それほど言いません | あづまの書斎

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基本的には私が読んで面白かった本のご紹介です。
時々、時事や身の回りの出来事なんかもお話させていただきます。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)/文藝春秋
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バブル期に大手銀行に入行し、今は大阪西支店融資課長の半沢直樹。支店長の命令で無理に融資の承認を取り付けた西大阪スチールが倒産した。

融資の審査過程に問題ありとして、銀行内での責任の所在を追及する査問等、苦境に立たされる半沢に残された手は債権回収しかないが、一方で、全ての責任を半沢に押しつけようと暗躍する支店長、西大阪スチール社長・東田に隠し財産があるとにらみ、それへの課税を目論む国税当局と、債権回収には大きな障害が立ちはだかる。



いつもの如く、ドラマは見ていませんw

最高視聴率で40%台を叩き出したドラマを見ていないとあっては、世事に疎くなるのもむべなるかな、といったところですが、いやもう、7月以降、ものすごく忙しかったもので・・・

第1四半期決算から第2四半期以降の業績予測。次に第1四半期決算のペンディング潰し。これが終わったのが8月の盆休み直前で、盆休みが明けると次に公認会計士の先生による会計監査に2年に一度の税務調査。

ここまでですでに9月の中頃となっており、そのまま第2四半期決算の準備と、もう、上半期は散々な目に遭いました。

おかげで、ドラマなんぞを見てる余裕がなかった (家に帰ったらヘトヘトで、そこから何かをやろうという気力がなかった) んですけど、ドラマの存在は知っていました。

と言うのは、税務調査に際して、関係部門に契約書などの資料を借りるのですが、大抵、面倒臭そうな態度で渋々資料を用意するものなんですけど、今回はやけに協力的。

そして、『半沢直樹対応』 とか、『東さん。倍返しですか?w』 とか言われるもんですから何の事かな?と思ってたんですけど、休日に、たまたまテレビで見たダイジェスト版のようなもので、ようやく背景がわかりました。

どうやら、彼らは 『経理はとんでもないヤツらを相手にしているらしい』 という誤解があったようです (片岡愛之助さんが演じてたような、あそこまでイヤラシイ調査官には、少なくとも出くわしたことはありません。まぁ、たまに、『やりすぎちゃう人』 はいますので、注意は必要ですが)。




前置きが少々長くなりましたが、さて、本題。

前回の記事でお話しした、電子書籍リーダーで購入した本となります。

以下に書くように、見どころもあって、非常に面白かったんですけど、まぁ、これは電子書籍で充分かな。『面白い』 を超えた何がしかの感動まではなかったので、紙で製本されたものが欲しい、とまでは思いませんでした (繰り返しになりますが、非常に面白かったのは間違いないです)。


『やられたらやり返す。倍返しだ』 のセリフがつとに有名で、『じぇじぇ』 を抑えて流行語大賞でも獲りそうな勢いですが、ドラマの第一部にあたる本作では、『十倍返しだ』 が一度出てきたきりで、ドラマのように何度も繰り返しは使われていませんでした。


不祥事の責任を、社内の人脈を使って押し付けようとする支店長など、ドロドロとした描写が真に迫って面白いと思った一方で、現実の世界では、業種業態がまるで異なるので完全に想像ですけど、こういう話しが出てくるのは、何か事故が起きた場合で、通常業務そっちのけで社内政治に汲々としているような会社は、大した業績を上げることなんてできないでしょうから、日常的にこんなドロドロとしたことをやっている訳でもないでしょうね。

まぁ、それは私が工場勤務だからであって、メーカーでも本社にいる方々の間では結構日常的な光景なのかもしれず、だとしたら・・・。近付きたくねぇなぁ。


銀行による融資がメインテーマですので、銀行が融資を決定する資料として、決算書や業績見通しなどが出てきて、それを銀行がどう評価しているのか、という事の一端が見えて、なるほどな、と思うと同時に、これまで税務メインで、最近になって製品原価の計算であるとか、経理と聞いて世間一般の人が想像するような業務を担当することが増えてきましたが、自分の出す数字が、社内は言うに及ばず、社外の人にとっても意思決定の材料になっているという事を改めて実感。

その意味では、経理部門の若手社員に読んでほしい本でもあります。