期間がわりと短く、いつ行けるか決めかねているうちにFCの申込みは終わっていたし、一般発売もSold Out になっていました。無理かとあきらめていたところお譲りしていただけることになり、ソワレに行ってきました。
舞台に椅子が並んでいます。あれれ、カムフロム?でも、時代を感じる雰囲気のあるセットなので無味乾燥だったカムフロムの舞台装置とは違い、しっとりした湿気を感じるような。
本編がはじまるまでのプロローグが長めで説明歌詞とフォーメーションのような動きがいつまで続くの、ってなった辺りで本編がはじまりました。
この数年、健ちゃんが新たに取り入れてきた歌いかたがようやく耳にしっくりくるようになっています。昨年でしたっけ、アルバム発売後のコンサートの頃は歌唱法の違和感が強くて、本人が努力されているのがものすごく分かるだけに居たたまれないと云うか、もともと下手ではなかったのに、下手に聴こえてしまってました。だから、もとの自然な歌い方に戻してほしいと思っていましたが、伸ばす歌いかたが浦井健治という楽器に馴染んできた感じです。
常に努力の人だなぁ、👏
いつもながら全力で真摯に舞台と向き合っている姿が見られました。
行って良かったです。
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— モンパルナスの奇跡 (@montparnasseMU) June 16, 2024
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ところで、今回のお話ではポール・ギョームという画商が登場しますが、どちらかというと悪役でした。その名前、なんとなく記憶にあって辿ってみると、浦井健治さんが音声ガイドを担当されたマリーローランサン展(Bunkamura)で観たんです。この物語には登場してこなかったギョームの奥さんの肖像を。ギョームはあの時代のパリの有名な画商で、さらに調べるとモディリアーニとも親しくて、実際に彼がギョームを描いた絵も見つけてしまいました。パリのオランジェ美術館で観たような記憶もあります。
モディリアーニが描いたポールギョームの肖像画
~今回の舞台にはこれらの絵は登場しません💦かわりに、裸婦や数多くの女性の顔をコラージュしたモディリアーニの作品が物語のひとつひとつになって、舞台美術として登場しました。とても効果的です。
もちろんこの物語の中ではズボロフスキーと対峙する立場の画商という形が都合がいいのかもしれません。
浦井さんのその歌唱法の進歩とズボロフスキー夫人役の福田さんの歌唱力が際立っていました。
宮澤佐江ちゃんは相変わらずなんですが、憎めないんです。なんか、お似合いなんですよね、いつもそう思います。健ちゃんとの共演がもっとあってもいいかも、って。
キャスト全員がほぼ、常に舞台上にいる感じで、モディリアーニ役の浦井さんとズボロフスキー役の稲葉さん以外のキャストはその都度アンサンブルとして様々な小さな役を演じます。セットの椅子を動かすのもカムフロム風。けれども百年前のパリ、モンマルトル。感じるテイストは向こうが大きな犠牲の裏でカラッとしたおおらかさが広がったのに対して、此方はじわじわと閉塞感のなか、主要人物たちは(すべて表現されたわけではありませんが歴史上、)若くして亡くなっているんです。
ただ、芸術の世界ってそんな気がするんです。
音楽も素敵でした。
舞台上でカフェの専属演奏家たちのようにずっと弾き続けていた彼らにも👏
Band
Piano | : | 榊原 大 |
Violin | : | 川口静華 |
Violoncello | : | 奥泉貴圭、山崎太陽 |
ところで公演タイトルの"奇跡"の意味がよくわかりませんでした。
逆に奇跡が起きてほしかった、ということなのでしょうか?
第一次対戦下、パリ市内が爆撃されブルジョア層が南仏に避難する状況。台詞にもありますが、かつては王室が藝術の庇護者であり、芸術家たちが守られていたのがフランス革命で変わったという皮肉な顛末。世の中は民衆のものになったけれど、金持ちに買ってもらわなければ暮らしにならないわけで。
人々が日常で暮らす町並みに、兵器を落とす感覚。現在も世界各地で起きている出来事。
どうして変わらないでしょうか?どうして殺戮が好きでたまらない人たちがどこかの国の一番偉いところに鎮座しているんでしょうか?
なんで戦争を仕掛けるのか、どうしてその人たちが平気でそうしているのか、全くわかりません。