遠野放浪記 2014.11.01.-04 濡れるのもまた良し | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

暴風雨の中で何とか郡山駅には定刻通り到着したが、案の定この先は雨が酷く、次の汽車の出発が遅れているようだった。

 

 

何時出発するのかもわからない状況だったので、仕方なくコンコースに上って雨風を凌ぐことにした。

 

 

コンコースの壁面には、福島の伝統工芸品である会津張り子の赤べこが描かれている。

「べこ」とは東北地方一帯で牛のことを指す方言で、岩手でも「べごっこ」などと言ったりする。赤いべこだから赤べこということだ。

 

 

また、当時流行っていた大河ドラマ「八重の桜」の主人公である山本八重をモチーフにした「はりきり八重たん」のイラストも描かれている。

八重たんは以前、白河に遊びに行ったときに、八重たんがプリントされたクッキーを土産に買って帰ったことがあるが、調べてみたら学習帳などいろいろなグッズが展開されていて、地元も結構本気で推していることがわかった。

郡山駅にはなかったが、クッキーのパッケージには笑顔で銃を持つ八重たんのイラストが描かれていた。史実でも山本八重さんは、新政府軍に抵抗して鶴ヶ城からスペンサー銃をぶっ放しまくっていたというから、本人は相当気が強い女性だったのだろう。

 

 

 

コンコースで暇を潰していると、どうやら本線は思ったよりも早く運転を再開しそうだというので、ホームに降りて待つことにした。

ホームに行くと、何やら磐越西線開通100周年の記念イベントが行われるらしく、その準備が進んでいた。

 

 

 

 

 

イベントのメインを飾るのは、奥州古殿流鏑馬太鼓という一団で、たくさんの太鼓や銅鑼の設置が今まさに終わったところだった。

 

 

流石にイベントを見ている時間はないだろうなぁ……と思っていたら、駅の偉い人っぽい職員が横断幕を掲げ、すぐにでもイベントが始まりそうだったので、ギリギリまでホームで見て行くことにした。

 

 

 

 

太鼓の演じ手たちが円陣を組み、最後の確認をしている。

 

 

少し待っていると、用意された椅子にゲストらしき人達が次々に着席し、セレモニーが始まった。

郡山駅長の他、子供駅長と思しき女の子、この年のミス萩姫(郡山市の観光大使的な存在)など錚々たる顔触れが集まっていた。

 

 

 

暫く関係者の挨拶が続いていたが、そのうちに福島行きの本線が出発する時間になってしまった。流鏑馬太鼓を見てみたかったが……仕方が無い。

俺の旅の目的はずっと北にある。太鼓は諦めて先へ進もう。