遠野放浪記 2014.09.15.-05 モストアドバンスドスタイル | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

遠野に戻り、とぴあが開くのを待ってから、いよいよ胡桃ちゃんのケーキを受け取る。
その他、南部せんべいの仲間でバターせんべいというのを見付けたので、買って汽車を待つ間に食べてみることにした。

 

 

普段食べている南部せんべいとは違い、クッキーのようでなかなか美味しい。

 

 

また、おまけでクッキーの切れ端を袋詰めにしたものもいただいた。こちらは恐らく遠野クッキーの端切れで、ナッツが入っていてとても美味い。味は遠野クッキーそのままだ。

 

 

そうこうしているうちに、いよいよ花巻行きの汽車が来る時間になった。長いようで短かったが、今回も遠野とはこれでお別れだ。

 

 

遠野盆地を後にする頃には、すっかり空は晴れ上がっていた。今、綾織のあの木に会いに行っても、それは素晴らしい光景に出会えるだろう。

 

 

汽車は山を越えてめがね橋を渡り、宮守へ。

 

 

この駅に降り立つのも、随分と久し振りな気がする。

 

 

 

朝のホームには誰もいない。俺は汽車を見送ってから、街に下ることにした。

 

 

 

 

 

秋の透き通る日差しが駅舎の庇に差し込み、足元に映し出された光と影のコントラストが美しい。しかし、人がいなくなって久しい宮守駅で、このちっぽけな芸術を眺めているのは、ちっぽけな鳥や虫たちのみである。

 

 

 

 

宮守が遠野の一部ではなかった時代から街に寄り添ってきた駅舎も、冬の寒い日にはストーブの煙が空に立ち上って人の暖かさを感じさせていた煙突も、この先もうその役目を果たすことは無い。

 

 

悲しいことだが今のJRには、この小さな風景の尊さが理解出来ないのだ。

名も無き東北の少女たちが夢を抱いて旅立って行ったこの場所に、かつてのような賑やかな声が帰って来る日が、何時かまた来て欲しいものだが。