日活
10ミニッツ・オールダー コレクターズ・スペシャル

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病院での、いつもの仕事中。


業務用エレベーターに乗ろうとしたら、地下一階へとむかう一台のベッドと、その横たわっている方のご家族がたくさん乗っていたので、素通りしてもらった。



…ここは病院。


白い布が被せられ顔は見えなかったが、その方のご冥福を祈り、しばし手を合わせる。


そうしているうちに、地下一階からそのエレベータの箱が戻ってきた。


ほんの数秒前にはその方が乗っていたエレベータに独り乗り込み、私はいつもの業務に戻った。


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人の生死を直接見届けるわけではないが、処置の後片付けを行うのが私の業務である。


体液や血液がついた布や機材を洗ったり。


数分前にこの血液の持ち主は、一命をとりとめたかも、命を落としたかもしれない。そんな血液を洗い流す。



エリセ監督が上記作品にて描いていた、血で染まった布を洗うシーンに、自分の業務のことを思った。


「若ければ若いほど、ウソってあんまりいいイメージのない言葉ですけど、実はそんなことはないと思うんです。


“ウソか本当か”より、“面白いか面白くないか”。


楽しめることが僕の基準。


言ってみれば、映画も100%ウソだし」



なんてことないのにあたたかでやわらかな、普通の住宅街を背に、加瀬さん。


満面の笑みで。



FILT
というフリペに、いらっしゃいます。



「映画館を出たあとに、ちょっと景色が違って見えるようなものを目指したいですね」


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このFILTを入手して、美しさ極まりない写真に魅入った翌日のこと。


中日新聞朝刊の連載記事『この人』に、「日常風景切り取り 木村伊兵衛賞受賞」梅佳代さんが載っていた。


この写真の撮影の主、まさにその人が、タイムリーに。


『映写技師の腕の見せ所は、明るさを一定に保つこと』


その言葉に感動して、加瀬さん、


「『明るさを一定に保つか。生活する上で、映画ってそういうことのためにあってほしいなあ』と。」


キネ旬にて包囲されながら(2006年10月上旬号No.1468。アマゾンでは見つけられなかったので、↓を貼っておきました)。

 

キネマ旬報 2007年 2/1号 [雑誌]
 
「演技とは…その人が普段生きている中で感じている祈りに近いと思う。

登場人物の祈りに通じる気持ちをそっと見せていきたいですね」


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見せる手段は違うけれど。


私も、現在挑んでいるこの学問を修めよう、人々の祈りに通じる気持ちをそっと伝えるために。


高いレベルの心で。