遠野放浪記 2014.11.01.-05 少しの幸せ | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

汽車が遅れたせいで福島県を出る頃には昼になってしまったので、車内でお弁当を食べながらのんびり進むことにする。

最近、試供品の「今ならちょい食べカレーついてます!」と書かれたカレーのパックを貰ったので(ビールのおまけに付いて来たものらしい)、ごはんと一緒に食べてみた。個人的にはちょっとパンチが足りないが、普通に美味かった。

 

 

 

腹もそこそこに満たされ、旅はいよいよ福島から宮城の県境へ。天候は一向に回復する気配がない。

 

 

近くの街すらよく見えず、何時も楽しみにしている厚樫山からの景色も全く見えなかったので、此処だけは非常に残念だった。

 

 

峠を越えてようやく、少し雨風が落ち着いて来た気はする。県境の集落は皆が固く雨戸を閉ざし、何となく寂しく見えてしまう。

 

 

人里から離れた山間では、白い霧が暴風に舞いごうごうと音を立てていることだろう。目と鼻の先に、人知が及ばない世界がある。

 

 

 

 

越河駅。当然の如く、人はいない。

 

 

未だ昼を過ぎたばかりだというのに、早くも空が暗くなって来た。この先益々、雨が強くなるということだろうか。

今日はやはり岩手に入るまで、青空とは対面出来そうにない。

 

 

 

 

稲刈り後に小さな家のように纏め上げられた藁の束も、残念ながらこの雨でびしょびしょだ。

稲藁は本来、乾燥させた後に牛の餌ロール(1トンくらいあるアレ)に加工したりするのだが、これでは乾燥させ直しになってしまう。やがて冬になれば、数日間安定した空模様が続く日もある筈なので、結果問題無くあの稲藁は美味しく牛たちのおなかに入ることだろう。

 

 

 

 

白石の街が近付き、車窓に見える建物が多くなって来た。やっと旅は半分を過ぎたくらいである。