遠野放浪記 2014.03.23.-06 恩徳夜話・そのいち | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

バス路線の終点である恩徳バス停に辿り着いたのだから、恩徳の中心にもすぐに辿り着けるだろうと思っていたのだが、それは甘かった。


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バス停を出てすぐに、周囲の風景はバス停よりも前のものに戻ってしまった。あのバス停は果たして本当に役に立っているのだろうか?

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暫く歩いて、今度こそ本当に恩徳の中心に辿り着いたらしい。

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此処にも数軒の小さな家があるのみで、周囲は深い山そのものだ。

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一応この道は国道なのだが、冬は通行止めになるし、度々土砂崩れなんかが起こって大変らしい。

峠を迂回するトンネルを掘る計画があるそうだが、そうなったらそうなったで益々恩徳を通る人が少なくなりそうで、それはそれで寂しい気もする。

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ようやく辿り着いた家もボロボロで、しかも入り口は完全に雪に埋もれていて人が住んでいる様子ではない。夏の間は手入れする人がいるのかもしれないが、寿命はそう長くないだろう……。

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ボロボロの家を通り過ぎると、また集落の途切れ目に差し掛かる。田舎では隣の家に行くために車が必要だという話をよく聞くが、それを実感する日が来るとは思わなかった。

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再び幾つかの家が見えて来たが、今度は入り口どころか家自体が雪に埋まってしまっていた。

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これはどう見ても人が住んでいない……。

もし今現在、この家の中で人が暮らしているとしたら、今すぐに消防と救急車を呼ばなければならないレベルだ。

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やはり恩徳の人口は少なく、冬になるとその殆どが平地に下りてしまうのだろう。

バスが冬も走り続けているということは、あのマンガみたいな入口の家には通年で人が暮らしているのかもしれないが、このあたりは完全に人がいなくなってしまうみたいだ。

今、間違いなく遠野の果てにいることを実感する。