遠野放浪記 2014.03.23.-05 恩徳にて | 真・遠野物語2

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この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

道がほぼ平坦になり、行く手に久し振りの道路標識が現れた。


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人気が無い、数軒の家が寄り添うように立っていた。


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周囲は只深い山、そして雪。

此処が遠野の最果てのひとつ、恩徳の集落である。

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もしかしたら、冬の間は平地の街に移動してしまう人も多いのだろうか、集落には結構大きな一軒家もあるのだが、人の気配は殆ど感じられない。

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山深い場所にある集落だけに、冬は身長よりも高く積もり積もった雪にその大部分が覆い隠されてしまう。自然の猛威に抗うのでなく、共に生きようとする人々の姿があるようだ。

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集落の南端付近にある一軒家の入り口は、昔のマンガみたいな状況になっている。

その脇に、申し訳なさそうに路線バスの終点、恩徳の停留所が佇んでいた。

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遠野駅からはるばるやって来るバスは、この場所でUターンして再び駅に戻って行ってしまうが、集落の大部分はさらに峠に近付く道の途中にある。恩徳という場所は広大なので、隣の家に向かうにも寂しい山道を通らなければならない。

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道は一本だけで、時折完全に雪に埋もれた林道が山の中に消えて行くのみだ。

その奥に、小さな御社がある……。

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取り敢えず、コレを恩徳神社と呼ぶことにしよう。

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さて、今回は特に目的があって恩徳に来たわけではなく、言ってみれば恩徳を訪れること自体が目的だったのだが、折角此処まで来たのだから、もう少し集落の様子を見てみることにしようと思う。

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この場所から次の家は全く見えていない。最早隣の街だと思った方が良いのではないだろうか……。