エゴンシーレは好きな人はかなりいますよね。ただ、内心あまり好みではありませんでした。
今回、とても興味深く面白かったです。
きっと、"今"観るから、そのタイミングでそう思うんでしょうね。
その同時代のウィーンの美術、背景も展示から見えてくるような仕掛け。
時代はあのハプスブルク家の滅亡と重なります。今回の展示ではほとんどハプスブルク家に触れていませんが、あぁなるほどね、って感覚になります。
コロマンモーザーの描いたオーストリア記念切手のスケッチにはフランツヨーゼフ1世もあって、あぁフランツヨーゼフ!って心のなかで((^^))
あの時代のウィーン芸術が独特な様式を持って、豪華と退廃と不穏と反する規律が入り雑じったような印象を持っていたのですが、それが結び付いた気分になりました。
大好きなクリムトの作品もレオポルト美術館からたくさん運ばれてきているので見ごたえもあります。だいたいレオポルト美術館自体知りませんでした。美術鑑賞に夢中になっていたのが前世紀、私が全く名前も知らなかった画家たちの作品もそれぞれ展示されているので、いろいろ考えさせられました。
貴族出身でなくても家柄など気にしたり、規律を守りたい意識、と、
崩壊していく世の中を感じながら、それまでのアカデミックなやり方に反発したい芸術思想が混じったり、
それでいて、たぶん無意識なんでしょうが、やっぱり格式は大事だったり。
そういうところ、理解出来る気がします。
そんなアンバランスな時代、もしかしたら、今ととても似ていて、そういう状況に私たちは居るのではないかと?
そこに生きている人々にとっては楽しかったり夢中だったりしている日常なんだと思います。それでいて、作品からは死とか、危うさ、エロチシズムが漂って来ていて、
癖が強いんだけれど、省いて簡略化してみるとデザイン的で面白かったり。
見栄っ張りなのかな?とかエゴとかの感情も感じるんだけれど、それ以上の才能(タレント)が伝わってくるので、あっけなく、コロナがある日突然死をもたらしたように、当時のスペイン風邪の大流行でその才能が終わってしまったエゴンシーレという存在は、やっぱり"今"を感じさせられます。
実際の絵と写真を撮って葉書にしたものは、タッチも色も描いた線のニュアンスも全く違いますが、このサイズが飾るのに良いかも?と購入してしまいました。
エゴンシーレ 『座る黒髪の男』のポストカード
コロマンモーザー キンセンカのポストカード
コロマンモーザーという画家を知らなかったのですが、ほかに浮世絵から着想した?木版画も色づかい、色の才色の分け方など面白かったです。油絵も簡略化された構図で画かれた色の面がとても素敵で。
今回、新たにファンになってしまった感じです。
カールモルという画家の木版画の風景作品も木版でこんなに細かく木々を木版に掘ったの!?と見入ってしまいました。色づかいも柔くて良かったです。好きです。
エゴンシーレの裸婦・横たわる女も実物がとても良かったんですが、ポストカードにするとあまりにも本物とニュアンスが違いすぎて、これは印刷物にして欲しくないレベルでした。
クリムトの裸婦のデッサンも素敵でした。
クリムトの風景画を観たのが初めてかも。
シェーンブルン庭園の前景にある水面に映る空、木々、こういう構図と色味が大好きなのでこの作品も観ることが出来てしあわせでした。