遠野放浪記 2014.07.26.-16 未だ迷いは晴れず | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

迷岡を出た俺は、鱒沢へ向かう旅を再開した。恐らく全部で一日掛かりの歩きになるだろう。


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丘を越える道はアップダウンが激しく、じりじりと太陽に照らされすぐに汗が噴き出して来る。

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小さな集落が現れては消え、まだ幻想の世界に居残っているような感覚に陥って来る。

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脇道に入っても大抵はすぐに消えてしまう。その先には草原が広がっているだけだ。

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道はアップダウンを繰り返しながらいよいよ峠のピークに差し掛かり、車一台がどうにか通れるくらいの狭さになった。

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そしてあの家と木が、標高の頂点のようだ。

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丁度森の木々も切れ、素晴らしい景色が見晴らせた。遥か彼方の山の中腹にも、小さな集落が形成され、人が生活を営んでいる風景がある。

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峠のピークから今歩いて来た道を振り返る。

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何もないように見えていた場所にも、人が住処を構えていたり、農業を営んでいたり、遍く自然に人が生かされて形成されてきた景色である。

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後は暫く下るだけ。鱒沢への道路標識も登場し、いよいよ旅も大詰めに差し掛かった感がある。

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このあたりは非常に見晴らしが良い。兎に角広大な景色の中である。

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どれ位歩けば鱒沢に辿り着けるのかはわからないが、取り敢えずずっと歩いていれば何時かは辿り着けるだろう。何ものにも縛られない自由を俺は今、謳歌している。

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自由には責任が伴うというが、今何処を見渡してもそんなものは存在していない。只真っ白な自由だけが横たわっているのだ。