遠野放浪記 2014.08.18.-05 誰かが見ている | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

琴畑湿原を暫く歩いてみたが、よく想像するような湿地帯や沼のようなイメージとは程遠く、普通の高原地帯のちょっとした平坦地といった感じだ。


1


近くに沢が流れているが、琴畑の他の土地と大きく違う印象ではない。もしかしたら、既に低層湿原から高層湿原への移り変わりが進み、少しずつではあるが土地から水が捌けて行っているのかもしれない。


2


湿原はかなり広く、進めば進む程深みに嵌りそうだ。

3


適当なところで引き返し、新山へと至る林道に戻る。

4


少し森が深くなったが、空ははっきりと見通せるし太陽の光も充分届く。

5

6


傾斜は少しずつ急になり、山深いところへ入って行く。足元には相変わらず車の轍が残っているが、最近はあまり通る人もいないのだろう。

7

8

9


息を切らせながら坂を上ると、行く手にコンクリート造りのトンネルが見えて来た。このような山奥に人工物が存在しているとは意外である。

10


下界のシャレオツな道路のトンネルとは違い、足元は荒れているし内側のコンクリートも打ちっ放し。必要最低限の機能美が見て取れる。

11


トンネル内部にまで太陽の光は届かず、昨日の雨が澱みのように留まってぬかるんでいた。

道は大きくループし、先程くぐったトンネルの上を歩いて先を目指す。

12


トンネルを抜けると心なしか空が近くなった気がする。もう新山の頂上が近いのだろうか。

13


ただ、新山の頂上近くにはウィンドファームがあり、巨大な風車が見える筈だ。それがまだ姿を現さないということは、頂上はもう少し先なのだろう。

14


ようやっと傾斜が緩やかになって来たと思ったら、道は行く手で左右に分かれた。

15


当然このような場所に親切な案内などある筈も無い。地図を頼りに新山を目指して進む……この情報化の御時世に、自分の感覚を頼りにする旅も面白い。