1月の遠野への旅から半年以上が経ち、この間に彼女は嫁になった。そして気付けばすっかり暑くなり、そろそろ久し振りにまた遠野へ旅をすることにした。
今回の目当ては、毎年8月15日に行われる早瀬川の花火大会。学生の頃に足を運んで以来だ。
ということで、朝ごはんを食べて早速出発だ。
また今回は、地上からの花火見学は嫁も俺もしたことがあるので、視点を変えて高清水の上から見てみようということにした。一応、野生動物も住んでいる山なので、クマ鈴を持参する。
今日は上野駅から朝一番の新幹線で出発。5時過ぎに本郷から歩いて天神様の坂を下り、6時前には上野駅に到着した。
新花巻駅で釜石線に乗り換えるので、乗車したのは所謂遅い新幹線だが、それでも片道半日掛けて岩手を目指していた旅と比較し、新幹線は一足飛びに北関東を越えて東北に届いてしまう。車窓に広がるのは、久しく見る懐かしい光景である。
この日は夜明けから雲が多かったが、目的地が近付くに連れ少しずつではあるが青空が顔を覗かせた。
出発から3時間半強で新花巻駅に到着。上から釜石線のホームを見下ろす機会は滅多にないので、新鮮だ。
遠野へ向かうときには必ず花巻駅で乗り換えていたので、今回その花巻駅と似内駅を目にすることが出来ないのは、少々残念ではあるが。
新花巻駅にはStelaro=星座という愛称が付けられている。宮沢さんの「星めぐりの歌」に因む愛称だろう。
見上げれば銀河鉄道とは似ても似付かない新幹線の高架が目に入り、片や地上のホームはその長い歴史を感じさせる。
元々新幹線の新花巻駅は設置の予定がなかったが、様々な紆余曲折を経て花巻市民の悲願の結実として1985年に開業した。そして同時に、現在の新花巻駅よりも花巻寄りに約500mの位置にあった矢沢駅が、新幹線との乗り換えが出来る現在の位置に移ったのだ(この話は映画化もされている程だ)。
上に「長い歴史」と書いたが、新花巻駅としての歴史は40年にも満たない。しかしその前から百年以上に渡り、地元・矢沢地区の人にとっては鉄道と共にする歴史があったのだ。
此処からは釜石線の汽車に乗り、何時ものようにのんびりした旅が始まる。