遠野放浪記 2014.07.21.-06 幕間 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

列車が北関東に差し掛かる頃合いになって、ようやく太陽は西の空に傾き始める。長い昼が終わり、短い夏の夜が辺りを包もうとしている。


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実は夏はそれ程好きではない――というと語弊があるかも知れない、冬と比べれば、という意味でだ。

19時を過ぎても、いつまでも空は明るい。そんな中に身を置いていると、何だか何かに取り残されてしまったような、意味も解らない虚しさが襲って来るのである。

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太陽は山の稜線の向こうに消えて行こうとしている。と同時に、灰色の雲が何処からかむくむくと湧き始め、太陽の後を追うように空を覆って行く。

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太陽が山の彼方に姿を隠すのを見届ける前に、空は一瞬にして厚い雲に覆われてしまった。

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こんなにも急激に空模様が変わるとは、想定外だ。

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雲のスクリーンには辛うじて、太陽の最後の輝きの跡が映し出されている。

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しかしその紅色は、旅が終わりに近付くに連れて次第に薄れ、闇の中へ消えて行った。 

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一日の終わりが近付き、街には明かりが灯り始める。

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もう間もなく、東京に到着する。

北関東の街に灯る光は暖かい。東京のそれはどうだろうか。

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結局、上野駅に降りたのは21時を過ぎてからだった。

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帰り道の何処かで晩ごはんを食べて行こうと様子を窺いながら歩いていると、日高屋にガッツリホルモン定食という新メニューが登場していたので、食べてみることにした。

見たまんま、ホルモンが大量に皿に乗って出て来た。ネギが一緒に入っているが、ほぼホルモンのみでこのボリュームは嬉しい。食感は結構硬く、味付けもうーん可も無く不可も無く……といった感じ。まあこのボリュームにしては安かったし、こんなものだろうか。

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その後は特に何もなく、家に帰り日付が変わる頃には床に就いた。

これで今回の旅は終わりで、いつもならば此処から安直な回想的なものに入って行くのだが、今回ばかりはそのような間も無く、この先に予定しているいろいろな計画のための準備を進めなければならない。

何しろ今年の夏はまだ、始まったばかりなのだ。