遠野放浪記 2014.05.05.-05 不動滝登り | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

不動の滝は鱗のように幾重にも重なった岩肌の上を、きめ細かく糸を垂らすように流れ落ちている。


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ほぼ垂直な岩を横目に見ながら、何とかあの上まで辿り着きたいという一心で山肌をよじ登る。

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先程から行く手に無数の沢が現れて来ることからもわかる通り、石上の山麓は非常に水が豊富だ。滝の近くの斜面からも至るところで水が湧き出し、所々にとんでもない泥濘が出来ている。

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たまに出現する、畳半畳程の平地がオアシスだ。

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このあたりまで来るとようやく頼りになるクマザサも生え揃って来て、ちょっと周囲の状況を楽しむ余裕が生まれる。

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振り返れば、かなり高いところまで上って来たようだ。木々と厚い雲の間に、遥かな山の稜線が見えている。

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ようやく、滝の流れ出でる場所に近付いて来た。このまま滝に沿って上って行けば、正規の登山道と合流する筈なので、頑張って上ってみよう。

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滝のすぐ近くまで近付くことも出来る。急峻な岩の斜面に、水は一滴たりとも留まることは無く、先を急ぐように遥か眼下に流れ落ちて行く。

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滝の流れに沿うように、サワグルミの木が生えている。つまり、胡桃ちゃんだ。

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暗い空に向かってぴんと背筋を伸ばすサワグルミの木は、涙が出る程に力強かった。

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引き続き先へ進むつもりだったのだが、どうやら俺は登山道に合流する道(が明確に存在するのかどうかは別として)から外れ、滝に近付き過ぎてしまったようだ。崖に近い斜面にへばり付いて道を探すのも心臓に悪そうなので、一旦滝筋から平坦な場所まで下ろう。