遠野放浪記 2014.05.25.-05 この世の果て | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

水田の中には無数の畦道が張り巡らされ、旅人も其処を歩くことが出来る。


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俺が暮らす街での日常では歩けない場所を、旅先で歩けることに対する興奮を禁じ得ない。

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畦道や土手には、控え目な色調の春の花々が咲き、穏やかな田園風景と共に若い命の芽吹きを見せてくれる。此処がこの旅の終着点、この世の果ての楽園であるかのようだ。

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少し、風が出て来た。思ったよりも天気が崩れるのが早いかもしれない。

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トラックに積み込んだ稲を、これから水田に植えようとしている人たちの姿が見える。夫婦と息子、の3人家族だろうか。

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畦道から再び本道に戻り、歩いてみる。こんなに奥まで来ると、道は最早舗装も手入れもされておらず、砂利道に雑草が生え放題だ――車が通ることで辛うじて平坦が保たれている。

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縦横無尽に入り組む道を歩けば、先程までいた場所があっという間に遥か彼方に遠ざかる。

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傾いた電柱が何かを物語っているように思える。

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学校に向かう坂の上から見えていた、大きな電波塔の反対側に来た。結構な距離を歩いて来たことになるのだ。

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まだまだ道は続いている。いったい何処へ辿り着くのだろう。