サイバーエージェント株価動向分析
「経済ニュースの時間です」今回は、ちょっと趣向を変えましてT氏の専門分野の知識を使いまして、パソコン版ピグが終了決定に至るにあたり重大な影響を及ぼしたと考えられるピグ運営会社サイバーエージェントの株価の動向を分析したいと思います。株式会社サイバーエージェント(株価コード4751)資本金7,203百万円(2019年9月末現在)以下SA社と略します。4751.T 月足ボリンジャーバンド(中心線20MA・上下限2σ)MACD月足(つきあし)とは、1本の棒が1か月の株価の値動きを表すチャート(グラフ)です。このチャートは、パソコン版アメーバピグが始まった2009年から終了となった2019年までで描画しています。①が、ピグが始まった2009年2月時点です。株価は約180~306円。SA社の株が上場された2000年以来から見ても、この株価は安値近辺と言える値位置でした。最高値は2018年7月の6930円。②の時点ですね。ピグのリリース時から比べると20~30倍にも化けたことになります。この最高値へと急騰する初動は、2017年5月頃に見られます。③の時点です。このとき一時的ですが、それまで上値抵抗として機能していたボリンジャーバンドの+2σ(シグマ)上限を突破しています。ボリンジャーバンドとは、中心となる移動平均線(MA=ム-ヴィングアベレージ)、(この場合では20本平均=20か月分の平均値段)これを中心に見て、学力試験などに使われる偏差値から割り出したバンド(=帯)を描画します。2σは二次標準偏差を意味し、このバンドの内側に株価が収まる可能性は、確率論では95.5%となります。株を買う人にとって、株価がこのバンドの内側にあるうちは買い安心感があります。なにしろ95.5%の確率で起きる平常モードですからね。ところがこの上限付近にまで上昇してくると、確率論ではなかなか起こりえない状態に近づいてきているので買いは手控えられます。むしろ上がった株を利益確定するために売却する人が多くなるでしょう。ですので、+2σ上限が上値抵抗になりやすいのは、至って普通の話です。ところが③の時点では、その起こりえない事態が一時的に起きた。確率論がどうこう、偏差値がどうこう、なんて話はどうでもいいほどの買い人気があった、ということになります。この③の頃、いったいなにがあったのでしょう?【AbemaTV】1周年キャンペーン開催♪無料でAbemaTV限定アイテムもらっちゃお♪(↑2017年4月のアメーバピグスタッフブログより)ピグでもキャンペーンが打たれて記念アイテムが手に入りましたが、(冒頭の画像のアベマ像もこのときのもの)リアルの世界でも渋谷で大々的なキャンペーンが開催されました。つづく7月、8月にもアベマTVのスペシャルウィークが開催されました。【AbemaTV】スペシャルウィーク開催♪AbemaTV限定アイテムGETしよう★(2017.7月)【AbemaTV】スペシャルウィーク開催♪AbemaTV限定アイテムGETしよう★(2017.8月)③の急伸の反動安となった株価も、逆に押し目買いを誘うことになったようで、また相次いで打たれたスペシャルウィークも、反落した株価対策だった可能性も考えられますが、いずれにせよ、売りが一巡したあとは、本格的に騰勢を強めた様がチャートに描画されています(赤い/のラインの期間)。この期間の騰勢は、ボリンジャーバンドの+2σ上限に張り付く形で、これを「バンドウォーク」と呼ぶのですが、かなり強いトレンドが形成されているサインとされます。トレンドを示唆するMACD(マックディー)も短期線、長期線とも棒上げ状態ですから相当に強い上昇トレンドだったことが窺えます。そして至った2018年7月の最高値。9月にはこんなニュースも。日経平均株価は、値がさ株(人気銘柄)で構成されます。その一角にSA社が食い込んだことになります。日経平均をベンチマークとするファンド(投資信託)も数多く、日経平均構成銘柄に選ばれるということは、ファンド勢の買いも入ってくるわけですから、株価にとっては強材料(上昇要因)になります。このあたりが、SA社の華だった時期でした。しかし良いことばかりも続きません。営業収益横ばいの見通しの発表。詳細はこちら。18年9月の実績に対して、19年9月の予想が、売上高が増えているにも関わらず、営業収益はほぼ横ばいの微減。そして赤字体質から抜け出せないアベマTVへの投資は継続という判断。おそらく株価には高値警戒感が生じていたのでしょう、このニュースを売り材料にして売りが売りを呼ぶ暴落モードに陥りました(青い\の期間)。1年以上かけて上昇した分を半年弱で吐き出す急落。英語では、買いをロング、売りをショートと呼ぶのですが、まさしくその状態ですね。その暴落相場が収束したのは、2019年2月のこと。・・・そう、皮肉なことにパソコン版ピグの終了が発表された時期のことでした。パソコン版ピグの継続か否かの重要な判断を下す時期に、株価は暴落相場に入っていたのです。ピグを継続させるに必要なフラッシュプレイヤーの代替に必要な予算を確保するのが、いや、発言権そのものを確保するのが非常に難しい状況だったのは想像に難くありません。現在のSA社のホームページを見ても、紹介されているゲームは、グランブルーファンタジーやプリンセスコネクトRe:Diveなどアプリ系ゲームばかりで、ピグはもちろん、まだ採算ベースに乗っているはずのガールフレンド(仮)などのブラウザ依存型が多いアメーバ系列のゲームはまったく触れられていません。株価の狂乱相場を背景に、SA社でのゲームにおける経営判断が大幅に変わった可能性が考えられます。株価は、月足ベースで見た場合は、現在は落ち着きを取り戻したかにも見えますが、20MAが上値抵抗になっております(=過去20か月の平均値段よりも常に安い状態)。T氏の見方では「上値が重い」このレジスタンスを突破するには、それなりの質量がある「燃料」が必要な状態であると判断します。------------免責事項-------------※当情報は、株式などの投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また内容の正確性、完全性は保証するものではありません。 当情報を取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。 投資に関する最終決定は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。