遠野放浪記 2014.05.05.-04 試される勇気 | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

急峻な山肌に木々が密集して生え、日の光も殆ど届かない。寒々とした斜面にはまだ雪が残り、石上への春の訪れは当分先のようだ。


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古くから残る水垢離くみ場があった。水垢離は行水のことで、神仏に祈願したり神の下へ訪ねる際に、自身が犯した罪を清める行為である。

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此処から先は三山女神の一角、お石の住まう領域である。

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馬留めの小屋を後にし、そして人間の世界をも後にする。

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沢を遡るように、急勾配の岩場に挑んで行く。

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今回は真っ直ぐ頂上を目指す前に、少し回り道して見ておきたい場所がある。

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又一の滝と同じく、人里から最も離れた遠野遺産、石上不動の滝。それがこの急斜面に沿って、ほぼ垂直に流れ落ちている。

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水量はそう多くなく、静かに沢に流れ込む優しい姿の滝である。しかしその場所への近付き難さは、又一の滝以上だと言っても良い。

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少し岩場を登ると、やがてその全容が見えて来た。謎多き山中に密やかに流れる、神秘の滝である。

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滝の流れは岩場全体に染み渡り、非常に滑るのでこれ以上岩の上を歩くことは出来ない。

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滝の脇の山肌をよじ登るようにして上流を目指すのだが、滝がほぼ垂直であるように、山肌も垂直だ。

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山登りの際に頼りにしているクマザサの姿も見えず、両手両足でしっかり地面を掴み登るしかない。これは想像以上に厳しい挑戦になりそうだ。