遠野放浪記 2015.12.26.-03 天の配剤 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

エイスリンの水道橋はこれまで何度も見て来たが、実際に水が流れているところを見たことはなかった。

 

 

斜面をよじ登り、橋を上から覗き込める高さにまで上がる。

 

 

 

昔からある木製の電信柱がすぐ目の前にそそり立っている。歩き慣れた小さな道が眼下に、心なしかさらに小さく見えた。

 

 

 

水道橋には今も豊富な水が流れているといったことはなかったが、集水桝には静かに水が佇み、表面に微かな波紋が出来ている。

 

 

斜面から下り、もう一度下から水道橋を見上げる。

 

 

近くには除雪用と思われるスコップや、水路を掃除する道具が置かれている。この道、そしてこの水道橋が、この場所で暮らす人にとって重要なものであることの証左だろう。

 

 

エイスリンの残り香を名残惜しみつつ、次の目的地に向かうことにした。

 

 

 

 

釜石街道と並行して宮守川が流れ、川に架かる橋を渡ると小さな田園が広がっている。俺は其処を歩くのが結構好きだ。

 

 

様々な季節にこの場所を訪れて来たが、年の瀬に未だ雪がない荒涼とした景色に出会うのも良い。