汽車はゆっくりと峠を越え、宮守に差し掛かる。なかなか雲が晴れないが大丈夫だろうか。
遠くの山の麓に宮守分校の校舎を望む。俺は卒業生でも何でもないが、個人的にとても思い出深い場所なので、そのうちにまた訪れたい。
歩き慣れた吉金の交差点を通過。
宮守の市街地に差し掛かり、遠くにめがね橋の姿が見えて来た。
宮守駅で何人かの乗降があり、そしてまた汽車は峠へ向けて旅を続ける。雲は多いが、地上の街は明るい。
柏木平の峠を越えると、後は平坦な遠野盆地へ。見通しの良い大平原を走ること約30分、汽車は遠野駅に到着した。
この場所から俺の新しい旅が始まる。
跨線橋の上からは、何時もならば六角牛の雄姿が拝めるのだが、今日の雲は分厚い。
高清水方面はもう少し晴れて欲しいが。
取り敢えず改札を出て、様子を見つつ夜に向けた準備を整えることにする。
花火は当然だが夜に上がるので、今から高清水に登っても殆どやることがない。ということで、まずはおやつタイムを兼ね、何時も世話になっているカッパ店長に嫁を紹介しに行くことにした。
店長に嫁を紹介すると、御祝儀にとジンギスカン丼をサービスしてくれた。今食べるか、後で食べるために取っておくかで迷ったが、朝が早く小腹が減っていたため、食べて行くことにした。
また今日はSLの運行日なので、SLパフェも発注することが出来た。
チョコブラウニーで模ったSLに、車輪はリングスナック、線路はポッキーで表現されていた。カッパジョッキパフェのインパクトは別格としても、カッパ店長以前からののんのんの伝統がこのような新しい形で受け継がれている様子を見ることが出来るのは、とても嬉しい。
小一時間店でゆっくりし、日も高くなって来たところでいよいよ山に向けて出発することにした。