遠野放浪記 2015.12.26.-04 旅の途中 | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

宮守川の内側にある小さな田園地帯を歩く。俺はこの場所の風景が大好きなのだ。

晩春の水鏡、実りの秋の黄金色、と季節の移り変わりを最も感じられる場所が水田なのだが、春を待つ荒涼とした光景も美しい。

 

 

 

 

何処へ向かおうかと考えたが、時間もまだあるし、田園を抜けて学校まで歩いてみることにした。

 

 

 

年末にしては寒くなく、雪もなく散策には良い日だ。

ゆるゆると道を歩いていると、釜石線の汽車が走り去って行った。宮守駅に到着するところだ。

 

 

 

 

 

 

静かで人通りも殆ど無い場所で、汽車が鉄路を踏んで走って行く、その規則正しい音を聞くと安心する。

 

 

暫くすると、今度は宮守駅を出発した汽車が花巻へ向けて走って行った。

 

 

 

 

 

勇ましい鉄路の音は、汽車が山影に消えた後も暫くは谷間に木霊して残っていたが、やがて小さくなって、消えて行った。