遠野放浪記 2014.08.22.-17 長い夏の終わりを前にしてできること | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

当て所無く附馬牛を歩いている。太陽はもう山の向こうへ姿を隠してしまった。


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ふと空を見上げると、消えてしまったと思った虹が再び微かに見えていた。山の霞が広がりつつある空に、今度こそ完全に消えてしまう前の最後の輝きが見えた。

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しかも今度は、虹の終端まで僅かではあるが見えている。附馬牛の外れに向けて架かるアーチの下には、どんな景色が広がっているだろう。

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流石に今からあそこまで行っていては、その前に真っ暗になってしまうだろう。その直前の時間帯に奇跡のような光景が見られただけで、今日は満足だ。

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街を一周し、片岸橋のバス停に戻った。雨上がりの空はこの世のものとは思えない景色を見せている。

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あたりはだいぶ暗くなって来た。幾ら日が長い夏とはいえ、もう一時間もしないうちに空は闇に包まれるだろう。

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そろそろ出発しようと荷物を纏め、バス停の小屋の外に出ると、まだ虹が見えていた。

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しかも先程までよりもくっきりと見えている。夜にこれだけはっきりと虹が見える日がどれくらいあるのかはわからないが、兎に角今、附馬牛の空には俺の常識など及びもしない光景が広がっている。

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俺はパティに跨り、また雨が降り出さないうちに附馬牛の街を出た。

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別のバス停の小屋を見付け、菅原神社に向かう前に早目の晩ごはんを食べることにした。

今回は霧島黒豚角煮。酒が欲しくなる味だ(もう一本くらい買っておけば良かった)。

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こんな風な夜を過ごすのは久し振りだが、それも今晩の例祭が終わり、明日の本祭を終えれば、俺は街に帰らなければいけない。ずっと得難い経験をして来た長い夏の日々も、もう終わりのときが近付いている。