郡山から福島まで、列車は広い平原を走る。青く晴れた晩春の空が地上の水鏡に映り込み、本当に気持ちの良い光景が続いて行く。
このあたりまで来ると、まだ稲の植え付けが終わっていない区画もあったりする。とはいえこの数日中に、大方の水田が若い稲で埋まるだろう。
畑や果樹園の季節もまた先へ進もうとしている。街を見守る山が戴く雪も、数日中に消えて無くなりそうだ。
何も遮るものが無い広大な平原に、人を寄せ付けない山から流れ出た川が潤いを齎す。
次第に福島の街が近付き、人の生活の匂いが車窓にも漂って来る。
県北まで来ると、水田よりも果樹園が目立つようになる。この風景を見ていると、福島のフルーツが恋しくなって来る。
次の目的地は東北一の大都会・仙台。いよいよ晩春の北東北へと足を踏み入れるのだ。