遠野放浪記 2014.02.16.-09 雪に埋もれた街を越えて | 真・遠野物語2

真・遠野物語2

この街で過ごす時間は、間違いなく幸せだった。

帰りの快速はまゆりに乗るため、俺は釜石街道を歩いて再び宮守駅へ向かう。


1


すると、丁度俺が乗る一本前のはまゆりが、吹雪の中から姿を現して俺とすれ違った。

2


汽車が行ってしまった後は、またあたりを静寂が包む。

3


雪に埋もれた岩根橋駅に、今日はもう人が訪れることも無いだろう。

4


小さな岩根橋の街に別れを告げ、宮守に向かう寂しい峠道を歩いて行く。

5


先程下から見上げた岩根橋を、今度は歩いて渡る。次に会える日を楽しみにして。

6

7


やがて峠道はピークを越え、なだらかな下りに転じた。もう少し下れば、懐かしい宮守の街が見えて来る。

8

9


この峠越えは釜石線の車窓の中でも特に好きな風景で、険しい峠を抜けて宮守に到着すると、心が暖かい空気に包まれるのを感じるのだ。

10


しかし今回は、こんな形でこの道を歩くことになるとは……。

11


初めて宮守を訪れたのも、汽車に乗ってではなく、この峠道を自力で越えてのことだった。

12


今まで見たことも無い恐ろしい天候に見舞われ、自分の無力さに絶望を感じた今回の旅。

それでも宮守は、いつだって俺の心を満たしてくれる。