雨庵 金沢が掲げるのは、「金沢の雨まで、旅の魅力に」という考え方です。

雨が降ったから予定が崩れたのではなく、雨の日だからこそ金沢の文化に触れる時間ができたと考える。

1階のラウンジ「ハレの間」には、テーブル席と畳の小上がりがあり、加賀棒茶や和菓子、金沢にまつわる本やアートが用意されています。

夜には北陸の赤巻をのせた温かい蕎麦も提供されます。

雨の日には伝統工芸の体験が行われることもあり、外へ出られない時間を、金沢を知る時間へ置き換えています。

SOUND|雨を隠さず、金沢の風景として受け入れる

WARM|加賀棒茶、和菓子、夜の温かい蕎麦

LOOK|書籍、アート、伝統工芸を館内で楽しむ

雨庵 金沢

02 / BOOKS, STREAM & ONSEN

創業大正十五年 蓼科 親湯温泉

三万冊の本と、
渓流の音に囲まれる。

蓼科 親湯温泉には、約三万冊を収めたLibrary Loungeがあります。

文学、歴史、写真、アート。館内の壁に沿って本が並び、ワインやウイスキーを片手に読むこともできます。

この宿は、多くの作家や文化人が訪れた蓼科の歴史を、古い資料として閉じ込めず、いまも人が本を開く場所として残しています。

本に疲れたら、敷地内から湧く温泉へ。渓流を望む露天風呂では、水の音と雨音が重なります。

外へ観光に出なくても、本、酒、温泉を行き来するだけで一日がゆっくり進んでいく宿です。

READ|約三万冊を収めるLibrary Lounge

SOUND|渓流と雨の音を聞く露天風呂

WARM|温泉と酒を行き来するおこもり時間

 

 

03 / RAIN IN THE FOREST

箱根リトリート före

濡れた森を、
窓とテラスから眺める。

箱根リトリート föreは、仙石原の森に複数の建物が点在するフォレストリゾートです。

雨が降ると、木の幹は色を濃くし、葉や土の匂いが立ち上がります。

敷地内のカフェ&ラウンジでは、森を眺めながらオリジナル焙煎のコーヒーやスイーツを楽しめます。

一部の客室には薪ストーブがあり、炎を眺めながら過ごせるのも、肌寒くなる秋の午後に似合います。

森を歩き回らなくても、窓を通して雨に濡れる自然の変化を見続けられる。雨が景色を隠すのではなく、森の表情を変える宿です。

LOOK|窓やテラスから見る、雨に濡れた箱根の森

WARM|コーヒー、薪火料理、一部客室の薪ストーブ

SOUND|建物の間を歩くときに聞こえる雨と木々の音

 

 

04 / A LIBRARY IN THE CITY

芝パークホテル

東京観光をやめて、
ホテルで本を選ぶ。

芝パークホテルは、館内に二千冊以上の本を備えたLibrary Hotelです。

中央の大階段を囲む高さ約七メートルの本棚や、階ごとにテーマの異なる読書スペースがあります。

日本文化、建築、写真、アート、ファッションなど、東京を歩く前にも、歩いたあとにも開きたくなる本が並びます。

雨の日には観光地を詰め込まず、館内を歩きながら一冊を選び、ラウンジや客室で読む。

都市のホテルでありながら、外の予定をすべて手放しても滞在が成立する、本を目的に泊まれる場所です。

READ|館内に並ぶ二千冊以上の本

WALK|大書棚とテーマ別の読書空間を館内で巡る

CHOICE|東京観光の予定を、一冊の読書へ置き換える

 

 

05 / ART WITHOUT GOING OUT

KAIKA TOKYO by THE SHARE HOTELS

美術館へ行かなくても、
作品のある場所を歩ける。

KAIKA TOKYOは、ホテルとアートストレージを組み合わせた施設です。

共用部には、ギャラリーが作品を公開保管する九つのストレージがあり、通常は表に出にくい収蔵の風景を見ることができます。

館内の廊下やラウンジにも作品が置かれ、チェックインから客室へ向かう動線そのものが鑑賞の時間になります。

アートストレージに隣接したカフェでは、コーヒーや食事を楽しみながら作品を眺められます。

雨の東京で美術館を何館も移動する代わりに、一つの建物の中で、作品、保管、カフェ、客室をゆっくり巡る宿です。

LOOK|公開保管された九つのアートストレージ

WALK|共用部を歩きながら作品に出会う

STAY|鑑賞のあと、移動せず客室へ戻れる

 

 

06 / RAIN IN A KYOTO MACHIYA

三井ガーデンホテル京都新町 別邸

濡れた新町通から、
暖簾の奥の静けさへ。

三井ガーデンホテル京都新町 別邸は、京町家の風情を残す新町通に建つホテルです。

通りに面した暖簾をくぐると、外の町並みとは少し異なる、落ち着いた和モダンの空間が広がります。

雨に濡れた石畳や格子を眺めて戻ったあとは、館内の人工炭酸泉の大浴場へ。

窓先の緑を見ながら湯に浸かり、冷えた身体を温めることができます。

京都の雨を館内から完全に切り離すのではなく、町家の外観、暖簾、緑、湯を通して、雨の京都を静かな滞在へ引き継ぐホテルです。

LOOK|雨に濡れる新町通と町家の風情

WARM|窓先の緑を望む人工炭酸泉の大浴場

BOUNDARY|暖簾を境に、雨の町から静かな館内へ

 

 

SIX WAYS TO SPEND THE RAIN

雨の日に、何をして過ごす?

雨庵 金沢|雨を金沢文化へ触れるきっかけにする。

蓼科 親湯温泉|三万冊の本と渓流の温泉を行き来する。

箱根リトリート före|雨に濡れた森を、窓とカフェから眺める。

芝パークホテル|東京観光をやめ、ホテルで一冊を選ぶ。

KAIKA TOKYO|館内を歩きながらアートと出会う。

三井ガーデンホテル京都新町 別邸|雨の町家から大浴場の静けさへ戻る。

LET THE DAY SLOW DOWN

秋雨の日に、
泊まりたい。

晴れたら、
もっと多くの場所へ行けたかもしれません。

けれど雨が降ったから、
一冊の本を最後まで読めた。

湯に長く浸かり、
窓の外を何度も眺め、
予定していなかった作品に出会えた。

雨の日の旅は、
できなかったことを数えるのではなく、
ゆっくりできた時間を残す旅。


晴天を待たなくても、
宿の中には、その日だけの景色があります。

REFERENCE

記事作成にあたり、各宿泊施設の公式情報、ラウンジ、ライブラリー、温泉、アートストレージ、カフェ、および楽天トラベルの施設・宿泊プラン情報を確認しています。

※掲載内容は2026年7月時点の公開情報をもとに構成しています。ラウンジ、飲食、温泉、書籍、展示、体験、設備、営業時間、宿泊プランなどは変更される場合があります。最新情報は各施設の公式サイト・予約ページでご確認ください。