遠野放浪記 2014.11.01.-02 秋の嵐と小さな朝焼け | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

雨はどんどん強くなり、少し先の街の景色も見えなくなって行った。

 

 

風も相当強いであろうことが車内にいても伝わって来るが、そんな中を時折、車が走って行った。こんな天気の中で御苦労なことである……。

 

 

こんな天気の中では、とてもではないが人は出歩けない。当然、牛も出歩けない。

何時もならばこの季節、田圃で最後の冬支度をする人の姿が見られたりもするのだが、今日は寂しい景色の車窓になりそうだ。

 

 

 

箒川の水飛沫と崖に当たった雨粒が砕け、空気中に霧のように飛び散っている。

 

 

まるで川から立ち上る霧が空を覆い、大地を包み、全てを生まれたままの姿に還そうとしているかのようだ。

 

 

 

目に映る全てのものが濡れそぼち、冬を前に訪れた秋の嵐をじっと耐え凌ごうとしているようだ。

 

 

 

黒磯で汽車を乗り換え、いよいよ旅は南東北に差し掛かる。本来ならばもう太陽は充分な高さにまで昇っている時間帯だが、今日は一向に明るくならない。もしかして、遠野に着くまでずっとこんな天気だったりするのだろうか。

 

 

何もかもがくすんで見える景色だが、時折、雨に濡れる秋の彩も美しいのだと思わせてくれる光景にも出会える。

 

 

降り続く雨に向かって、旅を続けて行こう。