山道は思っていた以上にしんどく、起き抜けで登るには少々骨だ。
参道には「遠野町遺族会」の碑が……。何だか物悲しくなる石碑だ。
森に差し込む日差しも、夜明け間も無くのそれだ。混沌の夜に透き通った光が差し、朝が来る。
行く先の道が彼方に見えている。これからあの急坂を上らなければならないのだ。
このあたりには林業などの人出が入るためか、参道は比較的良好な状態だ。しかしガードレールなどは無いため、足を踏み外せば麓の街まで真っ逆さまだ。
今し方歩いて来た道が、崖下に見えている。沢から水が溢れ出し、名前も無い小さな滝になって流れ落ちている。
勾配も緩やかになって来たので、取り敢えずひと息入れられそうだ。