遠野放浪記 2014.11.01.-07 約束の地 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

仙台駅で暫くの待ち合わせ。この駅は常に何処かしら工事していて、来る度にバリケードの位置が変わっている。

 

 

横浜駅も何時まで経っても工事が終わらず、極東のサグラダファミリアだとか言われたりしているが、仙台駅も何年か後にはそんなことを言われたりしているのだろうか。

 

 

 

午後になっても、やっぱり雨は降り続いている。仙台周辺は人口が多く、たくさんの車が走っているのが見えるが、出歩いている人の姿はない。

 

 

愛宕駅くらいまでが仙台に通う人たちのベッドタウンといった印象で、この駅を過ぎると街の規模は小さくなり、野趣溢れる宮城県北の風景が繰り広げられる。

 

 

仙台から小一時間程で、愛宕駅に到着。以前はダイレクトに仙台から一ノ関を結ぶ汽車が走っていたが、今では朝晩以外はこの駅で乗り換えなければならなくなった。

 

 

小牛田からさらに北は、まさに宮城の原風景である。仙台の煌びやかさに目を奪われがちだが、本来はこの黄金の大地に慎ましやかな人々が根差し、遮るものがない広大な田園の一部となって暮らす風景こそが、昔から変わらずにあったものだ。

 

 

 

遥か彼方まで見晴らせる台地も、今日は全てが霧に覆われている。あの霧の向こうに行けば、違う世界が見られるのかもしれない。

 

 

 

 

小牛田からさらに小一時間の旅を経て、汽車は岩手の玄関口である清水原駅に到着。寂しく明かりを灯す一本の電柱が、何時も俺を迎えてくれる。

 

 

秋の日暮れが近付く時間帯になり、旅はようやく今回も岩手県に差し掛かった。

 

 

一ノ関からは、盛岡行きの汽車が出ている。24時間後には、俺もあの街へ向かっているのだ……。

 

 

 

取り敢えず、今日は花巻まで行ってみよう。