遠野放浪記 2014.08.16.-06 作られた道 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

結局、空は一度も晴れ間を覗かせることなく、今日最後の乗り換えを迎えてしまった。まあ、仕方ない。旅とは得てしてこういうものだ。


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釜石線は花巻の市街地に別れを告げ、山を越えて海を目指して行く。

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最近完成した街外れの新しい橋。今日は通る人も無く、寂しく雨に打たれている。

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花巻は県内では有数の大きな街だが、そうは言っても仙台や東京と比べるべくも無く、数分も走れば車窓にはいつもの広い田園風景が戻って来る。

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心なしかいつもより荒れた北上川を渡る。

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花巻市を抜けるのに凡そ20分、遠野までは軽く一時間掛かる。本線とは違い、ごとごとと汽車に揺られながらののんびりした旅が続くのだ。

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郊外の田園も外れの外れに差し掛かり、土沢以東に大きな街は無い。

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雲に霞んでいるものの、山々がすぐ近くまで迫って来るのがわかる。いよいよ峠越えが始まるのだ。

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峠の途中で、花巻市から遠野市に入る。市境の看板は寂しい峠道の隅にあり、汽車からでは木々に隠されて見逃してしまうこともあるが、目を凝らして車窓から自分が遠野市に入った瞬間を実感すれば、旅の心も高揚するというものだ。

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無事に峠越えも済み、汽車は宮守の街外れに差し掛かった。懐かしい田園地帯が目の前に広がり、行く手には宮守の街が見えるこの峠越えの風景が、俺は堪らなく好きだ。

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この風景の一番奥に、学校はまだ残っている。

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少し嬉しい確認も出来、釜石線の旅はこのあたりで半分だ。

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大好きな宮守駅を過ぎ、汽車は再びの峠越えへ挑む。それが終われば、遠野はもう目の前だ。