丘の上には小さな森があり、荒れた山道が森の奥へ続いていた。
一応道として切り開かれているので、この奥に何かがあることは間違いなさそうだが。
御社は森に囲まれ、集落からは隔絶された感がある。今でも集落から此処まで参拝に訪れる人はいるのだろうか。
上って来たときには気が付かなかったが、森の片隅に小さな石碑がある。これが境内とその外を隔てる結界なのだろう。
上って来た道とは別の道を歩いてみる。こちら側からは集落の姿は完全に隠され、見えるのは夏空の下に連なる山々ばかりだ。
坂を下って行くと、何やら立派な建物が見えて来た。地域の公民館にしては新しく、しかも大きいので、移住者の家か或いは別荘などだろうか。
そろそろ良い感じに太陽が高くなって来たので、このあたりで麓に降りて菅原神社の例祭に向かう準備をする。
空は完全に明るくなり、川面に太陽の光が反射して眩しい。年に一度の祭を晴天下で行えるよう、神様が少し人々を助けてくれたのだろう。
一旦、附馬牛の街に戻ることにする。





