遠野放浪記 2014.09.15.-01 Xデーの朝 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

9月15日の朝、まだ秋の空が白む前に俺は目を覚ました。

いよいよ今日は、宮守女子メンバー最後のひとり、鹿倉胡桃ちゃんの誕生日である。2月にスタートし、全員の誕生日を現地に駆け付けて祝うという壮大なプロジェクトも今日で完結。その大事な一日であると思うと、寝坊などする訳もなく気が引き締まる。

 

朝ごはんには、持参した缶詰の残りを食べる。「青森の正直」というブランドの、豚肉スタミナ源たれ味牛肉大和煮の2種類だ。やはりちょっとお高い缶詰だけあり、美味い。

朝からしっかりスタミナを付け、今日を乗り切る所存だ。

 

 

綾織の空は厚い雲に覆われ、遠くの山は霞んで見えない。ただ、予報では早朝に若干の雨が降る可能性があるだけで、その後は晴れて来るということだったので、あまり心配は要らないだろう。

 

 

 

さて、とぴあが開くまでは計画通り、以前から気になっていたが行ったことが無かった場所を巡ってみることにする。まだ眠っている綾織の街に繰り出す。

 

 

駅前には、昨晩は無かった自転車が置かれていた。

 

 

俺は綾織の駅前通りを歩き、まずは綾織の集落を抜けることにした。

 

 

程無くして踏切に差し掛かり、少し家の数が多くなった。この道が一応、駅の近くを通る一番大きな道だが、駅に辿り着くにはさらに俺が歩いて来た小さな道に入らなければならず、初めて訪れて駅に辿り着けず道に迷う人が意外に多いらしい。

 

 

今日は踏切を渡り、釜石街道とは反対側の山の方へ。

 

 

景色は灰色で、近くにあるものの背後は霧に包まれている。

今出発して来たばかりの綾織駅が、もうあんなに遠くになった。

 

 

山側の道には人通りもなく、とても静かだ。遥か彼方に跨線橋が見えているが、今日はあれを越えてさらに少しだけ先まで歩いて行く。

 

 

いざ歩き出そうとすると、向こうから始発の汽車がやって来るのが見えた。珍しい普通列車の3両編成で、遥々盛岡まで向かう便だ。

 

 

盛岡にも、何時かもっと縁が出来るのかなぁ……なんて思いながら汽車を見送り、それから今日の目的地へ向けて歩き始めた。