遠野放浪記 2014.07.26.-15 流転して | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

視界はみるみる開け、確実に元の場所に近付きつつある。迷岡を一周して来て、だいたい3kmくらい歩いた計算になる。


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非常に暑い一日だが、東京と違ってこの空気は心地良い。

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このあたりから、下の道に降りて歩いた。上と下とは全く違う雰囲気で、別の世界のようだった。

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やがて最初に下った坂道が見えて来た。

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この奥にもまだ道は続いているが……地図によると元の道に戻るだけで、他に何も無いようだった。

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そろそろ迷岡に別れを告げる時間がやって来た……。

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迷岡探訪は俺の遠野旅行の中でも、特に忘れられない時間のひとつになった。きっとまたいつか、俺はこの土地に足を運ぶことになるだろうと心の何処かで確信していた。

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「迷岡地区集会所入口」の看板を過ぎると、いよいよこの素敵な時間も現実に引き戻されてしまう気がして寂しかった。

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集会所は元々小学校だったようだが、俺が生まれる前には既に統廃合で姿を消しており、当時の面影は最早残っていない。

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この広いのが校庭だったのだろうか。

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これは遊具の残骸なのだろうか。

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俺が生まれたときには既に存在していないという事実は、一寸衝撃的ですらある。その存在をリアルに感じることが出来ない、歴史の中の存在であったということだから、思いを馳せる手立てが無い。

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マヨヒガのように、やがて朽ち果てるのを待つだけの存在なのかもしれない。そう考えると、遣る瀬無さに涙が込み上げて来る。